今は電子棚札を導入している店が増えましたが、少し前まで家電量販店では値札の上に紙の値札を重ねる方式が主流でした。そして、上の値札をめくって価格差を確認する人がたくさんいました。この価格差は、小さいときも大きいときもあります。今回は、価格の動きを知って安く買うコツを解説します。

価格が変動しない商品と変動する商品

【家電量販店のナゾ】シリーズの3回目、値引き交渉編でも書きましたが、家電量販店で扱っている商品の中には、ほとんど価格が変わらないものと、価格が変動するものがあります。

変わらないものの代表は、電池や電球のように値段が安いもの、あるいは消耗品などです。また、一部のメーカーの商品の中には原則として値引きしないものがあります。主に、ブランド力の高い商品ですね。

逆に価格が変動するのは、国内メーカーの一般的な商品。元は日本の会社だったものの今は海外企業の傘下に入っていたり、海外メーカーでも日本に根付いている企業の商品は、同じように価格が変動します。

表示価格の基本的な変動パターンを知る

では、どのように変動するのでしょう。みなさん、何となく分かっていると思いますが、発売直後が最も高くて、時間が経つにつれて下がっていきます。

最初の値札が発売直後の売り出し価格で、少しでも値下げされると、その上に新しい値札が重ね貼りされます。さらに値下げされると、上の値札だけ貼り換えられます。

この貼り換えの手間が大変で、時間がかかるし、実は頻繁にミスが起きています。そのため今は、電子棚札が増えているのですが、この話は別の機会にしたいと思います。

なお、電子棚札だと元値を見られないので、どのくらい値下がりしたのか確認できません。ちょっと残念です。といった状況ではありますが、この記事では従来の紙の値札が重ね貼りされている前提で解説していきます。

価格変動がわかりやすい例は「プリンター」

さて、価格変動のパターンが分かりやすい商品として家庭用プリンター(複合機)があります。家庭用プリンターが最も売れるのは、年末の年賀状作成時期です。その後、3月の年度末も少し需要が増えます。これに合わせて、主要メーカーのプリンターは以下のような値動きをします。

新製品が発表されるのは、毎年8月末です。そして、その新製品が店頭に並び始めるのが9月中旬から10月中旬。このとき最も値段が高くて、値札も1枚です。そして、この状態が数週間続きます。この間は、値引き交渉をしても、ほとんど応じてもらえません。

数週間から1ヶ月くらいすると、少し値下げした値札が貼られるようになります。しかし、まだ値下げ交渉は厳しいです。ねばっても、気持ち程度でしょう。

こうしたことを段階的に繰り返して、12月になると、だいぶ下がった感が出てきます。店によっては、値下げ交渉に応じるようになります。ただ、最も需要が大きい時期ですし、お客様も買い急いでいるので、値下げ交渉なしでどんどん売れていきます。

そして、年が明けて年賀状の需要がなくなるとガクンと値下がりします。そして、大きな変動がないまま3月末まで行って、年度替わって4月になると、また一段と下がります。このころになると、特に値引き交渉しなくても十分にお買い得感のある価格になっています。

そして、ゴールデンウイークから夏場はプリンターの買い替え需要が少ないので、低め安定の時期です。来客数も少ないので、値引き交渉しやすい時期ともいえます。

そして、8月末、次の新製品が発表されるころには下がり切っている感じです。しかし、さらに下がるのは次の製品が店頭に並び始めた10月以降。新製品と旧製品が並行して売られていて、旧型でいいなら機種にもよりますが新製品の半額くらいで買うことができます。

旧製品にはデメリットもある

ただし、旧製品は売りきれたら終わり。希望の機種がなかったり、好みの色がなかったりします。また、メーカーによっては、こうした状況を避けるために9月ごろには旧型が完売するよう出荷数を調整しています。

もちろん、新型の方が新しい機能があって魅力的なわけですが、ほとんど機能差がない年もあるので、そういったときは旧型を狙うのもいいでしょう。

今は、定型パターンがない商品が増えている

以前は、上記のように商品ごとに新製品の時期がおおむね決まっていて、そこを起点にして同じように値下がりしていました。しかし今は、このパターンが崩れている商品が増えています。

特に、国内メーカーが海外企業の傘下に入ると、新商品への切り替えサイクルが短くなったり、同じジャンルの商品を段階的にズラして発売するようなケースが見られます。そのため、一概に「何は何月に買うと安い」と言えなくなってきました。

とはいえ、個々の商品で見ると、発売直後が最も高くて段階的に下がるというパターンは同じです。元の値段と上貼りされている値段を見比べて、その差が大きい商品ほど、発売から時間が経っている、もうすぐ新製品が出るかもしれないと思っていいでしょう。

最安値はどのくらいが目安?

