今話題の食品や最先端の食品加工技術が一堂に会する、食の総合見本市・FABEX(ファベックス)東京。近年はSNS映えする食品だけでなく、罪悪感なく食べられるヘルシーな食品や、環境に配慮した植物性食品が注目されています。食の現在と未来がわかる最先端の展示会の様子を、現場からレポートします。
FABEX東京とは?
東京ビックサイトで開催
FABEX東京とは、日本食糧新聞社が主催する中食・外食向けの業務用専門展示会のこと。飲食店のメニュー開発に役立つ業務用食品や、商品が映えるような容器・包装などを展示する、国内唯一の「食の総合見本市」です。2023年4月12日〜14日の3日間、東京ビッグサイトで開催されました。
26回目の開催となる今回は、「デザート・スイーツ&ベーカリー展」や「ワイン&グルメ ジャパン powered by ProWein」などの8つの展示会が集結。合計で874社が出展し、来場者数は53,015名に上りました。
通常は業界関係者のみが参加できる展示会ですが、今回は招待券をいただいたこともあり、覗きに行ってみることにしました。
おいしくて体にも環境にも◎!筆者注目の食品3選
日本の食材やSDGsを意識した展示が目立つ
今年のFABEX東京のテーマは、「革新!ニッポンの『食』〜変わる世界、変える未来〜」。テーマ通り、豆腐やゴマといった日本の伝統食材を紹介する展示や、SDGsを意識した容器・食品の展示が多いように感じました。
今注目の高たんぱく食材「豆腐干」
豆腐の水分を抜いて作る豆腐干(とうふかん)は、「食トレンド大賞2022」に入選したことで話題になった食材です。100gあたり糖質1.8g、たんぱく質23gと低糖質・高たんぱくな上、グルテンフリーのため、健康意識の高い人やダイエッターから注目されています。健康雑誌の『安心』2021年12月号でも、「ラーメン豆腐」として紹介されています。
そんな豆腐干の製造・販売を手がける株式会社優食のブースを発見!カフェを思わせるナチュラルテイストのブースでは、日々のおかずに活用できる豆腐干の活用法が紹介されていました。
筆者が注目したのは、近日発売予定という、レンジで温めて食べられる豆腐干のインスタント食品。忙しくて料理をする時間がない!という人や、豆腐干の調理方法がわからないという人でも気軽に豆腐干を食べてもらえるように考案した商品だそうです。
試食コーナーには、現在開発中の「豆腐干の海老とあさりのトマトソース」が用意されていました。実際に食べてみると、モチモチの豆腐干と風味豊かなトマトソースの相性が抜群!ダイエット食品とは思えない濃厚な味わいに、これなら我慢なく食べ続けられそうだと感じました。
【タイプ】細切り 長タイプ(約16cm)麺料理の置き換えにおすすめです。
【栄養成分表示】※1食100gあたり エネルギー:214kcal タンパク質:23.0g 脂質:12.5g 炭水化物:2.8g 糖質:1.8g 食物繊維:1.0g 食塩相当量:0.083g
しっかりした食感と確かな食べ応えで糖質制限ダイエットに最適です。
使いやすい1食(100g)ずつの小袋包装です。(100g入り小袋×12袋入り)
まるでウイスキーのような「焼酎ハイボール」
酒好きの筆者が注目したのが、樫樽で熟成させた米焼酎「人吉」。熊本県人吉市が誇る本格焼酎・球磨焼酎を名乗ることができる、数少ないブランドです。3年以上樽で熟成させることで、米焼酎独特の風味豊かな味わいに加え、ウイスキーのように芳醇な香りを出すことができるのだそうです。
この焼酎を作った「焼酎工房 蔵元屋」店主の田中裕二さんが勧める飲み方は、強炭酸水で割る「人吉ハイボール」。約400ccのグラスに人吉を60ccほど注ぎ、氷と強炭酸水を加えて作ります。2023年1月に東京ドームで開催された「ふるさと祭り東京」では、5000杯もの売り上げを記録したのだとか。
嬉しいことに、会場内での試飲もOKとのこと!これはレポート記事のため……と言い訳をしながら、1杯いただいてまいりました。
試飲はなんと、400ccほどのカップにしっかり注いでくれるスタイル!(写真を撮り忘れるという大失態をやらかしてしまいました…)。感想は、ゴクッ!と飲んだ瞬間、ビリビリとした炭酸の刺激とともに、樽の香りが鼻から抜けていきます。人によっては、これが焼酎のハイボールだと気づけないのでは?と思うほど、香り高い風味でした。
「人吉」は、オンラインショップでも購入可能とのこと。自宅で毎日これが飲めたら、ますます宅飲みがはかどってしまいます……!
