写真クラウドの定番サービス「Googleフォト」では、無料プランで保管できるデータは最大15Gバイトまでに限られる。それでも保存画質を落とせば、おおよそ1万枚以上の写真をアップロードできるが、それでもいずれは容量不足は避けられない。そんなときのためにデータのバックアップや他クラウドへの移行方法をしっかり押さえておこう。
Googleフォトの無料容量は「15Gバイト」まで!
数ある写真クラウドのなかでも特にユーザー人気が高いサービスが、ご存知「Googleフォト」だ。
2021年5月末日をもって、残念ながら写真の無制限アップロード機能は終了してしまったが、それでも無料で保存できる写真データは最大15Gバイトまでと、他の写真クラウドと比べても大容量のストレージを提供。さらに、使いやすい共有アルバムや写真プリントのオンライン注文、多彩なフォトレタッチなど、機能面も非常に充実している。写真クラウドの本命サービスとしての地位は、当面は揺るぎそうもないだろう。
とはいえ、無料の無制限アップロードサービスが終了したことはやはり大きな痛手であることに違いはなく、このまま写真を保存し続ければ遅かれ早かれストレージ不足に陥る。そうした際に不要な写真を1枚ずつ取捨選択してストレージを空けるのは非常に手間だし、何より慌てて整理していると誤って大切な写真まで消してしまうリスクもありうる。
しかし、ご心配なく。というのも、実はGoogleフォトにはクラウドに保存した写真を一括ダウンロードできる機能がしっかりと備わっているからだ。
例えば、クラウド上の写真を削除する際も、あらかじめすべての写真を一括ダウンロードして控えておけば、万が一、大切な写真を消してしまっても大事に至ることもない。
また、1枚ずつ写真を整理するのが手間なら一括ダウンロード後に、すべての写真をクラウドから削除して空き容量を一気に確保するという荒ワザも心配なく使える。さらに、一括ダウンロードした写真データがあれば、他クラウドへの乗り換えもスムーズに行えるはずだ。
次章からはGoogleフォトからの一括ダウンロード方法を始め、他クラウドへ簡単に移行するテクニックなどを解説していくので、ぜひ参考にしてほしい。
Gogoleフォトの一括ダウンロード方法
Googleフォトで写真を一括ダウンロードする際には、「パソコンのブラウザー」を使用する。スマホ向けのGoogleフォトアプリでは、一括ダウンロードは非対応となるので注意してほしい。
それでは、まずパソコンのブラウザーからGoogleフォト公式サイトにアクセスしよう。
アルバム単位の一括ダウンロード
少々本筋からずれるかもしれないが、すべての写真の一括ダウンロードを説明する前に、「アルバム単位」の一括ダウンロード方法もレクチャーしたい。
というのも実際のところ、アルバム単位のダウンロードは、すべての写真の一括ダウンロードよりも利用する機会がなにかと多いからだ。例えば、お店の写真プリントを注文するときも目的のアルバムを手早くピックアップできるし、知人や友人に旅行写真をプレゼントする際にもアルバム単位でUSBメモリーなどに手間なく保存できるなど、なにかと重宝する。
アルバム単位の写真ダウンロードを利用するには、まずブラウザー版のGoogleフォトにアクセス。次に、画面左端のサイドメニューから「アルバム」をクリックする。
アルバム一覧が表示されたら、一括ダウンロードするアルバムを画面からクリックして選択する。
アルバム画面が表示されたら、画面右上の「︙」(その他のオプション)アイコンをクリック。
