中国ファーウェイのスマートウォッチ「Band 4e」は3000円台で手に入る上、ハード的にもしっかりしたコスパの良い商品です。しかし、睡眠計測の機能についてだけは納得できかねます。医療用に開発されたものではないのだからといえばそうなのですが、ユーザー側に立ってもう少しわかりやすい説明がほしいものです。あなたはどう考えますか?

ファーウェイの「Band 4e」に対する疑問

中国ファーウェイ のスマートウォッチ「Band 4e」。高くても、税込み3,000円台で手にはいるスマートウォッチです。基本、加速度センサーとスマートホンとの連携が基本機能。ハード的には、かなりしっかり作られている感じです。万歩計、安価スマートウォッチが太刀打ちできなレベルです。

しかし、あるデータが原因で、私は、不審を抱くようになりました。ありのままを書いてみます。

画像: HUAWEI Band 4e consumer.huawei.com


HUAWEI Band 4e

consumer.huawei.com

スマートウォッチができること

スマートウォッチは本来、ウェアラブル・コンピューターとして発案されました。しかし、そうはいきませんでした。単純な話で、情報を扱うためには、ある程度大きいディスプレイが必要です。そのため、スマホもできる限りディスプレイ面積を稼ごうとしています。

このため、ディスプレイの面積を稼げないスマートウォッチは、体に密着している=体をセンシングできることを利用する、「自分」というものを必需品としました。

運動ログ

一番最初にできるようにしたことは、運動量を含めた運動ログ。初期には、これに体重、そして食事のカロリーを入れることができると、ダイエット・ログにすることができると、すごく注目されました。しかし、その地域で強い体重計(日本だとタニタですね)のデータを吸い上げることができなかったり、食事のカロリーを正確に掴むことができなかったりと、実にハードルが高い。このため運動ログは、運動ログにGPSを加え、その日の行動履歴として進化します。

心拍測定

その一方、新たに「心拍計」が導入されます。心臓は、脳に続いて重要な臓器です。医者が診察する時もそうですね。「お脈を拝見」と健康診断でも心電図を取ります。

何がわかるのかというと、実に多岐に渡ります。安静時の最大心拍数を継続計測すると、行っている運動が、心肺能力に与える影響が見て取れます。日々の運動の影響がうまく出ていると、下がります。こちらは体力の余裕です。また運動しなくても、ストレスがなくなると下がります。こちらは精神の緊張が溶け、体力はアップしてませんが、体のポテンシャルを十分使えるようになったわけです。このように行動履歴と合わせると、いろいろなことに使えます。

睡眠分析

このように心拍測定ができるようになると、わかることが増えます。その中の一つに「睡眠」があります。「睡眠」は「運動」「食事」「ストレス」と共に、健康のために気になることですが、実に掴みにくい。なぜなら、睡眠中は意識がありませんからね。

今では、スマートフォンで計測された睡眠は「4段階」に分析されます。脳が活動していない状態の「深い睡眠」と「浅い睡眠」、脳が活動している状態の「レム睡眠」と「起きているのと同じ状態」です。レムというのはRapid Eye Movement(急速眼球運動)の頭文字をとったものです。目がピクピク動いている状態のことです。レム睡眠時は、脳が活発に働いており、記憶の整理や定着が行われています。また夢を見るのもこの時です。

一番、体が休まるのは「深い眠り」です。まず、脳代謝が少なくなります。脳は、酸素、糖分とも劇的に使用します。それがないだけでも、体はずいぶん楽になります。加えて、成長ホルモンを含む、各種ホルモンが分泌され、体の休息、修復を行います。これは無くてはいけません。

また「レム睡眠」も記憶の整理や定着の役割がありますので、無くてはなりません。この2つの睡眠を分析するのが、スマートウォッチの睡眠分析です。

睡眠分析には「体の動き」と「心拍パターン」の両方が必要

睡眠分析には、心拍計が欠かせません。というのは、レム睡眠と深い睡眠では、心拍パターンに大きな差があるからです。レム睡眠は「夢を見る」と書きましたが、夢はVR(バーチャル・リアリティー)と同じです。飛び起きたら、呼吸が乱れていた、汗をかいていた経験は多いと思います。そうレム睡眠の間は、呼吸も心拍も不規則になりがちなのです。