大豆ミート食品の中で最も肉感があった「ニクベジ」
今回の展示会で特に多いと感じたのが、大豆ミート食品です。鶏胸肉のような食感のものや、ひき肉代わりに使えるものなど、各社が工夫を凝らした商品が多数紹介されていました。
その中で、筆者が特に美味しいと感じたのが「ニクベジ」。ハンバーグのような見た目ですが、動物性原料は不使用だそうです。展示ブースからは、こんがり焼けたおいしいお肉のような香りが漂っていました。
正直なところ、「いい香りだけど、所詮は大豆ミート……」と思っていた筆者ですが、一口食べた瞬間、その思い込みを後悔することになります。噛めば噛むほどジューシーなうま味が出て、いい意味で全く大豆感がないのです!しっかりとした香ばしさもあり、ガッツリいただいてしまいました。
パンチのある味わいの秘訣は、昆布パウダーやマッシュルームエキスなどの出汁にあるのだとか。香味野菜であるタマネギも入っているので、うま味がたっぷり詰まっているのだそうです。炭焼きの香りも再現しているため、前述のような香ばしさも体験できるとのことでした。
これまで何度か大豆ミートに挑戦したものの結局肉に戻ってきていた筆者ですが、この商品ならおいしくいただけるかも!と思いました。思い出しているうちに、よだれが……。
えっ!?お肉じゃないの!?と驚く美味しさ
【1袋からご注文いただけます!手軽に植物性メニューを追加!】
動物性成分を一切使用していないプラントベースのハンバーガーパティです。電子レンジやジェットオーブン等で加熱解凍するだけでご提供いただけます。動物肉様の食感を再現した、毎日でも食べたくなる美味しいプラントベースミートを作りあげることに成功いたしました。植物性食品に興味はあるけれど、美味しいものが食べたい、という方にぜひご賞味いただきたい一品です。
飲食業界の人にとっては、一石二鳥の展示会
試食と試飲がとにかく豊富!
これ以外にも、数多くのブースが試食を行っていました。漬物やお惣菜などのおかず類だけでなく、いなり寿司やパスタ、うどんなど、食べられる種類がとにかく豊富!食に関する方々をターゲットにした展示会ですから、やはり自分の舌で味わってほしいという気持ちが強いのでしょう。
スイーツ類の試食も多く、罪悪感のない低カロリーなものから、映えを意識したかわいらしいものまで、幅広く展開されていました。見た目が華やかなものを食べたい、けれど健康にも気をつかいたいという、スイーツ好きの複雑な心を反映しているかのような印象を受けました。
ワインを中心に、日本酒やノンアルコールドリンクなどをいただけるブースも多数。近年はペアリングを意識した飲食店が多く見受けられるので、こうしたところで自分のお店の味に合うドリンクが見つけられるのはありがたいですね。
サンプルやグッズも多数配られていた
もう一つ筆者が驚いたのが、サンプルでいただける食品やグッズが豊富だったこと。中食産業に向けた展示会ということもあり、調味料などのお持ち帰りはいくつかあるだろうと予想していましたが、エコバッグやキーホルダーなどのノベルティグッズを配っているところもありました。会場を出る頃にはバッグがパンパンになるほどの量でした……。
新たな商談ができる上に、こうしたお土産をいただけるなんて、まさに一石二鳥の展示会です。次回もまた来たいと密かに思っている筆者でした…決してお土産目当てじゃないですよ…。
まとめ
FABEX東京は、食に関する最先端の技術や今注目のトレンドが体感できる展示会でした。次回は、2024年4月10日(水)~12日(金)、東京ビッグサイト 東ホールで行われるとのこと。機会があれば、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
◆執筆/石崎希(Editor)
1993年生まれ。出版社に勤務し、健康雑誌の編集に携わる。趣味はボードゲームの収集・実践で、所持数は約300作品。「ボードゲームをやってみたい」という人を見つけると、旅行バッグにありったけのボードゲームを詰め込み布教活動に励む習性を持つ。現在は推し活や競馬観戦、一人飲みなどにもドハマり中。最近の悩みは物の置き場所がないこと。