「手術しかない」といわれた脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、歩くのもつらい股関節の痛み――あきらめる前に、YouTubeチャンネル登録者数23万人超の人気作業療法士・荻野秀一郎先生が提案する「四つんばい体操」を試してみませんか? 無理のない動きで全身を支える力を取り戻し、痛みの軽減が期待できます。本特集のために制作したオリジナル動画を見ながら、いっしょに楽しくやってみましょう!
◆この記事は「安心 2025年7月夏号」(ブティック社刊)から一部抜粋したものです。 撮影/藤田律子
荻野秀一郎(おぎの・しゅういちろう)●プロフィール

作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級、「フラミンゴの介護予防チャンネル」主宰。2012年から在宅復帰に向けた回復期のリハビリ業務に従事。2015年からICUで急性期のリハビリ業務を、2017年からは訪問リハビリで在宅での自立に向けた支援に取り組む。2020年、東京都大田区に「認知症と転倒予防教室フラミンゴ」を開業。同年、コロナ禍で外出ができず筋力・体力・認知機能の低下が進む高齢者の支援を目的に、YouTubeにて「フラミンゴの介護予防チャンネル」を開設。自宅で手軽にできるエクササイズ動画が人気を博し、チャンネル登録者数は23万人を超え、介護予防ジャンルで日本一に。著書に『1日15分 健康ウォーキング』(高橋書店)などがある。
脊柱管狭窄症、腰痛、股関節痛が改善!体幹をほぐし強化する「四つんばい体操」
60代以上の10人に1人が脊柱管狭窄症
私は作業療法士として病院や在宅でのリハビリに携わった経験をもとに、高齢者の健康増進・介護予防のための運動やセルフケアを指導しています。
高齢者の健康上の悩みで多いのが、腰痛やひざ痛など足腰の痛みです。足腰に痛みがあると歩くのがおっくうになり、日常動作で不便を感じることも多くなります。その結果、運動量が減り、筋力が衰えて足腰がますます弱っていくことに。介護予防の意味でも、腰痛など足腰のトラブルを解消し、元気に歩ける体づくりが大事なのです。
基本姿勢を取るだけでも体幹の筋肉が総動員
「四つんばい体操」の基本姿勢
ここでは「四つんばい体操」の効果を上げるために、知っておいていただきたいことを説明します。
まず大事なのは、正しい姿勢で行うことです。
左ページの写真のように、両手と両ひざを床につき、頭から腰まで背中が一直線になるように四つんばいになります。手とひざは、それぞれ床に対して垂直に。両手は肩幅、両足は腰幅程度に開き、顔を起こして視線はまっすぐ前を向きます。
背中は平らにし、肩甲骨を寄せすぎない(肩を落とさない)、腰を反らせたり丸めたりしないように注意してください。
この基本姿勢から、四つんばい体操をスタートします。実は、正しい基本姿勢を取るだけでも運動になります。四つんばいの姿勢をキープするには、腹筋や背筋、背骨周りなど体幹の筋肉が総動員されるからです。
四つんばい姿勢を取り、さらに腕や足を上げることで負荷がプラスされ、体幹の筋肉が鍛えられます。体幹の筋肉が衰えると、姿勢がくずれて腰痛などのトラブルを招きますし、歩行能力も低下します。
何歳になっても自分の足で歩ける基礎体力と筋力を養う意味でも、ぜひ四つんばい体操を毎日の習慣にしていただきたいと思います。
「四つんばい体操」のやり方
神経の圧迫を軽減し、脊柱管狭窄症のしびれ、痛みを緩和!
▼やり方動画はこちら
体験談
腰がピンと伸びスタスタ歩ける!脊柱管狭窄症の痛みが「四つんばい体操」で軽快
主婦・81歳 今関和代(仮名)
腰を曲げてヨロヨロと朝のゴミ出し
私は40代のころから腰痛持ちで、腰が痛くなると治療院に通っていました。高齢になってからは、腰椎すべり症(腰の背骨がずれて痛みやしびれが生じる病気)と診断されました。 腰を保護するために腰痛ベルトを使用していましたが、しだいに症状が悪化し、3年前には脊柱管狭窄症と診断。長時間立っていると腰が痛くなり、お尻のほうまで痛くて、イスに座るのもつらい状態でした。
荻野秀一郎先生のことは3年ほど前に知り、介護予防の体操教室に参加したり、自宅でも朝晩にYouTube動画を見ながら体操したりしています。 今年4月、荻野先生から「四つんばい体操」を勧められ、自宅で毎日実行しています。 私はひざも悪く、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で薬を飲んでいるので、途中で休憩を挟んだり、ひじをついて行ったりするなど、ひざや手首に負担をかけないように注意しています。 四つんばいになって腰を丸めると、腰が楽になります。
以前は腰を曲げてヨロヨロと朝のゴミ出しに行っていましたが、起床後に、ストレッチに加えて四つんばい体操を行うと、腰がピンと伸び、スタスタ歩けます。 以前に比べると腰痛も和らぎ、気持ちよく動ける感覚があるので、今後も続けていこうと思っています。
「四つんばい体操」で肩こり、腰痛、五十肩が改善! 姿勢がよくなり大またで歩ける
主婦・68歳 三輪田安子(仮名)
腰痛が出やすい姿勢がわかった
私は偏平足(へんぺいそく)で、タコや足裏の痛みなど足のトラブルが多く、ロボットのような歩き方をしていました。「このままでは歩けなくなるのでは」と不安に感じていたとき、YouTubeで荻野秀一郎先生を知り、2年前から指導を受けています。
自宅では毎日、朝と夜に合計30分ほど、先生から勧められた体操を実行しています。その中に「四つんばい体操」も含まれています。体操を始めて最初に気づいたのは、体幹が弱いということ。でも、3カ月ほどで体幹が強くなってきたと実感。 夜中に寝返りが打てるようになり、ぐっすり眠れるようになりました。
四つんばい体操は、背中や肩、わき腹、腰などのストレッチも行います。おかげで体の柔軟性が増し、肩こりや腰痛も改善。腕が上がるようになって、五十肩が治り、腰痛もあまり出なくなりました。 私は若いころから腰痛持ちで、2年前には草むしり中に動けなくなり、病院で腰椎症と診断されました。けれども、四つんばい体操を続けるうちに、腰痛が出やすい姿勢がわかり、無理をしなくなった結果、腰痛が激減。
歩く姿勢もよくなり、全身の筋肉を使って大またで歩けるようになったのです。 自分の体に対する理解が深まり、体を楽に正しく動かせるようになったことが、私にとっては一番の収穫です。

今回の記事の抜粋元「安心2025年7月夏号」(ブティック社・税込定価 880円・ 2025年06月16日発売)【公式サイト】https://www.boutique-sha.co.jp/38063/

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クリニック「認知症と転倒予防教室 フラミンゴ」
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