年齢を重ねていくと、筋肉が落ち、骨盤を正しい位置に保ちづらくなります。骨盤がゆがむと内臓が下垂し、ウエストまわりに肉がつき、便秘などの下半身の不調が起こります。骨盤を正しい位置に戻せば、脂肪のたまりにくいカラダになり、むくみや冷え症、尿もれなどの不調が改善します。骨盤を正しい位置に戻す「コア締め」は、肛門括約筋や肛門挙筋など骨盤の中にある筋肉を意識することで、自然と肛筋を意識したやせる姿勢がとれるようになります。この「コア締め」ついて、書籍『見るだけでやせる コア締めダイエット』著者の久嬢由起子さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
久嬢由起子(くじょう・ゆきこ)
1982年1月26日生まれ、東京都出身。タレント、整体師(整体師養成認定講師)、肛筋トレーナー、ボディメイクトレーナー。3歳からクラシックバレエを始め、小学5年生でコンクールのジュニア部門で全国3位になる。高校生のときに雑誌のオーディションに合格し、芸能界へ。自身の激太りをきっかけに整体の勉強を始め、整体師認定講師の資格を取得。肛門まわりの筋肉に注目し、肛筋ストレッチを考案。著書に『やせたいなら肛筋を鍛えなさい』(KADOKAWA)、『魔法のしりペン体操』(扶桑社)がある。
▼久嬢由起子(Wikipedia)
▼久嬢由起子のRelax Life
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本稿は『見るだけでやせる コア締めダイエット』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/二階堂ちはる・有限会社ライトスタッフ
「最近、カラダが変わって…」あなたの肛筋、締まってますか?
歳を重ねるにつれてカラダが変わってきた、ダイエットしてもやせにくくなった……。年齢の影響で筋肉が衰えるからだと聞いたことがある方もいると思いますが、カギを握っているのが“肛筋”という筋肉であることはご存じですか?
おならを我慢するときに、お尻をキュッと締めますね。そのとき、膣や肛門を収縮するための「外肛門括約筋」「肛門挙筋」といった、複数の筋肉を使っています。これらをひっくるめて「肛筋」と呼んでいます。
ダイエットというと、体重にばかりに目がいってしまいます。でも実は、尿道・膣・肛門を“締める”役割をする肛筋こそ重要。特に女性のカラダは子宮や膣などの重みで、それらの筋肉に負担がかかる構造になっています。
肛筋が衰えると、ウエストやお尻がたるみ、脂肪がつきやすくなるだけでなく、尿モレや痔の原因に。肛筋を鍛えることが、全身のスタイルアップと、アンチエイジングに役立ちます。
“肛筋”がある場所は?
骨盤の底をハンモックのように覆っている筋肉が「骨盤底筋群」。この大部分を占めている肛門まわりの筋肉が、名付けて“肛筋”です。子宮など骨盤内の内臓が垂れ下がっていかないように支え、尿道や膣、肛門を締める役割を担っています。
ハンモックのような骨盤底筋群
肛筋(骨盤底筋群の多くを占める筋肉群)=外尿道括約筋+膣括約筋+外肛門括約筋+肛門挙筋
下から骨盤底筋群を見ると……
骨盤の下はこのように筋肉で覆われており、この上に内臓があるのです。
骨盤のゆがみがあなたのカラダを老けさせる
下腹だけがぽっこりしていたり、猫背や巻き肩の姿勢になっていたり……、背中や脇腹に脂肪がついて、後ろ姿が老けて見える……ということはありませんか?
これらの状態は、肛筋が衰えているから。カラダの中心であり土台となる骨盤は、肛筋によって支えられています。しかし、普段意識することのない肛筋は年齢とともにゆるんでしまうのです。
そして筋肉がゆるむことで骨を支えられなくなり、骨盤はゆがんでしまいます。その結果、お尻が垂れてきたり、下半身にお肉がついたりしてしまうのです。
さらに、骨盤は臓器の受け皿の役割も担っています。ですから、骨盤がゆがんでしまうと、その上にある内臓全体が下がってしまいます。姿勢が悪くなり、背中に脂肪がついたり、お腹がぽっこり出てしまう原因のひとつです。
骨盤はカラダを支える土台
骨盤はカラダの土台の役割。カラダの真ん中に位置し、上は背骨やろっ骨、肩甲骨、下は大腿骨とつながっています。カラダの中はひとつのつながりになっているため、骨盤のゆがみがさまざまな影響を与えるのです。
本稿は『見るだけでやせる コア締めダイエット』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
骨盤がゆがむってどういうこと?
