ハイレゾ対応のコンパクト密閉型2ウエイスピーカー
メイド・イン・ジャパンと密閉型にこだわるクリプトンのスピーカー、KXシリーズ。最新のKX-0.5は、歴代モデルのどれよりもコンパクトな一台だ。
時代のニーズに合わせてコンパクトサイズを打ち出しているが、注目は、新開発のウーハーだ。
これまでの17センチから14センチとサイズを小さくし、素材もパルプからカーボンポリプロピレン(CPP)に変更している。軽くて強いハイスピードな素材だ。バネ系が柔らかく、このサイズでエフゼロ(最低共振周波数)35ヘルツを実現。磁気回路も新設計で、“アルニコライク”なフェライト素材を採用している。
一方、ツイーターは上位機譲りの砲弾型イコライザー付きリングドームで、ハイレゾ音域の50kヘルツをカバーする。空芯コイルやコンデンサーパーツにもこだわったという。
クリプトン
KX-0.5(Point Five)
実売価格例:17万9820円(ペア)
キャビネットには、シックな雰囲気を持つスモークユーカリを採用。これは濃い色みで適度に油分を含む自然材で、ポリウレタン仕上げにより木目の美しさを引き出している。
女性ボーカルのハイレゾ(192kヘルツ)音源を聴いてみると、音色がすなおで、レンジの伸びも素晴らしくナチュラル。生々しいニュアンスに包まれた。KXシリーズならではの、広がりのある音楽性豊かで艶やかなハイレゾ再生といえる。
もっと驚くのは、新設計のウーハーによる驚異的な低音再生能力だ。ストロークに余裕があるせいか、ベースラインが明快で、速いリズムにも気持ちよく反応。バスドラムのアタックやタイトな沈み込みは、とても小型2ウエイとは思えない。
小音量でも音がやせず、少々の大音量でも音が崩れない点も魅力。力強くダイナミックな表現で、バランスが変化しないのは、素性がいいからだろう。
小型で場所を選ばず、価格もペア20万円を切るリーズナブルさ。クリプトンの第2世代の始まりを予感させる会心作だ。
解説/林 正儀(AV評論家)
※表示の価格は、記事制作時のものです(税込み)。