【三大和牛の食べ比べ】松阪牛と神戸牛、近江牛の違いは?お勧めの調理法やウンチクを交えた実食レポート

グルメ・レシピ

クリスマスや年末年始など、これからは冬のイベントが目白押し。そんなときに食卓を彩るのは、すき焼きや焼肉、しゃぶしゃぶ…。たまには贅沢をして「ブランド牛を食べたい!」と思っている人も多いのではないでしょうか。本記事では、国産牛と和牛の違いから格付け、日本三大和牛の特徴などを詳細に解説。実際に食べ比べた感想もレポートします。

日本三大和牛の食べ比べのチャンス到来!

我が家で肉といえば豚肉と鶏肉。牛肉は月に数回で、ブランド牛なんて高嶺の花。そんな筆者が日本三大和牛の食べ比べを実現できたのは……クレジットカードのポイントの景品としてゲットしたのです!スーパーで購入する食品・日用品も電子マネーを使うようになってから、面白いほどポイントが溜まり、食の夢企画が実現しました。

そもそも和牛とは?

せっかくなら、和牛についてウンチクを語りながら味わいたい。まずは、和牛に関する基本的なことを学んでみました。

和牛と国産牛の違いは?

【和牛】日本の在来種をもとに作られた食肉専用の牛
【国産牛】日本で飼育・加工された牛
和牛は黒毛和種・褐色和種・日本短角種・無角和種の4種類のみ。なかでも黒毛和種は90%以上を占め、「和牛=黒毛」といってもいいほど。一方、国産牛は乳牛の雄の仔牛を肉用として肥育したもので、乳牛種・ホルスタイン種・ガンジー種・ジャージー種など。海外で産まれた牛でも、日本で3ヵ月以上肥育されると国産牛と表示されます。ちなみに「和牛」という言葉が使われたのは明治維新以降。海外から入ってきたものに対して、日本古来のものには「和」をつけて、「和牛」と呼ばれるようになりました。

黒毛和種とは?

もともと黒毛和種は、農耕役牛として重宝されていましたが、交雑改良して今のような肉質を生み出しました。一般的には、他種と比べて肉質のきめが細かく、脂肪が程よく入っているので柔らかい食感が特徴です。

日本三大和牛について

日本三大和牛とは、松阪牛、神戸牛、近江牛のこと。育った環境やエサは違いますが、ルーツはすべて一緒。そんな基礎知識やそれぞれの歴史・特徴についても調べてみました。

日本三大和牛のルーツは但馬牛

松阪牛、神戸牛、近江牛のルーツは、兵庫県の北部、日本海側に位置する但馬(たじま)地方で産まれた「但馬牛(黒毛和種)」。自然に恵まれた但馬地方は、朝晩の寒暖の差が大きく、夜露が下りることから、夏でもやわらかい若草が育つそう。牛の飼育に適した環境で、肉質はきめ細かく、美しい霜降りが入り、くちどけがいい点が特徴です。

おいしさの秘密は不飽和脂肪酸

「とろけるような味」「滑らかな舌ざわり」と表現される日本三大和牛。その秘密は脂肪にあります。 脂肪には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があり、和牛の中でも特に松阪牛、神戸牛、近江牛は、不飽和脂肪酸の比率が高いことが特徴。融点が低いのでくちどけがよく、悪玉コレステロールを低下させて血液サラサラ効果が期待できると言われています。

日本三大和牛それぞれの特徴は

『ニッポンの和牛』(枻出版社)より一部抜粋

甘くて深みのある上品な香りの「松阪牛」

松阪牛は「特産松阪牛」と「松阪牛」に区別され、但馬地方をはじめとする兵庫県の仔牛を900日以上、農家の手で一頭一頭手塩をかけて肥育されたものが「特産」と呼ばれています。その牛の状態や体調に合わせた管理を行い、食欲がないときはビールを飲ませたり、肉質を柔らかくするために焼酎でマッサージを行うことも。生産者が愛情を込めて育てた牛は、赤身の色味が濃くて肉の旨みが凝縮。肉眼では見えないほどのきめ細かなサシ、とろけるようなくちどけ、甘くて深みのある上品な香りが特徴です。
※ちなみに『松阪牛』の読み方は「まつさかうし」または「まつさかぎゅう」。「さ」が濁らないのが正しい読み方です。