最終価格の目安は最初の値段の6割くらいですが、商品によって異なるので一概にはいえません。半値以下まで下がる商品もありますし、最終価格でも当初の価格と大差ない商品もあります。また、2~3年、モデルチェンジがなくて、ほぼ下がり切った値段が何か月も続いている商品もあります。

念のために書いておきますが、段階的に値段を下げるのは、仕入れ価格が段階的に下がるからです。発売当初に、販売店が暴利を得ているわけではありません

実際には、メーカー側の販売会社と家電量販店の本部との間で複雑なやり取りがあって、少しずつ値引きできる要因が増えていきます。それに応じて店頭価格を下げていく感じです。

価格交渉したいなら、価格変動が少ない時期がねらい目!

値引き交渉編でも書いたように、今は値下げできる幅が少ない上、交渉には労力と時間がかかるので値下げ交渉はあまりメリットがありません。とはいえ、「交渉するのが当たり前」「値引きなしでは買いたくない」という人がいるのも確かです。

そういった場合、まず発売直後は難しいと思ったほうがいいでしょう。少なくとも発売から数ヵ月経って、ある程度の値下げが始まったころ、そして需要のピークが終わった時期が交渉しやすいと思います。

次の新製品が発表されて、あるいは発売されて、価格が下がり切っている時期も難しいです。最初から処分価格の値札が付いているので、ほとんど値引きの余地がありません。最後に残った展示品なら、もう一声の値引きサービスを期待できますが、これにもルールがあります。これは次回、詳しく書きたいと思います。

そろそろ買い替えだけど、まだしばらく大丈夫という場合は、店頭で、いつごろ安くなるか聞いてみるのもいいでしょう。もちろん店員は、本音では「今日、買ってほしい」と思っていますが、たいてい親切に教えてくれるはずです。

とはいえ前述のように、今は一斉に新製品発表ということはほとんどありません。どのジャンルの商品でも、「これは発売直後だから、まだ高い。こちらは、発売から時間が経って下がってきた。これは入れ替えが近いから今がお買い得」といった回答になる可能性が高いです。

その他の要因による細かな変動を見逃すな

以上が基本的な値動きのパターンですが、こうした大きな動きのほかにも細かな変動が頻繁に発生しています。

ライバル店のセールがきっかけになることも

紙の値札の場合、金曜日に価格を見直して、改定が必要な商品は翌日の土曜日から次の金曜日まで固定というのが基本でした。ただし、価格改定が不要な商品は日付だけ変えて値段は変わりません。

しかし今は、ライバル店が特価セールを行ったり、テレビ通販やネット通販で特売セールがあったり、あちこちで値引き競争が繰り広げられています。こうした状況に対応するため、週の半ばで値札を貼り替えたり、週末だけ貼り替えるといったことが頻発しています。

ときには、日曜日の午後、数時間だけタイムセールで激安価格といったこともあります。このときは、目立つように大きな値札が貼られたりします。ほしい商品が、こういう状態になっていたらチャンスです。ネット最安に負けない価格になっていることが少なくありません。

スタッフも特価セールの時期は直前に知る

ただ、これを狙って待っているのは現実的ではありません。どの商品が、どのタイミングで特価になるか、実は店舗スタッフもあまり知りません。本部が、他社やメーカーの動き、個々の商品の販売実績などを見なら、直前に決めることが多いためです。

どうしても特価で買いたいときは、テレビショッピングや通販会社の新聞広告、大手家電量販店のネット通販やチラシ、メーカー直販サイトなどを常にチェックするといいでしょう。そして、その価格を証明できるもの(新聞広告、チラシ、ネットの画面など)を持って店舗へ行くと、同じ価格になっていることが多いはずです。

なお、そういった特価には必ず期限があります。たとえば広告なら、「特価、〇月〇日から〇月〇日まで」といった記載があるはずです。その期間が過ぎたら、一度、元の価格に戻さないと法律違反になります。

そのため、翌週買いに行くと「確かに先週はその価格でしたが、今週はこの価格です」と言われて特価で買うことができません。ある程度の値引きには応じてくれるかもしれませんが、特価は期間限定、これが現在の商取引のルールです。

まとめ

冒頭に書いたように、なかには価格が変動しない商品もありますが、多くの家電製品は売値が頻繁に変わっています。下がる一方ではなく、値上がりする(元の値段に戻る)ことも多いです。家電製品は、実は生鮮食品のように常に価格が上下していると思ってください。

ただ、長期的に見れば段階的に下がっています。そして最後は、処分価格になります。次回は、そういった話をしたいと思います。

執筆者のプロフィール

文◆高山とほ(プロダクトライター)
長年にわたり家電量販店の店頭に立ち、いろいろなお客様に対応した経験から「それぞれのお客様にとって最適な製品を選ぶポイントを的確に伝える」ことをモットーにしているモノ系ライター。学生時代に工業デザインを学び、日本製家電の黄金期に郷愁を感じる世代。アウトドアを好み、道具にはこだわるほう。

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