エネルギーの大もとである電源。源流である壁コンセントの基本を知って、電源タップの導入やコンポの電源ケーブル交換など音質向上対策のポイントを押さえておこう。ハイレゾ用の高性能ACアダプターや増設タイプの電源タップにも注目だ。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
[別記事:【オーディオ】音をよくするための対策(1)振動系 インシュレーター、ラック、スタンドを使う→]
なぜ、電源の対策が必要なの?
ノイズの影響で電源が汚れて音が悪くなる
オーディオコンポは、スピーカー以外、アンプもプレーヤーもすべてACコンセントから電気エネルギーをもらって動作している。その電源経路が、家電製品やパソコンなどのノイズによって汚され、コンポに入り込んで音を悪くしているのだ。
原因となる経路には壁コンセント、延長ケーブル、電源タップ、機器に直結する電源ケーブルなどがあるほか、空中から飛び込むEMIノイズ(放射ノイズ)もある。
それをゼロにすることは難しいが(電気を使わなければいいのだが、それではオーディオが聴けない!)、どこに原因があるのか、電源まわりを1つ1つ点検し、各種の電源系アクセサリーによってノイズ対策を徹底させることがいちばんだ。
意外と知られていない「電源の常識」を押さえておこう
電源コンセントには極性がある
壁コンセントには、「ホット」と「コールド」という極性がある。電極の長いほうがコールドだが、内部の配線が逆になっている場合がある。検電ドライバーで極性をチェックして、機器側のコンセントと極性を一致させて接続しよう。
検電ドライバー
プラグの2P、3Pってどう違う?
電源プラグには、一般的な2Pタイプと、ピンがもう一本多い3Pタイプがある。このピンはアースまたはグラウンドと呼び、感電防止や静電気を逃がすなどの機能がある。なお、アダプターを使えば双方で形状の変換が可能だ。
電源ケーブルも交換ができる
コンポに付属してくる電源ケーブルは、一般的に普及品が多い。手持ちの機器の電源ケーブルが着脱可能なら、音質を追求したオーディオ向けの高級モデルに交換するといい。機器本来の音を引き出せるようになる。
電源関連のアクセサリーは何を導入すればいい?
まずは、電源タップと電源ケーブルを検討
壁コンセントからコンポまでの電源経路の中で、どこをどうやってノイズを抑えるのか。電源系のアクセサリーを研究してみよう。
理想的には、電源ブレーカーや壁コンセントからオーディオグレードに交換したいところだが、それは電気工事士の免許が必要になる。手軽なところで考えると、電源タップの導入や電源ケーブルの交換だろう。
まずは、電源経路の上流側ということで電源タップだ。4口、6口など、多くの機器にまとめて電源を供給できて便利だが、電源タップのメリットは口数の多さだけではない。
オーディオ用電源タップの内部には、高級な線材やノイズを吸収するフィルターなど、音質向上のための工夫がいっぱいだ。フィルターなしのストレートな製品もあるが、いずれも壁コンセントに直接機器をつなぐよりも明らかに音がよくなる。
電源ケーブルは、ケーブル専門メーカーが力を入れている。線材に新素材のPCトリプルCや102SSCなどを採用し、端子はホスピタルグレード(医用)の高級仕様。見た目や色にもこだわった個性派も登場するなど、ますますケーブル選びが楽しくなった。
まずは電源対策で足もとを固め、機器の潜在能力を引き出そう。
注目の電源対策アクセサリー
電源対策にもさまざまなアプローチがある。ここでは人気ブランドの電源タップや電源ケーブルをはじめ、ハイレゾ用の高性能ACアダプターなどを紹介。増設タイプの電源タップにも注目だ。
オヤイデ
MTB-6II
実売価格例:8万5800円
●幅75mm×高さ60mm×奥行き390mm
●重量2240g
素材やパーツにこだわり徹底チューニング
最高級電源タップのMTBシリーズが、18年ぶリにリニューアル。真鍮製のボディや純銀単線の内部配線などを踏襲しながら、随所に新パーツをおごって徹底的にチューニングしたものだ。力強さに、滑らかな質感や立体性が加わった。
クリプトン
PB-350
実売価格例:5万2800円
●幅300mm×高さ69mm×奥行き126mm
●重量2700g
上位機種の技術を継承した中級モデル
クリプトンの中級価格帯の電源タップだ。2回路フィルターやステンレスシャーシなど上位機種の技術を継承。コンセントは定評あるアメリカン電気製だ。内部配線材はPCトリプルCとOFCを使い分け、電源ケーブルも付属する。
iFiオーディオ
iPower Elite
実売価格例:各4万9500円(5V/12V/15V/24V)
●幅55mm×高さ50mm×奥行き148mm
●重量550g
超ローノイズで大容量のACアダプター
優秀なフィルターを搭載した、超ローノイズ・大容量のACアダプターだ。ネットワークプレーヤーやUSB DACといったハイレゾ機器に付属の電源アダプターと交換すると、電磁波干渉もなく、すっきりと見通しがよくなる。
KOJOテクノロジー
Crystal 3.1/Crystal C1P
実売価格例:【Crystal3.1】1万8820円/【Crystal C1P】3万4000円
【Crystal3.1】
●幅59mm×高さ37mm×奥行き213mm
●重量665g
【Crystal C1P】
●幅59mm×高さ37mm×奥行き233mm
●重量720g
3口タップと、連結できるノイズフィルター
CrystalシリーズのハイCP電源タップ「3.1」と、そこに連結して使うノイズフィルター「C1P」だ。3.1は、3口タイプで剛性、堅牢性を高めたボディが特徴。C1Pは雷対策のサージアブソーバーとノイズフィルターを搭載している。
オヤイデ
VONDITA-X
実売価格例:7万7000円
●外径13.0mm×長さ1.8m
独自の導体を採用し、美しい色調が印象的
“妖艶なる音色”を求めて開発された、魅惑の電源ケーブル、VONDITA-X(ヴォンディータエックス)。外装シースは、異素材を組み合わせて使い、つややかで美しい色調が印象的。導体はオヤイデ独自の102SSCを採用し、新たな指向の音楽再生が楽しめる。
サエク
PL-7000
実売価格例:5万9400円(1.5m)～
●外径13mm×長さ1.5m/2.0m/3.0m
PCトリプルC導体を導入した電源ケーブル
いち早くPCトリプルC導体を導入したサエクの高級電源ケーブル。3芯シールド+綿糸介在で銅箔シールド材を採用し、外径は13ミリの極太仕様だ。プラグはフルテック製の高級品で、解像度に優れ、高鮮度な音が楽しめる。
■解説/林正儀(AV評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。