きめ細やかな肉質が世界のセレブに愛される「神戸牛」

「神戸ビーフ」として親しまれる神戸牛は、世界的な知名度が高い和牛。明治時代に日本で初めて開港した神戸には、多くの外国人が訪れて自国に広めました。アメリカのオバマ前大統領が、2009年の来日で神戸ビーフをリクエストしたことは有名。政治家や王室関係者、芸能人など多くのセレブリティに愛され続けています。きめ細かな肉質と霜降りが特徴で、特に「すき焼き」がおすすめ。濃い味の料理ですが、肉質の違いが顕著に現れ、野菜や豆腐などもおいしくいただけます。

霜降りが多くてさっぱりとした味わいの「近江牛」

近江牛は、400年以上の歴史を誇る日本最古のブランド牛。肉食が禁止されていた江戸時代、牛肉の味噌漬けにした養生薬『反本丸(へんぽんがん)』と称して徳川将軍に献上され、全国各地に広まっていきました。琵琶湖をはじめ、周囲に広がる山々と清流が肥沃な土壌をつくり、その風土の中で育つ近江牛は、霜降りが多くてくちどけがよく、さっぱりとした味わい。生肉独特の生臭さが少ないため、「牛たたき」や「にぎり寿司」にも適しています。

食べる前に知っておきたい豆知識

格付けとは?

「A5」「A4」などの格付けは、生産者と購買者との間で枝肉の品質を客観的に評価判定し、公正な取引を確保するために「公益社団法人日本食肉格付協会」がつけたもの。アルファベットは歩留等級のことで「一本の枝肉から食用として利用できる赤身の量」を表し、A~Cの3つに区分されます。数字は肉質等級で「脂肪交雑(霜降り)」「肉の色沢」「肉の締まり・きめ」「脂肪の色沢と質」の4項目で判定。1~5の5区分があり、数字が高いほどおいしい肉と言われています。

牛肉の部位と特徴

サシ(霜降り)が入り柔らかくて濃厚な味わいの部位から、肉本来の旨みを感じされる赤身中心の部位まで、それぞれに特徴があります。

牛肉は「食肉小売品質基準」によって、イラストにある部位が定められています。

www.maff.go.jp

【ネック】首筋の部位。肉質は硬いが、よく運動する部分なのでコクと旨みをたっぷりと含んでいる。カレーやシチューなどの煮込み料理に向いている。
【かた】肩はウデと言われ、よく動く部位のため、筋肉質で脂肪分が少ない部分が多い。薄切りにして焼肉として食べるのがおすすめ。
【かたロース】肩から背中にかけてのロース部分。きめが細かく風味が良いのでステーキやすき焼きに最適。
【リブロース】赤身と霜降りのバランスがよく、旨みが濃厚で肉質がいい。人気部位のひとつでローストビーフやすき焼き向け。
【サーロイン】牛肉の最高部位。きめが細かく霜降りがあり、美しい形状からステーキ肉として重宝されている。
【ランプ】お尻に近いもも肉で、きめ細かくて柔らかい肉質。適度に脂身があるが、赤身が多くてさっぱりした上品な旨みがあり、厚切りステーキ向け。
【ヒレ】一頭から2本しかとれない希少部位。脂身が少なく、繊細できめ細かく、しっとりした肉質は、厚切りステーキに最適。
【そともも】きめが粗く、しっかりとした食感の赤身肉。肉本来の旨みを味わえる。薄切りや細切りにされたり、すき焼きなどに使われる。
【もも】牛肉の中では脂肪が少なく、ヘルシーな赤身肉。他の部位に比べて水分量が多く、ローストビーフや煮込み料理におすすめ。
【バラ(カルビ)】カルビは韓国語で「あばら骨の肉」の意味。一般的にはばら肉のことを指し、食感は少し硬めだが、コク深く脂身の甘みが強い。
【すね】ふくらはぎの部分の肉で、一般的に運動量が多く、脂肪が少ない部位。じっくりと煮込むことで旨味が出るのが特徴。ゼラチン質のコラーゲンが豊富で、よく煮込むと口あたりがよく、とろけるような味わいに。

