【空気清浄機のフィルター】3種類の違いは?交換不要はどれ?それぞれ役割とメンテ法を詳しく解説

空調家電

空気清浄機の中にフィルターが入っているのは知っていても、いくつ入っていて、それぞれどんな働きをするのか、正確に把握している人は多くないでしょう。フィルターの種類によってお手入れ方法が違うのに、「10年交換不要」「自動掃除機能」のフレーズに油断して放置していると、目詰まりやカビなどのトラブルも起こり得ます。そんな事態を避けるために、混同しやすい空気清浄機のフィルターについて、きちんと確認しておきましょう。

空気清浄に使われる3つのフィルター

汚れた室内の空気を吸い込み、フィルターで汚れを取り除いてきれいな空気を排出するというのが、空気清浄機のおおまかなしくみです。PM2.5やウイルスなど、目に見えない汚れを取り除くことができ、花粉症やアレルギーの緩和、風邪の予防などに効果を発揮します。

空気清浄機には、3つのフィルターが使われているのが一般的です。大きなゴミを取り除く「プレフィルター」、目に見えない細かい塵(ちり)などを捕集する「集塵(しゅうじん)フィルター」、ニオイ成分を吸着する「脱臭フィルター」の3つです。それぞれどんな働きがあるか、詳しく見てみましょう。

3つのフィルターの主な役割。

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プレフィルター

プレフィルターは網戸のようなネット状のフィルターで、吸い込んだ空気に含まれる大きい汚れ(ペットの毛やホコリなど)をキャッチします。これらの汚れを事前に取り除くことで、メインである集じんフィルターの負担を減らす役割を果たします。ここが目詰まりを起こすと、空気を吸い込む力がダウンするので、半月に1回くらいの頻度でホコリを除去するのがお勧めです。

プレフィルターは半月に1回掃除しよう。

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最近よく耳にする「フィルター自動掃除」は、このプレフィルターについている機能です。一定の期間が来るとブラシ状の掃除ユニットが作動して、フィルターについたホコリをかき取ってくれるのです。かき取ったホコリはダストボックスに溜まり、半年〜1年に1回捨てればOK。頻繁に掃除機で吸い取る手間がなくなります。便利な機能ですが、きれいにできるのはプレフィルターのみということはお忘れなく。

日立空気清浄機EP-MVG110のお掃除システムは、稼働48時間ごとに自動で掃除を行う。

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集塵フィルター

国内ではHEPAフィルターが一般的

空気清浄機のメインとなるのが、集塵フィルター。ポピュラーなのはHEPAフィルターで、0.3マイクロメートルs(1,000分の3mm)の微粒子をを99.9%以上キャッチする能力があり、花粉やPM2.5、ダニのフンやウイルスなどをがっちり捕獲してくれます。

HEPAフィルターには、静電気で微粒子を吸着しやすくした「静電HEPAフィルター」や、撥水・撥油性に優れて集塵性能の低下を抑える「TAFU(タフ)フィルター」など、いくつかの種類がありますが、共通しているのは10年間交換不要と長寿命なところ。交換の手間やコストが省けるため、国内の多くのメーカーが採用しています。特別なお手入れも必要なく、月に1度フィルターの表面に軽く掃除機をかける程度です。

しかし「10年間交換不要」と言っても、マックスの性能が10年間続くわけではありません。フィルターの寿命というのは、「 フィルターの能力が半分に落ちるまでの期間」のことを示します(日本電機工業会による規約)。つまり、性能は年を経るごとに徐々に衰えていき、10年後には半分になるということ。6〜7割のパワーでは心許ないという場合は、交換の目安より早めに換えたほうが良いでしょう。

7年間使い込んだ集塵フィルター。積年の汚れで変色が見られる。

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ダイソンはオリジナルのフィルターを使用

一方で、半年〜1年ごとにフィルターを交換する機種もあります。海外の製品に多く、ダイソンやブルーエアなどがこのスタイル。いずれも、独自に開発したオリジナルの高性能フィルターを使っており、交換用フィルターの値段は1〜2万円ほど。ランニングコストはかかりますが、常に新品同様の性能が維持できるため、クリーンな環境を徹底させたいというニーズに向いています。

性能が衰えない次世代タイプも登場

また、最近はTPAフィルターという次世代フィルターも登場しました。0.0146μmの微細粒子まで除去できるほか、目詰まりによる性能劣化がほぼなく、自宅で洗えて、購入時と同等の性能が維持できるとのこと。ランニングコストがかからず、高い能力をキープできる点が注目されています。

空気清浄機「Airdog」に搭載されているTPAフィルター。自宅で洗えて購入時の性能が維持できる。

脱臭フィルター

脱臭フィルターは、活性炭を用いたものが一般的。活性炭の超微細な穴にニオイの元となる粒子をくっつけることで、タバコやペット、生ゴミなどの匂いや、排ガスを抑制してくれます。お手入れは、HEPAフィルターと同様、月1回の掃除機がけが推奨されています。

また、日立やシャープの一部の機種では、洗える脱臭フィルターを採用。洗うことで吸着力の回復が見込めるため、より高い消臭効果が期待できます。

日立の洗える脱臭フィルター。3時間つけおきすると吸着したニオイ成分が水に溶け出し、脱臭力が回復する。

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加湿空気清浄機には加湿フィルターも搭載

近年は、加湿機能を持つ加湿空気清浄機(以下、加湿空清)が増えていますが、このタイプの空気清浄機はこれまで説明した3つのフィルターに加え、「加湿フィルター」を搭載しています。加湿フィルターは、トレーに給水された水を吸い上げて空気中に放出するため、常に濡れた状態。お手入れを怠るとカビや雑菌が発生し、空気清浄機内部が不衛生になるため、定期的なメンテナンスが必須です。

水を染み込ませて使う加湿フィルターは、スポンジ素材のものが多い。

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加湿フィルターは、最低でも1ヶ月に1回は、すすぎ洗いや押し洗いで汚れを落とします。汚れが強いときは、クエン酸や重曹でつけおき洗いをすれば回復します。ひどい状態になると、ニオイや汚れが取れなくなって買い替えを余儀なくされるので、トレーなどの給水部も含め、こまめなチェックを忘れないようにしましょう。

まとめ

ひとくちに「空気清浄機のフィルター」と言っても、形も用途もさまざまです。それぞれの違いをきちんと知っておけば、より上手に&快適に空気清浄機が使いこなせるはず。正しくお手入れをすれば、清潔で高性能な状態を保つことができます。うまくメンテナンスしながら、長持ちさせてくださいね。

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諏訪圭伊子(フリーライター)

家電に携わって30余年のアラフィフライター。月刊『特選街』であらゆる家電を詳しくレビューした「我ら!家電体験隊。」の連載を長年担当。様々な家電メーカーの新製品発表会に参加し、最新の情報収集を行う。プライベートでは仕事と家事を切り盛りする2児の母。ママ友に情報を共有するような親しみやすさをモットーに、その家電が暮らしにどう生きるかをイメージできるような、具体的で丁寧な解説を目指している。

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