2018年の北海道胆振東部地震で被災して以来、筆者は「備えない災害対策」を重視しています。なぜなら、備えていないときに災害はやってくるから。そのため、先日エレコムから新しく発売された乾電池式モバイルバッテリー「DE-KD06シリーズ」を普段使い兼用で導入してみました。そこでわかったメリット・デメリットとは。
大規模停電の際にもっとも簡単に手に入った電源は乾電池
単3乾電池で動くということは、実は非常に重要

アルカリ単3形乾電池4本が付属して、そのまま保管しておけば、いざというときの備えとしても安心な「DE-KD06シリーズ」
日本に住んでいる限り、よほど運に恵まれた人以外は、それなりの規模の地震などの災害を体験したことがあるのではないでしょうか。筆者もご多分に漏れず、2018年9月6日の深夜3時に発生した北海道胆振東部地震を千歳市で体験しました。
マグニチュード6.7の地震は痛ましい犠牲を出しましたし、その後の大規模停電・ブラックアウトの規模には北海道民のほとんどが驚きました。数分レベルではなく、数時間、数十時間、数日というレベルで北海道の多くが停電したのです。
ガジェット好きで、アウトドア好きの筆者は、いくつものモバイルバッテリーを所有していましたし、スマートフォンやノートパソコンなどのモバイル機器も毎晩充電しているつもりでした。

写真のように「DE-KD06シリーズ」本体のほかに、アルカリ単3形乾電池4本とUSB Type-A to Type-Cのケーブルも付属します
しかし、実際には、モバイルバッテリーはほとんど充電されていませんでしたし、スマートフォンやノートパソコンの充電も中途半端な状態だったのです。災害に対しての準備のつもりではなかったのですが、毎日やっているつもりのことですら、できていないときに災害はやってくるのだと痛感しました。
それ以来、災害に対して備える意識も変わりましたが「備えない災害対策」を意識するようになったのです。いざことが起きる前に準備しておくのも重要ですが、いざことが起きてからでもなんとかなる「備えない災害対策」も重要だと実感したわけです。
北海道胆振東部地震の際には、深夜3時に地震が起きて、そのあと大規模停電が発生しました。電力が回復しなくても、その日のうちに、近所のスーパーやコンビニではレジのPOSシステムが復旧していない状態でも、店頭にテーブルを並べるなどして、乾電池やカセットガスといった災害時の必需品の販売をはじめたのです。
北海道全体で電力が供給されない状態で、筆者のまわりに最初に供給が開始された電力は、まさに乾電池だったのです。なかでも、汎用性が高く、どこでも扱っていたという点で、単3形乾電池や単4形乾電池は、震災直後も比較的入手が容易な電源でした。この点はとても重要です。
単3形乾電池4本で駆動する「モバイルバッテリー」

「DE-KD06シリーズ」の最大の特徴は単3形乾電池4本でモバイルバッテリーとして駆動すること。アルカリ乾電池だけでなく、ニッケル水素電池も使用可能
1台持っているだけで電源の困ったを解決する「DE-KD06シリーズ」
筆者は実体験として、災害時に乾電池で駆動する電気製品が有利であることを痛感しました。そして、今回エレコムから発売された乾電池式モバイルバッテリー「DE-KD06シリーズ」が災害時に力を発揮してくれることを確信しています。
ただし、災害時にしか、力を発揮してくれない災害用アイテムは、筆者の場合、忘れてしまうことが多いのです。そのため筆者の注目のポイントは、普段も力を発揮してくれるかどうかになります。