日本三大和牛を食べ比べてみた

冷凍された松阪牛・神戸牛・近江牛のモモ・バラ(焼肉用)を、冷蔵室でじっくりと解凍してから鉄板で焼き、タレ・岩塩で味わってみました。

日本三大和牛の食べ比べセット

【見た目】
◎松坂牛は赤身中心とサシ(霜降り)が入っているものと肉によってバラバラ。
◎神戸牛は赤身が多い。
◎近江牛は均等にサシが入っていて、見た目が美しい。

鉄板で焼き始めると和牛独特の甘い香りが!

【香り・味わい・食感】
焼き始めると和牛独特の甘くて上品な香りが漂ってきました。
◎松坂牛は、赤身が多くて噛むほどに肉本来の味わいを楽しめる。サシが入ったものは柔らかくて食べやすい。
◎神戸牛は、香りがよく、赤身が多くて肉々しい。部位によるかもしれませんが、歯ごたえもあり肉好きな人におすすめ。
◎近江牛は、赤身と脂身のバランスがよく、柔らかい食感が特徴。味はさっぱりとしています。

まとめ

日本三大和牛はタレよりも塩で、野菜と一緒に食べるのがおすすめ

我が家では、日本三大和牛をタレと岩塩で、1人6枚ずつ試食しました。それぞれに多少の差はあるものの、大きな違いは感じられず、「すべておいしかった」というのが正直なところ。ただ、タレよりも塩で食べる方が、肉の味がわかりやすかったと思います。

タレと岩塩で味付け。岩塩の方が和牛の味が楽しめました。

今回は食通を気取って肉だけを味わいましたが、モモ・バラ6枚すべてを食べた後は、さすがに口の中が脂でまったりとして、お腹いっぱいに。子どもの頃、ハムを分厚くカットして焚き火で焼いて食べる丸大ハムのテレビCM(「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」というフレーズで人気を集めました)に憧れ、実際にやってみてしんどくなったことを思い出しました…。

肉だけでなく、野菜やきのこ、豆腐などと一緒にすき焼きやしゃぶしゃぶ、白米と一緒に焼き肉を食べるからこそ、肉のおいしさが引き立つというもの。これから年末年始にかけて、ご馳走を食べる機会があると思いますが、肉の食べ比べではなく、いろんな部位や食材、アルコールなどと一緒にバランスよく味わうことをおすすめします。

焼肉は、ごはんと一緒に食べると一層おいしさが引き立ちます!

参考文献・URL
『ニッポンの和牛』(枻出版社)
松阪牛協議会 https://www.city.matsusaka.mie.jp/site/matsusakaushi/
神戸肉流通推進協議会 http://www.kobe-niku.jp/top.html
近江肉牛協会 https://omiushi.jp/
農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2009/spe1_02.html

藤田美佐子(編集ライター)
京都市在住。フリーランスの編集兼ライターとして観光、食、求人、医療、ブライダルなど幅広い取材・執筆活動を行う。1児の母。趣味はマラソン・トレラン、美味しいものを食べたり、つくることが大好きな食いしん坊。

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藤田美佐子(編集ライター)

京都市在住。フリーランスの編集兼ライターとして観光、食、求人、医療、ブライダルなど幅広い取材・執筆活動を行う。1児の母。趣味はマラソン・トレラン、美味しいものを食べたり、つくることが大好きな食いしん坊。

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