冷蔵庫の故障というか寿命の前兆は、ズバリ『冷えが悪くなる』ということだ。また、突然冷えなくなるのは、何かしらの事故で冷媒が一瞬で全部抜けてしまったか、コンプレッサーが動かなくなったことが原因。これは寿命ではなく故障。ここでは、冷蔵庫についての疑問をわかりやすく解説していく。
冷蔵庫はどのタイミングで買い替えるのがいい?
読者からの質問
冷蔵庫の買い替えのタイミングが、よくわかりません。故障で使えなくなる前に新品を買いたいのですが、その前兆としてどういうことがあるか教えてください。また、新品の購入時に気をつけることがあれば、それもお教えください。(I.Yさん 岐阜県)
編集部:
壊れる前に買い替えるとなると、タイミングが難しいですね。この質問はフリーライターの福多利夫さんに聞きます。故障の前兆ってありますか?
専門家の回答
専門家:
「冷蔵庫の故障というか寿命の前兆はあります。それはズバリ『冷えが悪くなる』です。冷蔵庫の原理を簡単に説明すると、環境にやさしい代替フロンガスの冷媒を冷蔵庫に内蔵されたコンプレッサーで圧縮して液化し、それがガスに戻る際の気化熱で空気を冷やします。その空気を冷蔵庫/冷凍庫の庫内に送ることで低温を作り出しています。
冷蔵庫の寿命のポイントは冷媒です。冷蔵庫内にはたっぷりと冷媒が注入されていますが、ごくごく微量ながら、じわじわと外部に漏れて量が少しずつ減っていきます。冷蔵庫のカタログスペックを維持できないほど冷媒の量が減ると、庫内が冷えなくなります。設定で『強』にしているのに『中』ぐらいにしか冷えないようになったら、寿命が近いと考えればいいでしょう。購入時から正常に稼働している冷蔵庫ならば、冷えが悪くなり始めるのは購入から15年以降だと思います」
編集部:
突然冷えなくなるのではなく、冷えが悪くなるんですね。
専門家:
「突然冷えなくなるのは、何かしらの事故で冷媒が一瞬で全部抜けてしまったか、コンプレッサーが動かなくなったことが原因でしょう。これは寿命ではなく故障です。メーカーが冷蔵庫の補修部品を保有していなければならない年数は製造終了から9年間ですから、それ以前に故障した場合は修理を検討してもいいですね。もちろん、製氷機が動かなくなったといった、メインの冷却以外の機能が故障した場合も、修理を検討するといいでしょう。いずれにしろ、購入からの年数と修理費の兼ね合いで、修理か新品購入かを決めることになると思います」
編集部:
新しく買う冷蔵庫を選ぶときの注意点はありますか?
専門家:
「今使っている製品と、買おうと思っている製品の、容量と外観のサイズをしっかり把握することです。近年の冷蔵庫は断熱材の性能が向上したため、10年前の製品に比べると外観サイズの割に容量が大きくなっています。同じ容量の製品を買うと、意外に小さくてびっくりするかもしれません。冷蔵庫の設置場所のサイズに合わせれば、今より大容量の冷蔵庫が置けることになります。また、今までと同じ容量の製品なら、消費電力が小さくなっているので、電気代が安く済むようになるはずです。どちらがいいかは、ご自分のご都合で選べばいいでしょう」
編集部:
最近の冷蔵庫は、大容量でもコンパクトということですね。ありがとうございました!
◆イラスト/はやし・ひろ