ネルドリップは、ペーパーフィルターよりも深さがあるのでコーヒー粉が広がらず、厚みのあるコーヒー層が作られる。そこを湯がゆっくりと通っていくので、濃厚なコーヒーが抽出される。手間はかかるがその先にある味わいが魅力だ。この機会にぜひネルドリップに挑戦してみよう!
[別記事:【コーヒー豆の挽き方】直前にミルで挽くのがベスト!電動ミルと手挽きミルの違い→]
手間はかかるがその先にある味わいが魅力
「ネルシャツ」のネルと同じ生地をフィルターに使ってコーヒーを抽出する方法が「ネルドリップ」。ペーパードリップが発明されるまでは、これが一般的だった。
新品のネルにはノリが付いているので使用前に煮沸して取り除き、ドリップ後も殺菌のために煮沸を行う。そして保管の際は水に浸して冷蔵庫に保管し、1日1回水を取り替える。こんな手間がかかることから「ネルはめんどう」と敬遠されがちだが、「それも苦にならないほどうまいコーヒーが味わえる」という愛好家も多い。
ネルドリップは、ペーパーフィルターよりも深さがあるのでコーヒー粉が広がらず、厚みのあるコーヒー層が作られる。そこを湯がゆっくりと通っていくので、濃厚なコーヒーが抽出される。またネルは太い線維で編まれた生地なので、微粉が取り除かれて、非常に細かい微粒子だけが残る。そのためトロッとした滑らかな舌触りも楽しめる。コーヒーオイルも抽出されるので、コーヒー豆本来の味も楽しめるというのだから、愛好家が多いのもうなずける。
手間やテクニックは必要だが、こんなコーヒーが味わえるネルドリップに、ぜひ挑戦してみよう。
ハリオ
ドリップポット・ウッドネック DPW-3
実売価格例:4400円
コーヒーをおいしく飲むならネルドリップといわれるほど愛好家が多い抽出方法
3~4人用のコーヒーが抽出できるキメの細かいネルフィルターと、おしゃれなデザインの専用のサーバーがセットになっている。サーバーの容量は約480ml。
ネルは使用するにつれて目詰まりを起こすので、淹れるたびに状態が変わることから、「ネルドリップは難しい」といわれます。コーヒーの落ちる速度が毎回変わるので、それに合わせた抽出のテクニックが必要になります。回数を重ねて、コツをつかむことが、おいしく淹れるポイントになります。
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湯温 93℃
湯量 140cc
粉砕 中挽き
豆量 12g
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(1)ネルフィルターは、ハンドルに取り付けて使用。淹れるときは片手でハンドルを持ちつつ、湯を投入していくことになる。
(2)ネルフィルターを初めて使う場合は、軽く水洗いしてコーヒー液で20分ほど煮沸。2度目以降は、熱湯をかけて湯煎する。
(3)湯を通したら絞り、乾いた布に押しつけて、さらに水気を取ってシワを伸ばす。ネルが冷めないうちに素早く行うこと。
(4)サーバーも同様に湯煎をして温めておく。サーバーが温まったら湯をカップに移し、カップも温めておく。
(5)ネルは毛羽立っているほうを内側、ツルツルしているほうを外側にしてセット。抽出する杯数分のコーヒー粉を入れる。
(6)粉はペーパードリップよりも少し粗めの中挽きから粗挽きを用意。1杯分の粉の量は12g使用する。
(7)コーヒー粉を入れたら、へらで粉の中央を掘り、少しへこませる。こうすることで、湯が粉へ均一に染みこむようになる。
(8)(7)でへこませた部分から湯を静かに注ぎ入れ、全体的に蒸らしを行う。こうすることでコーヒー成分が抽出されやすくする。
(9)蒸らしに使う湯の量は約24g。コーヒー豆が膨らみ、それが収まるまで、約20秒そのまま置いておく。
(10)コーヒー粉の中央から「の」の字を書くように湯をゆっくりと入れる。ドリッパー内の液面が同じ高さでキープできるよう湯を投入。
(11)液面の高さをキープできるなら、1投式でも3投式でもOK。サーバーの目盛りを目安に140ccになったらネルを取り上げる。
コーヒーオイルが抽出され、微粉が入らないので、コクがあるけれどスッキリとした味わい。トロッとした口当たりも楽しめる。
※製品の価格は、特別に表記のないかぎり、消費税込みの総額です。
※製品の仕様や価格は制作時のもので、その後、諸事情により変更されている場合があります。
※コーヒーの抽出方法は、解説内容に合わせた使いこなしの一例であり、器具メーカーの公式な使用手順とは沿わない場合があります。
■イラスト 田村 梓(ten-bin)
※この記事は『自宅で楽しむおいしい珈琲の淹れ方』(マキノ出版)に掲載されています。