少し手間のかかる道具を使いこなし、不便を楽しむのもキャンプの醍醐味です。自分にとっての最上の道具を選び抜くのも楽しいもの。書籍『キャンプて゛したい100のこと』(西東社)の中から、シーン別のフレキシブルなタープの張り方、最適なチェアや、小型の簡易ベッド「コット」の選び方をご紹介します。
本稿は『キャンプて゛したい100のこと』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
七変化! タープの張り方を極める
タープの張り方はひとつじゃない
タープに正しい張り方はあっても、決まった使い方はありません。
キャンプサイトのカタチや天候・季節に応じてさまざまに使い分けられるのがタープなのです。風が気になれば風上だけを低く下げる、日差しが強ければ南側や西側を下げて日除けにするなどフレキシブルに使えます。
とくにポールを6本備える四角形のレクタングラータイプなら、四隅を上げたり下げたりして、実に多様な形態での設営が可能です。
自由な発想でタープを活躍させよう
タープはポールとロープがなければただの一枚のシートですから、アイディア次第でさまざまに活用できます。ポールを減らしてもいいし、ロープを増やしてもいいのです。
たとえば、縁から雨だれがひどいと思ったら、角のポールを外して代わりにロープで地面に引っ張れば、そこから雨水が流れるようにできます。ひどい豪雨に見舞われたら、四隅のポールを外して、真ん中に荷物を寄せて鋭角に張ればいいですし、風も強いようなら一本のポールだけ使って風上をすべて下げるという使い方もできます。
そして、ポール一切なしで、地面にべったりと貼り付けるようにして荷物を守ることもできます。悪天候なときほどタープは活躍してくれるのです。
(1)ハウスモード
通常の使用方法。天気がよければ眺めのよいこのモードがオススメ。
(2)風除けモード
風上側だけポールを外して、直接地面からロープを張るモード。
(3)日除けモード
長いポールをサイド側に使い、全体が傾斜するようにするモード。日陰を大きくできる。
(4)雨天モード
ポールを減らして、タープの角を地面にロープで張るモード。そこを伝って雨水が流れてくれる。
(5)豪雨モード
吹き込む雨を避けて、地面ギリギリまで両端を下げるモード。
(6)ビバークモード
ポールを一本だけ角に使用して、他の角をすべて地面にペグで打つモード。
(7)カバーモード
荷物を雨風から守るモード。人は車やテントに退避して天候の回復を待つ。
最適チェアを選んでアウトドアを制す
長い時間を過ごすチェアはお気に入りを選びたい
キャンプサイト滞在中、もっとも長い時間を過ごすのが、チェアの上と言っても過言ではありません。最初はその場しのぎの安価なものでそろえてしまいがちですが、一度買うと長く使うアイテムなので、必ず座って試して、できるだけ座り心地のよい物を選びましょう。
可動部にプラパーツを使用するチェアは、その部分が破損しやすいので、同じ価格帯でも見比べて、しっかりした素材や形状のものを選んで。
今オススメのチェアはこの3タイプ
座り心地を重視するならアームチェアタイプがよいでしょう。ひじかけがあってゆったり座れます。中でも頭のほうまで背もたれがあるタイプがゆったりくつろげてオススメです。カップホルダーがあるタイプはテーブルが広く使えて便利です。
▼アームチェアタイプ
折りたたみ時は約90cm程度の長さに。重量は3kg前後。
ファミリーならベンチタイプがひとつあると便利。子どもはじっとせず、あちこち動き回りますから、座ったり立ったりがしやすいベンチのほうが、使い勝手がいいのです。眠くなったらそのまま横になってもOK。
▼ベンチタイプ
折りたたむと100cm×60cmほどに。重量は4〜5kgと少し重め。
コンパクトさを重視するならバケットタイプがオススメ。包み込まれるような座り心地と、持ち運びやすさが◎。焚き火台にもちょうどいい高さです。とにかくコンパクトなのでキャンプ以外でも家の中、近くの公園などでさっと使うこともできます。
▼バケットタイプ
折りたたみ時は40cmほどに。重量も1〜2kgとトレッキングにも持ち出しやすい軽さ。
もはや定番 コットの沼にハマる
コットという選択肢を知る
キャンプに慣れてきたら、寝袋&マット以外の方法もあります。小型の簡易ベッドともいえる「コット」です。
地面からの冷気や熱気、段差、地形などまとめてシャットアウト。いつでもどこでもフラットで快適な寝心地が得られるのですから、一度使ったらやめられないというものわかります。
コットがあれば地面に何も敷かないフロアレスなスタイルも可能。靴をはいたままテントに出入りできて便利です。日中はベンチとしても使えます。
コンパクトかワンタッチか そこが問題だ
コットは大きく分けて、組み立て式でコンパクトになるタイプと、チェアと同じようにパタンとたためるワンタッチタイプがあります。寝心地は大きく変わらないので、持ち運びやすさを取るか、手軽さを取るかで選ぶことになるでしょう。
コンパクトタイプではヘリノックスの物が人気。フレームの組み立てにはそれほど力が要らず、スームズにできるのが特長です。オプションで脚を延長できるので、ハイスタイルにもできます。
▼コンパクト&フレキシブル
とにかく軽いので、トレッキングなどにも連れ出せる。収納時は全長50cm程度。重量は2kgちょっとぐらいで、高さも変えられる。
折りたたみチェアをそのまま大きくしたようなワンタッチタイプは、少しかさばりますが、数秒で設置できちゃう手軽さが魅力。オートキャンプにぴったりです。
▼ワンタッチ&シンプル
パッと開いてパッと片付けられる手軽さが◎。収納時は1mぐらいが主流。重量は5〜6kg。
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なお、本稿は書籍『キャンプでしたい100のこと』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。本書は、キャンプの楽しみや喜びがさらに増すように、試行錯誤がより充実したものになるように「キャンプでしたいアイデア」を集めた、191ページに及ぶ良書です。掲載されているさまざまなアイデアを試して、ぜひ自分のスタイルを作り上げてください。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※(2)「焚き火編 ロケットストーブ・スウェーデントーチ」の記事もご覧ください。