〈オットー・レーヴィ〉神経伝達物質アセチルコリンを特定したドイツの薬理学者

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神経伝達物質のアセチルコリンを特定したドイツの薬理学者、オットー・レーヴィ(1873-1961)について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 自律神経のしくみ』著者で埼玉医科大学名誉教授の荒木信夫さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

荒木信夫(あらき・のぶお)

埼玉医科大学名誉教授、よみうりランド慶友病院院長。1978年慶應義塾大学医学部卒業。1982年慶應義塾大学大学院医学研究科修了。1988年米国ペンシルバニア大学脳血管研究所留学。日本鋼管病院内科医長、埼玉医科大学神経内科講師、同助教授、同教授、埼玉医科大学医学教育センター長、同副医学部長を経て、2019年埼玉医科大学を定年退職。2021年より、よみうりランド慶友病院院長、現在に至る。日本自律神経学会理事長を務めている。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 自律神経のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/平松 慶、北嶋京輔、栗生ゑゐこ

神経伝達物質アセチルコリンを特定
オットー・レーヴィ(1873-1961)

イギリスの脳科学者、デール

ときは20世紀初頭。神経と神経の間にシナプスという隙間があることはわかっていましたが、どのようにして神経細胞間に情報が伝達されているかまでは解明されていませんでした。
1914年、イギリスの脳科学者、ヘンリー・ハレット・デールは、副腎から抽出したアセチルコリンに、神経のはたらきを抑える効果があることを発見します。

2つの仮説

ところが、アセチルコリンが情報を神経に伝えたのか、情報が神経に伝わった結果アセチルコリンができたのかという、2つの仮説が残されてしまいました。
この謎を解明する実験方法を、夢のなかで考えついたのがドイツの薬理学者、オットー・レーヴィです。

レーヴィが証明

レーヴィは、神経を取り除いたカエルの心臓と塩水(生理食塩水)を使って実験を行いました。そして、塩水に溶けだしたアセチルコリンが心臓を機能させ、心拍を遅くすること、つまり副交感神経が正常にはたらくことを実証したのです。
その結果、アセチルコリンが副交感神経の神経伝達物質であることが証明されました。

ナチスに投獄

この業績が評価されて、1936年にレーヴィはデールとともにノーベル生理学・医学賞を受賞しますが、ユダヤ人だったレーヴィは2人の息子とともにナチスに投獄されてしまいます。
この窮地を救ったのは、デールなどの研究者仲間や友人たちでした。レーヴィはノーベル賞の賞金も含めた全財産と引き換えに、なんとか解放されました。

◇◇◇◇◇

なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 自律神経のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。近年、「なんとなく体の調子が悪い」「気分がすぐれない」といった理由のわからない不調の原因として、自律神経の乱れがフォーカスされるようになってきました。自律神経がはたらくことで体の組織は活動しているので、体の司令塔ともいえる自律神経が乱れると、体のあちこちに不具合が起きてしまいます。つまり、自律神経を正常に保つことこそが、病気を予防し健康的な生活をおくるうえで最重要課題ともいえます。本書は、豊富なイラスト図解とともにオールカラーで自律神経のしくみをやさしく解説しています。

イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 自律神経のしくみ
¥990
2022-03-14 9:56

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