果樹を育てたいけれど、どんなものがいいのか。自分の好きなもの、食べたいものを選ぶのがいちばんですが、果樹栽培に慣れていない人は育てやすそうなものを選ぶのも一案です。果樹選びについて、書籍『おいしい果樹の育て方』著者で、千葉大学環境健康フィールド科学センター助教の野田勝二さん(農学博士)に解説していただきました。
解説者のプロフィール
野田勝二(のだ・かつじ)
千葉大学環境健康フィールド科学センター・助教。農学博士。専門は果樹園芸学、健康機能園芸学。柑橘類の研究のほか、園芸療法・園芸福祉に関する研究も行っている。また市民とともに、サスナティブルな街づくりの活動にも参画している
本稿は『おいしい果樹の育て方 苗木選びから剪定、料理まで』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/角しんさく、はやしゆうこ
あなたにおすすめの果樹はどれ?
果樹を育てたいけれど、どんなものがいいのかと迷っている人もいるでしょう。基本的には自分の好きなもの、食べたいものを選ぶのがいちばんです。だた果樹栽培に慣れていない人は、庭の広さや環境、手間をかけられる時間などを考慮して育てやすそうなものを選ぶのも一案です。果樹選びの参考にしてください。
果樹を育てるのがはじめてなら…
失敗の少ない安心果樹
▼ブルーベリー
▼ブラックベリー
▼ラズベリー
▼キンカン
▼イチジク
▼ウメ
▼ジューンベリー
▼ザクロ
▼ポポー
など
ベリー類はほかの果樹に比べて、植えつけから実がつくまでの年数が短い果樹です。栽培も容易なので、気軽に果樹栽培を始めたい人におすすめ。
ただし、幼木のうちは実がついても数を制限して育てるのが長く栽培するコツです。ベリー類以外のものは比較的放任でも育ちますが、剪定は必ず必要です。
庭のシンボルツリーにしたいなら…
葉や花、実が美しい果樹
▼ウメ
▼カキ
▼リンゴ
▼ザクロ
▼サクランボ
▼ジューンベリー
▼ビワ
▼ウンシュウミカン
▼オリーブ
など
ウメやカキ、ザクロ、リンゴ、サクランボなどは、新芽、花、紅葉とそれぞれの時期で季節を感じさせてくれる果樹で、彩りのよい果実も魅力的です。
大きく育つものが多いので、庭のシンボルツリーとしての存在感は際立ちます。ウンシュウミカンなどの柑橘類やビワ、オリーブなら、常緑の美しい葉を通年楽しめます。
日当たりが心配なら…
多少の日陰ならOKの果樹
▼ビワ
▼イチジク
▼ブルーベリー
▼ブラックベリー
▼ラズベリー
▼ウメ
▼ザクロ
など
果樹は日当たりのよい場所で育てるのが基本ですが、半日程度は日が当たる場所、または日当たりのよい場所の半分ほどの日光量を確保できる場所ならOKという果樹もあります。
ただし、あまりにも実つきが悪い場合は栽培場所の再検討をしましょう。
本稿は『おいしい果樹の育て方 苗木選びから剪定、料理まで』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
庭植えのスペースが限られているなら…
鉢植えにもおすすめの果樹
▼ウンシュウミカン
▼キンカン
▼雑柑
▼ユズ
▼カボス
▼スダチ
▼レモン
▼ライム
▼オレンジ類
▼ブルーベリー
▼ブラックベリー
▼ラズベリー
▼オリーブ
など
柑橘類は全般的に鉢植えでも栽培しやすい種類です。キンカンは実つきがよく収穫量も確保でき、ユズやレモンは少ない数でも利用価値があるのでおすすめです。
ベリー類、オリーブなども鉢植えでの栽培が人気です。鉢栽培は、庭植えよりも水やりの管理が必要です。
本格的な栽培に挑戦するなら…
じっくり育てたい果樹
▼リンゴ
▼ナシ
▼モモ
▼サクランボ
▼ブドウ
▼キウイフルーツ
など
果樹栽培の経験がある人なら、少しだけ難易度を上げてみるのもよいでしょう。ほかの果樹と比べると、多少、手間ひまをかけることができる人向けです。
お世話に手をかけた分、収穫の喜びは大きくなるでしょう。仕立て方によっては、コンパクトに育てることもできます。
1年中グリーンのある環境がいいなら…
冬でも緑豊かな常緑果樹
▼ウンシュウミカン
▼キンカン
▼雑柑
▼ユズ
▼カボス
▼スダチ
▼レモン
▼ライム
▼オレンジ類
▼ビワ
▼フェイジョア
▼オリーブ
など
柑橘類は初心者でも比較的失敗の少ない果樹のひとつです。常緑樹なので、道路との境目などに植えつけると生垣のように目隠しの役割もしてくれます。
フェイジョアやオリーブは葉裏が白く、柑橘類と比べるとやさしいグリーンの印象です。
希少価値の高い果樹を育てたいなら…
あまりお店で買えない果実
▼レモン
▼雑柑
▼クリ
▼フェイジョア
▼ポポー
など
一般流通ではめずらしいフェイジョアやポポー、クリ、無農薬のレモンなどは、自家栽培なら十分な収穫を楽しめる果樹です。雑柑は種類が多いので、普段お店では見かけない種類に挑戦するのもよいでしょう。
どれも比較的手間をかけずに栽培できるものなので、ご近所さんに差をつけたい人におすすめです。
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なお、本稿は書籍『おいしい果樹の育て方 苗木選びから剪定、料理まで』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。果樹を育てたいけれど、どんなものがいいのか…。基本的には自分の好きなもの、食べたいものを選ぶのがいちばんです。だた果樹栽培に慣れていない人は、庭の広さや環境、手間をかけられる時間などを考慮して育てやすそうなものを選ぶのも一案です。本書では、苗木の選び方、幼木から成木までのお世話のコツ、肥料や病害虫対策など、果樹栽培の基本的な知識や、収穫した果実の保存方法とレシピなど、豊富な写真とともに紹介しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。