テレビのボリュームを上げすぎると家族に迷惑がられたり、あるいは、深夜に一人で録画した番組を見たいときなど音量調節に気を遣ったりなど、いろいろな苦労があるのではないだろうか。そんなときに役立つのが「手元スピーカー」と呼ばれる製品。どんなふうに使えるのか、オウルテックから発売されている「テレビ用ワイヤレススピーカー OWL-TMTSP01」を試してみよう。
テレビ用スピーカーを実際に試してみた
テレビが薄型になったことで、大きく犠牲になったのが、音質である。ブラウン管時代と違って、スピーカーを搭載できるスペースが限られ、サイズや向きなどに制約が生じているためだ。もちろん、各社がさまざまな工夫で音質を向上させているが、日常的にテレビを見ていて、アナウンサーの声やドラマのセリフなどが聴き取りづらいといった不満を持っている人も少なくないはずだ。
そんなときに役立つのが「手元スピーカー」と呼ばれる製品。どんなふうに使えるのか、オウルテックから発売されている「テレビ用ワイヤレススピーカー OWL-TMTSP01」を試してみよう。
オウルテック
テレビ用ワイヤレススピーカー
OWL-TMTSP01
手元スピーカーのメリットとは?
現在、テレビ用の外付けスピーカーとしてよく知られているのが「サウンドバー」と呼ばれる、スリムな横長スピーカーだ。テレビの前に設置し、映画鑑賞をするときなどに、これ1本で迫力のサラウンドが楽しめる。こちらは、テレビの音質の物足りなさを補いつつ、一人でも、もちろん家族みんなでもエンターテインメント性を享受できるタイプといえる。
一方、「テレビの音が聴き取りにくくなった」「テレビから離れた場所でも音を聴きたい」「テレビを見ていても、周囲が騒々しい」などなど、純粋に、リビングでのテレビ視聴時の悩み事っていろいろとあるのである。そんな悩みを解決するのが「手元スピーカー」で、自分の手元、あるいは目の前で、自分だけのために音を鳴らせるのだ。
手元スピーカーは、テレビに送信機を接続し、そこから音声信号を無線で(有線タイプもある)手元に置いたスピーカーに飛ばして聴くという仕組み。無線だから、例えばキッチンに「手元スピーカー」を持っていけば、調理中でもテレビの音を聴くことができるわけだ。
「昭和」で「かわいい」デザイン
手元スピーカー自体は、ずいぶん前から発売されているが、デザイン的に注目できる製品は少なかったと思う。テレビを見ることがメインなのだから、スピーカーにはあまり存在感を持たせなくてもいいという考え方もあるが、とはいえ、目の前に置くのだから、どちらかといえばカッコいいほうがうれしい。そもそもカッコ悪いと、購買意欲だって薄れてしまうだろう。
その点、このオウルテックの「テレビ用ワイヤレススピーカー OWL-TMTSP01」は、据え置き型のラジオのようで、パッと見、手元スピーカーとは思えないスタイルが注目だ。向かって左側にスピーカー、右側にラジオの周波数調整ダイヤルがあり、そのつまみとアナログ表示が「昭和的」で「かわいい」存在感を醸し出している。そう、本製品は、テレビ用スピーカーといいつつ、ラジオ(ワイドFM)も聴けるのである。
周波数調整ダイヤルの左下には「オン/オフ」(電源スイッチとボリューム)スイッチ、右下には「テレビ/ラジオ」の切り替えスイッチがあり、いずれもシンプルで、迷うこともなく操作できる。背面には、ラジオ用のアンテナ、音質モードの切り替え(後述)、外部入力端子、イヤホン端子などが装備されている。スピーカー本体のサイズ(実測値)は、幅175mm×高さ152mm×奥行き55mm(突起部除く)。充電台のサイズ(実測値)は、幅187mm×高さ23mm×奥行き70mm(突起部除く)。
接続の仕方について
では、接続してみよう。まず、送信機とテレビの接続には、テレビのイヤホン端子、あるいはアナログ音声出力(RCA)端子を使うのだが、最近のテレビにはRCA端子のない製品も多いので、イヤホン端子を使うケースが多いだろう。本機には、接続用ケーブルが同梱されているので、それを利用して送信機背面の「AUX」端子とつなげばOK。送信機の電源は、付属のACアダプタ―を使い、送信機とスピーカー本体は無線接続となる。
本体はバッテリーを内蔵
スピーカー本体はバッテリーを内蔵しているので、使い始める前に充電が必要。充電時間は約3時間。連続再生時間は約8時間(50%の音量での使用時)だ。なお、本機にはACアダプタ―がもう1個付属していて、スピーカー本体も電源接続で使用することができる。使い方にもよると思うが、手元スピーカーのメリットは、どこにでも置ける、持ち運べる点にあるので、充電はしておいたほうがいいだろう。