「DE-KD06シリーズ」の素晴らしいポイントの1つが、USB Type-AとUSB Type-Cのコネクタの両方に対応すること。このメリットは普段使いでも大きいのです
今回発売された「DE-KD06シリーズ」は単3形乾電池4本で駆動するモバイルバッテリーです。単3形乾電池4本付属で実勢価格は2,500円前後。カラーリングはブラックとホワイトの2色から選択可能になっています。
手にとってみて最初の感想は「意外と小さい」です。単3形乾電池4本で駆動するということもあるのですが、大きさは約8.7cm×3.6cm×3.6cm、重さは約54g本体のみ、電池を入れると約125g。普段、筆者が使っている大型のモバイルバッテリーに比べるとかなり小型です。
小型ではありますが、本体にはUSB Type-AとUSB Type-Cのコネクタを1つずつ装備。おかげでUSB Type-C to ケーブルも、USB Type-A toのケーブルも使うことができます。ただし2ポート同時充電はできません。またUSB PDには非対応です。
本体の電源スイッチをONにスライドすると、電池残量がある場合はLEDライトが点灯、電池残量がない場合は消灯します。単3形乾電池4本でiPhone SE2を0%から50%まで充電可能。非常用としては十分でしょう。
また筆者にとって重要なポイントは、アルカリ乾電池だけでなく、充電して繰り返し使えるニッケル水素電池にも対応していることです。コンパクトで軽量、電池を入れれば、すぐに使えるので、災害時はもちろん、自宅や外出先でも、ちょっと困っても、簡単に充電ができる点は、非常に便利です。
乾電池式モバイルバッテリー「DE-KD06シリーズ」を実際に使ってみた

スマートフォンだけでなくUSBから電源供給可能なアウトドア用のLEDランタンなどにも使うことができます。災害時には非常に心強いわけです
充電忘れにとても便利、ただし不満点も2つ
「DE-KD06シリーズ」を入手して以来、筆者は日常的に持ち歩いたり、自宅に置いたりして利用しているのですが、かなり便利です。そんなに乾電池式のモバイルバッテリーを使う? と疑問に思う方もいるでしょう。ですが、我が家はカメラのストロボに使うので、常に単3形のニッケル水素電池が充電されているのです。
そして、我が家にもリチウムイオン電池のモバイルバッテリーが複数個あるのですが、筆者はもちろん、妻や4歳の息子までが利用するので、使おうと思ったとき充電されていないことが多々あります。

機種によっては供給電源のパワー不足も懸念されてますが、ハンディファンなどにも使用できるのは、酷暑の中での被災を想定するとありがたい
これに対して単3形電池を4本入れるだけで、いつでも使える「DE-KD06シリーズ」はとても便利。電池を入れて、カバンに入れておけば、出先で電源の確保できるところまでの一時的な電源としても活躍してくれます。電池を入れ忘れても、コンビニなどで単3形乾電池を買えば、問題が解決する点も素晴らしい。
ただし、不満がないわけではありません。これは根本的な問題なのですが、単3形乾電池4本が電力源なので、5V/0.5Aと電力が弱い。普段からUSB PDなどに対応したモバイルバッテリーに慣れていると、充電速度は、驚くほどの遅さです。

筆者の個体だけなのかもしれませんが、写真のように電池ボックスのフタが少し開いて隙間ができるのは、動作に問題がなくても筆者は気になるのです
充電速度が遅くても充電されるならよいのですが、電力が足りずに充電されなかったり、使えなかったりするデバイスもあるので、これは事前にどのくらいの電力供給が必要なのか、チェックしておく必要があります。とはいえ、災害時でなくても、困ったときに簡単に電源が確保できるのは、とても便利。
ですが、筆者は最後に1つ気になっていることがあります。それは、筆者の「DE-KD06シリーズ」がハズレ個体なのかもしれませんが、電池ボックスの金具の力が強すぎるのか、使っていると電池ボックスのフタが少し開いて隙間ができるのです。使用にはまったく支障はないのですが、ずっと気になっています。
単3形乾電池4本で駆動して災害時でなくも「電源がない!」というピンチを容易に救ってくれる「DE-KD06シリーズ」は思った以上に便利です。災害用と構えることなく、1台持っておくと、日常のピンチも救ってくれますよ。
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