続いて、オプションメニューの「すべてダウンロード」をクリック。これでダウンロードフォルダーにアルバム写真一式をまとめた圧縮ファイルが保存される。ダウンロード完了後は圧縮ファイルを解凍して、元のアルバム写真を表示すればOKだ。
すべての写真を一括ダウンロード
すべての写真の一括ダウンロードを利用する機会は、めったにないと思うかもしれないが、思いのほか必要に迫られる機会は少なくない。例えば、万が一に備えてのバックアップ作成のほか、他クラウドへの移行などの際には、基本的にすべての写真の一括ダウンロード作業が必須となる。
覚えておいてソンはないし、操作も非常に簡単なので、この機会にしっかりとマスターしておこう。
まずブラウザー版Googleフォト画面の右上にある「歯車」(設定)アイコンをクリック。
設定画面が開いたら、「データのエクスポート」→「v」をクリックしてプルダウンを展開する。
「データのアーカイブをバックアップする」の「バックアップ」をクリック。
「Googleデータエクスポート」画面に遷移したら、「追加するデータの選択」の「次のステップ」をクリックする。
「ファイル形式、エクスポート回数、エクスポート先の選択」のステップでは、一括ダウンロードしたファイルの保存先のほか、定期的な自動エクスポートの設定、一括ダウンロードするファイルの圧縮形式や分割サイズなどを指定できる。
例えば、設定次第ではDropboxやGoogleドライブなどのクラウドストレージにGoogleフォトの写真を半年ごとに定期バックアップすることも可能だ。
もっとも、特にこだわりがなければ、初心者の場合、初期設定を利用するのがオススメだ。初期設定では、ダウンロード先のURLをメールでも取得できるほか、ダウンロード頻度は今回1回限り、圧縮ファイル形式はZIPフォーマット、ダウンロードファイルが2Gバイトを超える場合は、自動的に複数ファイルに分割してくれる。
わかりやすくいえば、すべて写真データを2Gバイトごとの分割ファイルにまとめたうえで、ダウンロード先のURLを提示してくれる、といったところだ。
設定に問題なければ「エクスポートを作成」をクリックすると、一括ダウンロード用に圧縮ファイルの作成が開始する。
なお、この作成作業にはGoogleフォトの保存枚数によっては、最大数日かかる場合もある。無料プラン容量の15Gバイトに収まる枚数であれば、数時間で終わる場合がほとんどだろうが、なるべく余裕をもって作業したほうがいいだろう。
ダウンロード準備が整うと、その旨が画面に表示される。ダウンロードは本画面の「エクスポートを表示」から行えるほか、Gmail宛に届いたメールからも実行可能だ。
クラウド連携サービスならダウンロード不要でバックアップ可能
一括ダウンロード機能によりGoogleフォトでは写真のバックアップ手段がしっかり担保されている点は非常にありがたいが、クラウドに保存した写真の枚数が非常に多いと、当然、ダウンロードには非常に時間がかかる。さらに、データサイズも決して小さくはないため、ダウンロードファイルがパソコンのストレージを圧迫する可能性も高い。
加えて、Googleフォトから他クラウドへ移行する際には、ダウンロードした写真ファイルを再度、乗り換え先のクラウドへアップロードする手間も発生する。こうした面倒を考慮すると、安易に他クラウドを移行する気になれないのも致し方ないところだろう。
クラウドのデータ転送には「MultCloud」が便利!