骨盤が左右に開いたり、傾いたり、ねじれたりしているのが、「骨盤がゆがんだ」状態。骨盤がゆがむと、背骨が曲がったり、内臓を支えることができなくなります。また、骨盤が広がり、お尻も横に広がってしまいます。
また、骨盤がゆがむと、その上にある胸郭とのスペースが狭くなります。スペースがないカラダは、臓器が正常な位置に収まらず酸素や血液の循環がうまくできなくなり、代謝が落ちて脂肪がつきやすくなります。リンパの流れが悪くなり、不純物がカラダの中にたまってかたくなった脂肪がついたカラダは、肩まわりや腕の外側、前もも、ももの外側、ふくらはぎなどが縮んで、本来より短く見えてしまうのです。
また、自律神経にも影響を与え、消化機能が活発に働かなくなってしまいます。これによっても代謝は下がり、脂肪はたまる一方です。
さらに、胸郭のまわりの筋肉がかたくなることで姿勢が悪くなります。動くとすぐに息苦しいと感じるのは、呼吸が浅くなり、カラダに新鮮な空気がめぐらなくなっているから。血行が悪くなると冷えを招き、“めぐりの悪いカラダ”に。腕や脚のつけ根、足首などにあるリンパ節がつまり、むくみがひどくなったり、老廃物もたまりやすくなります。
代謝が悪く、つまったカラダ。このままダイエットしても決して、美しいスタイルにはなりません。これらはすべて、肛筋が衰え、骨盤がゆがむことで起こる症状です。逆にいえば、肛筋を鍛えれば、これらの悩みを解消できるということなのです。
骨盤がゆがむことで起こる症状
胸郭と骨盤の間にあるスペースが狭くなることで……
(1)酸素や血液が循環せず血行不良に
(2)脂肪がつき、筋肉がかたまったカラダに
(3)呼吸が浅くなり、息苦しい
(4)リンパがつまり、めぐりの悪いカラダに
見るだけで、締まったカラダはつくれる!
骨盤を整えるには、どのようにしたらよいのでしょうか。その“要”となるのが「肛筋」です。骨盤の中心にある「肛筋」を鍛えることで、左右どちらかに傾いていたり、後傾(骨盤が後ろに寝た状態)している骨盤が正常な位置に戻ります。
そうすると、骨盤とつながっている背骨や鎖骨、骨盤から下に伸びている脚も正しい位置に整うのです。では、どうすれば肛筋を鍛えられるのか?
答えは「見るだけ」。
「見る」ことで「これが正しいカラダの状態なんだ」「このようにカラダを使うんだ」ということを理解します。視覚からの情報は脳に伝わりやすく、今まで意識されていなかった筋肉が正しく使われるようになります。
それが脳で記憶され、肛筋を意識した正しい姿勢が自然にとれるようになるのです。肛筋が締まった状態が当たり前になり、骨盤や筋肉のバランスが整うことで、みるみるカラダが変わっていきます。
肛筋を鍛えることで変わる筋肉
腸腰筋や腹直筋、腹斜筋などのお腹まわり、お尻の大臀筋、内ももの内転筋は、キュッと締まったスタイルをつくるために重要な筋肉。下半身の筋肉は全身の筋肉量の70~80%を占めるといわれており、代謝も格段にアップします。
肛筋を鍛え、骨盤を正しい位置に戻すことがあなたの全身を変えるのです。
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なお、本稿は書籍『見るだけでやせる コア締めダイエット』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。運動や食事制限をしても、正しい姿勢で正しいカラダの使い方をしない限りその努力はムダ。では、どうしたらいいのか? それは日常生活でカラダがやせる動きをすることです。正しい姿勢が脳にインプットされていれば自然とやせていきます。正しい姿勢にするために、カラダの軸・コアとなる場所「肛筋」を意識して締めるのが「コア締め」です。本書では、見るだけでやせるカラダをつくる、コア締めの具体的な方法が掲載されています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。