(※参考価格は、原稿執筆時のものです)
執筆者のプロフィール

吉森信哉(よしもり・しんや)
広島県庄原市生まれ。地元の県立高校卒業後、上京して東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)に入学。卒業後は専門学校時代の仲間と渋谷に自主ギャラリーを開設し、作品の創作と発表活動を行う。カメラメーカー系ギャラリーでも個展を開催。1990年より、カメラ誌などで、撮影・執筆活動を開始。ライフワークは、暮らしの中の花景色、奈良大和路、など。公益社団法人 日本写真家協会会員。カメラグランプリ2023選考委員。
「ニコン Z fc」の概要と仕様
MFフィルム一眼レフ「FM2」で特徴的だったペンタプリズム部分のデザインやシボ革張り、ボディサイズ、ダイヤルの作りや位置。これらの特徴が、現在の「Z fc」でも踏襲されています。上面に配置されている、シャッタースピード、ISO感度、露出補正。この3つのダイヤルと、F値を表示する小窓。こういった操作パーツの搭載によって、基本的なカメラ設定が即座に確認できる。そんなアナログテイストが、このカメラの大きな魅力になっているのです。
もちろん、現在のミラーレスカメラに求められる機能や性能も実現しています。撮影スタイルに応じて、様々な設定がワンタッチで変更できる「iボタン」や「iメニュー」の採用。Z シリーズで初めて撮影モード「AUTO」時の露出補正が可能。フルサイズミラーレスカメラ「Z 7 II」や「Z 6 II」譲りの「瞳AF」と「動物AF」を搭載。Z シリーズ初のバリアングル方式画像モニターの採用。こういった、快適かつクリエイティブな撮影に役立つ機能や仕様をしっかり備えています。

「FM2」を彷彿とさせるZ fcのデザイン。前面には、1970年代から1980年代に使用されていた「Nikon」ロゴがあしらわれている。また、この写真では分からないが、ファインダー接眼目当てもFM2と同様の丸型が採用されている。

シャッタースピード、露出補正、ISO感度。このの3つのダイヤルの搭載が、往年のMF一眼レフテイストを醸し出す。だが、そのダイヤル機能割り当てや配置、F値を表示する小窓の採用などは、2013年11月発売のフルサイズデジタル一眼レフ「ニコン Df」に近い。
待望のブラックモデルも発売!