こうした面倒を避けたい場合にうってつけなのが、Googleフォトの写真をほかのクラウドと連携してそのまま転送するという方法だ。
そこで出番となるのが「MultCloud」と呼ばれるクラウドサービスだ。MultCloud自体はクラウドストレージは提供しておらず、あくまでクラウド間のデータ転送に特化したサービスとなる。
MultCloud
公式サイト:https://www.multcloud.com/jp/
MultCloudを活用すれば、例えば、Googleフォトに保存したファイルをオンライン上でDropBoxやOneDriveなどの他のクラウドストレージにそのまま転送したり、ファイルエクスプローラー感覚で使える専用ツールを用いて、異なるクラウドストレージ間でファイルをコピーしたり移動したりも可能。MultCloudはクラウド間の橋渡し役を担うサービス、とでも考えてもらえればわかりやすい。
対応するクラウドサービスもGoogleフォトやDropBox、OneDirve、MEGAなど、30種類以上と極めて豊富。Googleフォトのみならず、他のクラウドストレージ間の移行にも役立つはずだ。
なお、MultiCloudでは高機能な有料プランも提供しているが、単純なファイル転送だけなら無料プランでも十分こなせる。注意点としては無料プランで転送できるデータは「毎月30Gまで」という点だが、Googleフォトの無料プランで使えるデータ量は15Gバイトまでのため、全ファイルを転送しても制限にかかることはそうそうはないはずだ。
Googleフォトの写真データをOneDirveに転送する
今回は、クラウドストレージ間のデータ転送機能について、「GoogleフォトからOneDiriveへのファイル転送」を例にとって解説する。いったんOneDriveへの転送方法を把握すれば、同様の手順でDropBoxやGoogleドライブなど、ほかのクラウドストレージへのファイル転送も行うことが可能だ。
MultCloudを利用するには、本サービスのアカウント取得が必要となる。MultCloud公式サイトにアクセスし、画面右上の「無料登録」をクリックしよう。
アカウント作成用のフォームが表示されたら、名前とメールアドレス、登録パスワード、画像認証といった必要事項を入力し、「アカウントを作成」をクリックする。
アカウント登録を省略したい場合は、Facebook、もしくはGoogleアカウントを利用してのソーシャルログインも可能だ。
アカウント作成が完了すると自動的にサインインし、MultCloudのメイン画面が表示される。この画面右にある「クラウドを追加」→「Google Photos」を選択しよう。
ウィンドウの「Google Photos 追加」をクリック。
Googleアカウントの選択画面が開いたら、MultCloudで利用するGoogleアカウントをクリックする。
「許可」をクリックして、MultCloudとGoogleアカウントの連携を実行する。
MultCloudのメイン画面に「Google Photos」の項目が追加される。
Googleフォトと同様に、連携クラウドとして「OneDrive」も追加する。画面右の「クラウドを追加」→「OneDirve」をクリック。
「マイクロソフトアカウントのサインイン」ウィンドウが開いたら、OneDriveで使用しているマイクロソフトアカウントのパスワードを入力して「サインイン」をクリックする。
「はい」をクリックしてMultCloudとOneDriveとの連携を許可する。
MultCloudのメイン画面にOneDriveの項目が追加される。
連携クラウドの追加が終わったら、続いてGoogleフォトからOneDriveへのファイル転送を行ってみよう。
サイドメニューの「クラウド転送」を開き、「転送元」をクリックして「Google Photos」を選択。同様の操作で「転送先」には「One Dirve」を指定する。
これでGoogleフォトに保存された全ファイルを転送できるが、ここでフォルダー単位の転送も指定することも可能だ。
転送を開始する前に転送先のクラウドストレージに十分な空き容量があるか確認。問題なければ、画面右下の「ファイル転送」をクリックして処理を実行しよう。
転送が開始すると画面が初期状態に戻り、画面左の「タスクリスト」アイコンに通知が点灯する。
ファイル転送の状況は画面右の「タスクリスト」から確認可能。タスクリストを開くと、先ほど設定したOneDriveへの転送状が表示される。
ファイル数によってはかなりの時間を要するが、転送作業はクラウド上で処理されるためブラウザーは閉じても問題はない。時間を短縮したい場合は、より高速な転送速度を誇る有料プランへの加入も検討するのも手だ。
転送処理が完了したら、ブラウザーやスマホアプリのどちらでも構わないのでOneDriveにアクセスし、Googleフォトの写真が正常にアップロードされているか確認しよう。
まとめ
2021年5月末日でGoogleフォトの無制限アップロードが終了するという一報は多くのユーザーに混乱をもたらしたが、そもそも時代の最先端たるクラウドサービスの仕様変更は朝令暮改が常だ。そのたびに混乱していては、身がいくつあっても足りない。
しかし、今回解説した一括ダウンロードや移行方法のように、常にメインからサブのサービスに乗り換えられる準備を整えておけば、いざというときも落ち着いて対応できる。
写真クラウドに限らず、ネットサービスを利用する際は常にひとつにべったり依存するのではなく、データの移行方法やいつでも乗り換え可能なサブ的なサービスも準備しておくように心がけよう。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、キャンプも嗜む。初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。