家電生活は便利で快適だけど、実は、知らないこともけっこういっぱい。それぞれの機能をちゃんと理解して、上手に使ってやれば、今よりもずっと実力を発揮できたり、電気代を節約できる。ここでは「空調」について解説する。
夏場のエアコンは、つけっぱなしにしておいたほうが電気代が安い?
このテーマについては、ダイキンがつけっぱなしと小まめに消したときの消費電力を比較した実験をしています。それによると、夏場の日中につけっぱなしにした場合と、30分ごとにつけたり消したりを繰り返した場合、つけっぱなしのほうが消費電力が少なくなります。夜間は逆で、30分ごとにつけたり消したりしたほうが消費電力が少なくなります。
また、日中に原則エアコンをつけっぱなしにして、買い物1時間、子供の送迎30分、散歩30分、外食1時間の間だけ、そのつどエアコンを消した場合、つけっぱなしにしたときより消費電力が少なくっています。
この結果を踏まえると、原則つけっぱなしで、長時間の外出時に消すのが経済的といえそうです。
エアコンエアコンの冷房と除湿はどっちのほうが電気代がかかる?
エアコンの除湿には「弱冷房方式」と「再熱除湿方式」という二つのタイプがあります。弱冷房方式は、弱く冷房をかけることで、部屋を冷やしすぎないように除湿する方式です。再熱除湿方式は、一部メーカーの高級モデルに採用されている方式で、冷房で湿度を下げつつ冷気を加熱することで部屋の温度を下げずに除湿する方式です。
弱冷房方式は、弱い冷房なので冷房よりは電気代がかかりません。
再熱除湿方式は、冷房と暖房が同時に作動するので、冷房より電気代がかかります。
冷房していると自然と除湿もできるので、涼しくなりたいのに除湿を使うのは、あまり意味がないといえるでしょう。
富士通ゼネラルのノクリアX、Z、SVのように二つの方式を切り替えられるモデルもある
メーカー | シリーズ | 除湿方法 |
---|---|---|
日立 | X、S、W | 再熱除湿 |
G、D | 弱冷房除湿 | |
三菱電機 | FZ、FL、R、S、 GE、FD、XD |
再熱除湿 |
Z、X、ZD | 弱冷房除湿 | |
富士通 ゼネラル |
ノクリアX、 ノクリアZ、 ノクリアSV |
再熱除湿/ 弱冷房除湿 |
D、C、 ZN、DN |
弱冷房除湿 |
空調エアコンと扇風機は併用したほうが電気代が下がる?
エアコンと扇風機の併用は、室内の温度ムラを解消するのに有効な手段です。扇風機があると、エアコンの送風機能ではカバーしきれない場所にも冷風を送り込むことができます。部屋の隅まで涼しくしようとするとエアコンの全力運転時間が長くなりますし、エアコンの吹き出し口の真下は寒くなりすぎます。そのような状況に比べると、エアコンと扇風機を併用すると、電気代を抑えられる可能性があります。
一方、エアコンの真下に一人でいて、エアコンの風が届いているのに扇風機を併用すると、扇風機のぶん電力が余計に消費されていることになり、かえって電気代が上がってしまう可能性が高くなります。
空調室外機の温度が上がると、エアコンの冷房効率が下がる?
エアコンの室外機は、冷媒を圧縮して冷気を作る重要な役割をしています。室外機および室外機周囲の温度が高いと、効率よく冷気を作ることができず、エアコンから冷たい空気が出なかったり、消費電力が高くなり電気代が多くかかったりします。
対策としては、まず、室外機の掃除をして室外機のファンが正常に回り、スムーズに排気できるよう、ファンの前方に大きな空間を設けましょう。そのうえで、室外機に直射日光が当たらないように、ヨシズやタープで日陰を作るといいでしょう。
そのほか、室外機の上部に取り付ける日よけパネルが販売されているので、これを使ってみるのもおすすめです。
空調サーキュレーターがあれば、ある程度扇風機の代わりになる?
サーキュレーターの主目的は換気や循環にあります。室内の空気を窓から外に追い出すことに使われたり、天井付近にたまった空気を床まで循環させることに使われたりします。そのためサーキュレーターの風力は強力で直線的な風向きになっているものが多いといえます。
対して扇風機は、直接人間の肌に空気を当てることを目的にしており、優しい風力で、広く拡散する気流になっています。特に最弱風力は扇風機のほうがゆるい風となっているものが多いでしょう。
つまり、サーキュレーターの風は人が当たるには強すぎます。どちらか1台しか買わないなら扇風機のほうが便利です。
空調エアコンのリモコンがどこかへいってしまった。どうすればいい?
エアコンを使わない時期にリモコンをどこかにしまい込んでしまい、いざ夏や冬になって見当たらないというケースはあります。そんなとき、今すぐオン/オフしたい場合は、本体の電源ボタンを使います。ほとんどの機種は本体下面かフィルターカバーを開けたところにボタンがあり、全力運転のオン/オフが可能です。
ほかに、市販の汎用リモコンを購入して使うという手段もあります。ほぼすべてのメーカーのエアコンを操作できますし、近所の家電量販店やホームセンターで入手でき、温度調整や除湿などの主要な機能が使えます。
エアコンがWi-Fiに対応していて、スマホアプリで操作できる機種ならば、それを使う手もあります。費用もかからないので、調べてみるといいでしょう。
いずれにしても、エアコンのすべての機能をスムーズに使うには純正リモコンが必要になるので、どうしても見つからなければメーカー窓口に問い合わせて取り寄せましょう。
◆解説/福多利夫(フリーライター)