炭酸水は持ち歩きが難しい
私は炭酸飲料が好きです。シャンパン、ビールから始まり、コーラ、サイダー、ラムネ。ペリエ、そしてウィルキンソンの炭酸水に至るまで、毎日、何かしら飲んでます。ゲップが出るほど強烈なものも、ほどんど気が抜けたようなのも好きです。(だって刺激があるんだもん!)
ところが散歩のお供は炭酸水ではありません。持ってはいきたのですが、対応したステンレスボトルがないのです。ところが、今年、タイガー魔法瓶から朗報が入りました。炭酸用のステンレスボトルを発売します、と。普通のステンレスボトルとどこが違うのでしょうか?早速入手して使ってみました。
なぜ、ペットボトルではいけないのか?
今の飲料のほとんどは、ペットボトルで販売しています。炭酸も例外ではありません。しかし、炭酸飲料を持ち歩くことはなかなかしません。理由は温まると、劇的に炭酸が抜けるからです。気が抜けた炭酸飲料は実に不味いです。ビールもそうですし、コーラなどは飲めたものではないです。
このため炭酸を持ち運ぶときは、先方で冷やせるのも大事です。山なら冷たい谷川の水で、それなりに冷やせるとか。アメリカには「イギリス人はコークも温めて飲む」というジョークがあるそうですが、正直、絶対に飲みたくないですね。
要するに、炭酸をどこでも美味しく飲める=保冷が付いてまわるのです。
技術の鍵は「フタ」
炭酸で問題なのは、水に溶けている炭酸が温度上昇とともに気化し、内圧が上がることです。炭酸飲料のフタは中々に頑丈で、この圧力にかなりのところまで耐えられるようにできています。
しかし、噴き出すことはありますよね。これも内圧が高かったため、急激に空気が入ったため飲料が押し出されたわけです。こちらの方は、今でもありますよね。
では、保冷ボトルの場合、どんなことがポイントになるのでしょうか?
まず、気化した炭酸を逃さないことです。内圧は上がりますが、その分、気化しにくくなります。しかし内圧が上がりすぎると、フタは内側から押され開けられなくなります。ペットボトルと違い本体は金属。本体が膨らんで助けるなんてことは無理です。
矛盾するような要求ですが、これをクリアしなければなりません。
タイガーが採用したのが、キャップ開栓時には、炭酸ガスを先に抜く機構。普段はガスを逃さないのですが、開けようとした時に、ガスが抜ける機構です。
ペットボトルとほぼ同じ飲み口に、ペットボトルより、二回りくらいごっついフタが付いています。そのフタには、2つ手がかりが付いています。力の弱い人でも確実に回せる配慮です。
このフタ、かぶせフタなどなく、オレが守ると言う感じがします。技術的にも、デザイン的には、漢気が感じられます。船のパーツなどはそうですね。不確実な動作=事故につながる可能性がある海では、全パーツ、ゴツく、確実な仕様で作られます。
当然、内圧が高まりすぎた時に抜く機構、安全弁も設けてあります。過剰な圧力がかかった時に働き、中身の飛び出しを防ぎます。
気化する拠点を潰した、スーパークリーンPlusプラス加工
では本体には、何も施されていないのでしょうか?
大いに施されています。それが、「スーパークリーンPlus(プラス)加工」。単純に言うとボトル内側表面をツルツルにしたのです。
なんでもそうなのですが、モノが大きくなるときは、ある場所に「核」を作り、そこにいろいろなモノがくっ付いて大きくなります。炭酸も同じです。一つ泡が生じると、それを核にして大きくなります。この核は何かと言うと、壁表面の凹凸に引っかかった炭酸の小さな泡です。要するに壁面をツルツルにすることにより、炭酸の気化を抑えようという考えです。
個人的には24時間ほったらかしてもOK
今回、買ってきた炭酸水をT-080(800ml)に入れて試してみました。冬場なので、ボトルの温度も上がりにくかった=気化しにくかったためもありますが、口のみだと24時間後も、十分と言う感じでした。
コップに入れると、違いはあるのですよ。明白に、泡サイズ、泡量ともに少ないです。しかし今は、ある程度炭酸が抜けても問題ないように、かなり「強め」に入れてあります。ハイボールなどにするならちょうどいいのですが、開けたては、ラッパ飲みするときつい時もあります。
そう言った意味で、売られている時より抜けてはいるものの、冬場のキッチンに置いておいて、24時間後、口のみでも満足いく感じだったと言うことです。
気になるとは、フタと本体をつなぐ、幅広のバンド。幅広のため、常に元の形状に戻ろうとします。その上、先にはフタが付いています。ちょうど、恐竜の鎧竜、尻尾を棍棒として使うアンキロサウルスの尻尾のような感じ。抑えが甘いと、飲んでいる時、おでこにごちん。他のステンレスボトルはコップの延長なのですが、炭酸対応モデルは特殊であることを認識させられます。
商品サイズ本体:(約)幅10.5×奥行7.5×高さ21.2cm 本体質量:約290g
炭酸解禁!いつでもどこでも冷たい炭酸飲料を持ち運べる真空断熱ボトル
炭酸ガスの噴き出しを防ぎ開けやすい「ガス抜き機構」と内圧の高まりに対応する「安全弁」を備えた当社独自のBubble Logic(バブルロジック)を採用。 噴き出しや飛び散りを防ぐことにより、冷たくてフレッシュな炭酸を持ち運びできるようになりました。
ボトルの内面になめらかで光沢のあるスーパークリーンPlusプラス加工を施すことにより、内面に凹凸のあるボトルに比べて、炭酸の気化を抑えることが可能です。
「抗菌加工せん・キャ…
サーモスも炭酸用モデルを
タイガーのボトルをテストしていると、サーモスも炭酸モデルを出したと言う情報が入ってきました。
サーモスは00年代に出していたので、そのリファイン版と言えます。スープジャーの蓋の技術を応用。タイガーと同様の機能を持っています。
大きく違うのは、フタの扱い。こちらは、フタは取れる通常ボトルになっています。アウトドアにもピッタリのタイガー、目立たず飲むならサーモスと好みも出そうです。
まとめ
メジャーボトルメーカーの3社のうち、2社が導入してきた炭酸モデル。炭酸水だけでなくビールも入れられる優れモノ。当然、普通の水などもOK。ステンレスボトルを買うとき、嬉しい選択肢がまた一つ増えました。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き。