一方、深い睡眠はどうか。呼吸も心拍も落ち着きます。

スマートウォッチは、これを利用して睡眠分析を行います。一つは体の動き。加速度センサーです。もう一つは心拍パターン。心拍の連続計測です。この2つを元に、睡眠を分析します。もちろん、元データは、脳波計、眼球運動、他で正確に計測されたデーターと対比されて行きます。

今、最も分析に長けているのは、Fitbitでしょうか。

Fitbitのスマートウォッチは、アカデミアの現場でも、いろいろな臨床の現場で使われています。例えば、抗癌剤を飲んだ時、睡眠はどうなるか? コロナにかかった患者の睡眠はどうか?等々。人間が知っていることなど、ほんの少しですからね。

体の動きしか計測できないBand 4eで睡眠分析ができる謎

ファーウェイのスマートウォッチのスマホ用のアプリは「Huawei Health」です。全データはここに表示することができます。

Band 4eを使い始めて、びっくりしたのは「睡眠分析」が出来たことです。しかも「浅い眠り」と「深い眠り」「目覚めた回数」と、珍しいパターンで分析されています。

画像: 体の動きしか計測できないBand 4eで睡眠分析ができる謎

私は目をパチクリ。加速度センサーしか持っていない、安価なスマートウォッチですからね、分析できるわけないのです。しかも、後設定ではないのです。初期設定で出てくるのです。

クエスチョンの嵐です。

心拍機能を備えた高級モデル「GT2 Pro」の場合は?

では、高級モデル、心拍測定機能を有するスマートウォッチ GT2 Proでは、どんな表示になるのでしょうか?

画像: HUAWEI WATCH GT 2 Pro consumer.huawei.com

HUAWEI WATCH GT 2 Pro

consumer.huawei.com

「浅い眠り」「深い眠り」「レム睡眠」「目覚めた回数」の4パターンです。ただし「目覚めた回数」は回数であり、分析には、あまり出て来ません。やはり、全く、Band 4eとは異なります。

画像: 心拍機能を備えた高級モデル「GT2 Pro」の場合は?

ファーウェイ からの回答

あまりにわからないことが多いので、ファーウェイに質問してみました。

結果、4eの睡眠分析は、体の動きだけから算出したものであることが確認されました。当然、医学会とのリンクはありません。あくまでも、参考値ということだそうです。また、但し書きに、医療データとしては使えない旨が書かれています。

最後の一文は、医療用に開発されたモノのではないので当たり前で、それは臨床研究で使用されているFitbitでも同様です。ちなみに、医療機器が高額なのは、誤った診断結果を導かないように、より精度をするために品質管理をしっかりしていることと、トラブルが起こった時、すぐ現場のサポートができる体制をとっているからです。当然、民生用はそんなことはできません。民生用は、程々の性能、お求め易い価格が魅力だからです。

また、ファーウェイの考えもわからないではないです。少しでもビジネスをプラス方向へ導くのは、どんなメーカーでも行っていることです。

しかし、そうだからといって違う方法で、学会などで検証されていない方法で測定した結果を、何も説明しないで、初期設定から使えるようにするのは、どうでしょうか?

実は、Fitbitも、心拍センサーを導入した時、どうするのかで悩みます。こちらの悩みは、連続心拍測定をすると、かなりの電力消費になるため、睡眠分析をするのか、しないかでした。ファーウェイ とは違う考えです。

まとめ

ファーウェイの回答を考えた時、法律でとやかく、いうことはできません。あるとすれば、注意コメントが、ホームページのQ&Aなど、少々わかりにくいところに書かれていること、そして初期設定でユーザーに、とにかくその結果を提示することでしょうか。

しかし、そうは言ってもいかがなものか、と個人的には思うのです。

あとは、皆さんの考え方次第。
情報として、読者にお伝えいたします。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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