従来のシルバーモデルに加えて、3月3日には要望が多かったブラックモデルが発売される。また、シルバー発売時に実施された「プレミアムエクステリア張替キャンペーン」を、今回のブラックモデルでも発売に合わせて実施する。
www.nikon-image.com●形式:レンズ交換式デジタルカメラ
●レンズマウント:ニコン Z マウント
●撮像素子/有効画素数:APS-Cサイズ CMOSセンサー/2088万画素
●ISO感度(静止画撮影):100~204800相当(※拡張含む)
●手ブレ補正:レンズ搭載機能に依存(ボディー非搭載)
●記録媒体:SD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-I対応)
●ファインダー:電子ビューファインダー、約236万ドット、倍率約1.02倍、視野率約100%
●シャッタースピード:シャッタースピードダイヤル使用時:1/4000~4秒(1ステップ)、バルブ、タイム、X メインコマンドダイヤル使用時:1/4000秒~30秒(1/3ステップ、Mモード字は900秒まで延長可能)、バルブ、タイム、X
●連続撮影速度:低速連続撮影:約1~4コマ/秒、高速連続撮影:約5コマ/秒、高速連続撮影(拡張):約11コマ/秒
●AF:ハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF)
●モニター:3.0型 バリアングル式 TFT液晶モニター、約104万ドット
●動画記録サイズ/フレームレート:4K UHD:3840x2160(30pなど)、フルHD:1920x1080(120pなど)
●使用電池:EN-EL25(使用個数:1個)
●寸法:約134.5mm(幅)x93.5mm(高)x43.5mm(奥行)
●質量:約445g(バッテリー、カードを含む) 約390g(本体のみ)
●発売日:2021年7月23日など(商品により異なる)
●参考価格(大手家電量販店):Z fc 16-50 VR レンズキット15万700円、Z fc 28mm f/2.8 Special Edition キット16万1700円、Z fc12万9800円
〈 ベストマッチレンズ 1 〉
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z fcボディーとDX 16-50mm f/3.5-6.3 VRの組み合わせ。そこに、DX 50-250mm f/4.5-6.3 VRをプラス。
画角を幅広くカバーするなら、この2本でキマリ!!
一般的なスターターキットに挙げられるのが、ボディーと「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3」を組み合わせた「Z fc 16-50 VR レンズキット」です。軽快なZ fcと小型軽量設計のDX 16-50mmは、まさにベストマッチの組み合わせです。日常的なスナップや記録写真などは、この組み合わせでカバーできるでしょう。
ですが、離れた被写体や風景の一部分を切り取りたい場合などには、標準ズームレンズのDX 16-50mmだけでは不満が生じます。そこで、望遠ズームレンズ「NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR」を加えたいですね。この製品なら、35mm判換算で375mm相当の本格望遠域までカバーする事ができます。DX 16-50mmとDX 50-250mmの小型軽量設計のズームレンズ2本で、24mm相当の広角から375mm相当の本格望遠の画角まで、隙間なくカバーできるのです。
これだけ幅広い画角がカバーできる組み合わせなら、いろいろな被写体や撮影ジャンルに対応できるでしょう。その中でも、特にオススメしたいのが、動物や乗り物など"容易には近づけない被写体"です。動物園での撮影や、旅先で味のある列車に出会った時などに「ああ、もっと望遠のレンズがあればなぁ」と、悔しい思いをした人も多いでしょう。そんな状況でも、望遠ズームレンズを加えたこの組み合わせなら、思い通りの撮影が楽しめるのではないでしょうか。
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

●型式:ニコン Zマウント / APS-Cサイズ対応(※ブラックタイプあり)
●焦点距離:16-50mm(35mm判換算:24-75mm相当)
●レンズ構成:7群9枚(EDレンズ1枚、非球面レンズ4枚)
●手ブレ補正機構:有 / ボイスコイルモーター(VCM)によるレンズシフト方式
●手ブレ補正効果:4.5段(CIPA規格準拠)
●最短撮影距離:0.25m(焦点距離16mm)、0.2m(焦点距離24mm)、0.23m(焦点距離35mm)、0.3m(焦点距離50mm)
●最大撮影倍率:0.2倍
●絞り羽根枚数:7枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:46mm
●寸法:約70mm(最大径)×32mm(全長※沈胴時)
●質量:約135g
●発売日:2019年11月22日
●参考価格(大手家電量販店):4万700円
NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

●型式:ニコン Zマウント / APS-Cサイズ対応
●焦点距離:50-250mm(35mm判換算:75-375mm相当)
●レンズ構成:12群16枚(EDレンズ1枚)
●手ブレ補正機構:有 / ボイスコイルモーター(VCM)によるレンズシフト方式
●手ブレ補正効果:5.0段(CIPA規格準拠)
●最短撮影距離:0.5m(焦点距離50mm)、0.52m(焦点距離70mm)、0.58m(焦点距離100mm)、0.65 m(焦点距離135mm)、0.83m(焦点距離200mm)、1.0m(焦点距離250mm)
●最大撮影倍率:0.23倍
●絞り羽根枚数:7枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:62mm
●寸法:約74mm(最大径)×110mm(全長)
●質量:約405g
●発売日:2019年11月22日
●参考価格(大手家電量販店):5万600円

地面すれすれの位置から、液晶モニターのバリアングル機構を利用して撮影。24mm相当の広角の画角と遠近描写が、この被写体とアプローチにぴたりとハマった。ニコン Z fc NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR(16mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/500秒 WB:自然光オート ISO100

多くのキリンが歩き回る場面で、小柄な子キリンに注目。左側(手前)に位置する大人のキリンと絡めることで、その小ささや可愛らしさを強調することができる。ニコン Z fc NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR(250mmで撮影) シャッター優先オート F6.3 1/1000秒 WB:オート ISO110