実際にテレビの音を聴いてみたら…
接続と充電が済んだら、実際に音を聴いてみよう。まず、テレビの電源を入れて(イヤホン端子に接続しているため、テレビからは音が出ない)、次に、スピーカー本体の切り替えダイヤルが「テレビ」側になっていることを確認し、「オン/オフ」ダイヤルを右に回して電源をオン。そのままゆっくり回していけば、テレビの音声が流れてくる。音量調節はこのダイヤルを使うが、テレビのリモコンでも音量は変えられるので、普通にテレビを見ている感覚で使えるから便利だ。
しっかりとした音が「手元で」聴ける
まず、NHKニュースを視聴したが、アナウンサーの声が、手元でしっかりと流れてきた。目の前のスピーカーからストレートに伝わってくるため、多少周囲がざわついていても、確実に聴き取れる。イヤホン端子接続だから高音質と印象のものではなく、はっきりと届けてくれる。
例えば、料理番組では、フライパンで「ジューッ」と炒める音などもかなり聴こえてきた。こういった音は、通常は映像を見ながら自然と耳に入ってくる性質のものだと思うが、それが前面に出てくるため、場合によっては余分な音として、違和感を覚えるかもしれない。
また、録画してあるNHK大河ドラマ『青天を衝け』でも人物のやり取り(会話)がしっかりと聴き取れた。数分見ていると物語に入り込んでしまっているためか、手元スピーカーで聴いていることを忘れてしまうほどで、違和感はなかった。
1階から2階へ持って行っても音が途切れない
なお、本体の背面には、音質モードの切り替えスイッチ(テレビ/音楽)が装備されている。両者にどんな違いがあるのかと思い、「テレビ」から「音楽」に切り替えてみたところ、わずかながら「音楽」のほうは音が広がったように感じられた。
試しに、こちらも録画しておいた『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の音楽シーンを視聴すると、確かに「テレビ」モードより曲が少し元気めに聴こえたが、これについては好みで使い分ければいいかもしれない。ちなみに、家の中で持ち運んで聴いてみたが、1階から2階へ行っても音が途切れることはなかった(通信可能距離は約30メートル)。
ラジオも聴ける
前述したように、本機はテレビの音を聴くだけではなく、FMラジオも聴くことができる。ワイドFMに対応しているので、AM局も楽しめるのがうれしい。
ダイヤルで周波数を合わせるアナログ操作が楽しい
ラジオを聴くときは、前面のダイヤルを「ラジオ」に合わせて、周波数調整ダイヤルを回して目当てのラジオ局に合わせるだけ(背面のアンテナも立てるといい)。選局ボタンを押すのではなく、ダイヤルを回して周波数を合わせるというアナログ操作が、けっこう楽しいものだ。
受信感度は、いわゆる普通のラジオなので、聴く場所、置く場所、ラジオ局によって変わるが、わが家の中では、全体に良好な受信状態で聴くことができたといえる。今はラジオ人気も高いので、こういった一台を持っているのも楽しそうだ。
まとめ
「一人」で「小音量」でも使える!
本機は、これまでの手元スピーカーとは趣の異なるデザインがなかなか良好で、そこにアナログな操作が加わって、ガジェット的な魅力も感じられる。手元スピーカーは、テレビ視聴時のサポーターであるものの、その昭和感がにじみ出るスタイルは、見た目にも楽しませてくれる。
ちょっと気になる点といえば、本体のハンドル(持ち手)が固定式なところ。存在感もあるし、持ち運びたいときにすぐにつかめるのは便利だが、可動式にして背面側に回せると、出っ張りがなくなりテーブルや棚にもスッキリと置いておけそうだ。
音はストレートで、コンパクトながらしっかりと聴かせるタイプ。音の種類によっては、うるささを感じられてしまうかもしれないが、そこも含めて、本機の特徴といえるだろう。小音量でもけっこう使えるので、夜中の一人テレビにもピッタリだ。ラジオとしても日常的に使えるし、枕元スピーカーにもいいかもしれない。
通信距離30mでも良質な音:通信可能な距離が約30mと長く、キッチンなどのテレビから離れたところでの使用も可能です。離れていても良質かつ低遅延でテレビ音声を楽しめます。
かんたん操作/置くだけで充電:オン/オフスイッチを回すだけで使えるかんたん操作。充電器(送信機)にACアダプタを接続することで、スピーカーを置くだけで充電が可能になります。
ACアダプター2個付き:送信機だけではなくスピ…
文・写真=吉田正之(特選街web編集部)