解説者のプロフィール

石崎 希(いしざき・のぞみ)
ボードゲームエバンジェリスト。1993年生まれ。出版社に勤務しながら、ボードゲームの収集・実践に日々励んでいる。その魅力を一人でも多く伝えようと、各種ボードゲームを詰めた重いリュックを背負って同僚の自宅を回るなど、布教活動に余念がない。
なぜボードゲームにハマるのか?
私自身、つい数年前まではボードゲームにハマるとは思ってもいませんでした。ボードゲームとの接点といえば、家にあったオセロや人生ゲームを、たまに家族でやっていた程度です。しかも、私が子どもの頃はDSなどデジタルゲームが主流だったので、友達とボードゲームをした記憶はありません。私自身、当時はボードゲームよりも、デジタルゲームの比率が高かったと思います。つまり、誰でもボードゲームにハマる可能性があるということです。
きっかけはサークルの合宿
ボードゲームに対する意識が変わったのは、大学3年のときです。所属していたサークルの合宿で、「お酒が飲めない人も楽しめる時間を作りたい」と思ったのがきっかけです。
初めて入った店で「街コロ」というボードゲームを買って、合宿に持っていきました。その店は、ボードゲームを扱う老舗・奥野かるた店だったのですが、当時はまったく知りませんでした。お店の2階で開催されていた「ご当地かるた展」を見に行って、たまたま目に付いたゲームを買っただけです。予備知識ゼロで、「街コロ」も完全にジャケ買いでしたが、今から思うと、奥野かるた店で「街コロ」を買ったのは、運命の出会いでした。
知らずに買った「街コロ」は、実のところ超有名な人気ゲームで、合宿でも大好評。2~4人でできるゲームなのですが、入れ代わり立ち代わりでみんなが参加し、私は混ざれないくらい盛り上がっていました。
ボードゲームの魅力は勝敗だけではない
ボードゲームの楽しさを知った私が次に買ったのが、「すきもの」というボードゲーム。江戸時代中期、茶器の買い付け人になって全国各地を回り、茶器を探して仕入れ、売るというゲームです。
「すきもの」は、まず外箱が凝っています。紙箱なのに、木箱に筆書きみたいな見た目で、触り心地もナチュラルな質感。外箱だけで、こっちの心をつかみに来ている感じです。また、カードに書いてある茶器や壺が、実際に博物館に所蔵されている有名な器だったりして、見ているだけでもおもしろいんです。

「すきもの」の外箱とカードの一部。
そして、ボドゲ沼に落とされる最後の一押しとなったのが、「枯山水」という日本庭園を造るゲームです。

外箱の絵がすでに「ただものではない」感じ。
8000円くらいする高価なゲームなのですが、部品のこだわりにやられました。ネットで、「枯山水の庭石は1個1個手作りで、商品ごとに形が違う」という情報を見て、「これは買わないと損する」と思ってしまったんです。実際に手に入れて、きれいに並んで収納された庭石を見たときには「うわあっ」と思わず声が出ました。

「枯山水」の庭石たち。

庭石が美しい。
ボードゲームの魅力は、勝敗だけではありません。カードや駒、部品の作りだったり、製作者の思いだったり。また、後述しますが、プレイヤーたちの性格や人生観などが染み出すボードゲームもあります。こうなるともう、勝敗は二の次で、欲しくなるし、やってみたくなります。