カセットテープは、現在でもノーマルテープなら比較的簡単に購入できる。しかし、高性能なカセットテープは、オークションなどで入手するしかない状況だ。そんな中で、意外にもユニークな展開も見られるのである。
中古テープのリビルド(再生)品も販売されている
シニア層にとってのなじみの深さや扱いやすさ、カラオケ需要などもあり、生カセットテープは現在でも販売され続けている。
家電量販店などで買えるのは、マクセルの「UR」が代表的。そのほかにも複数のブランドが存在するが、実態は、ほとんどが「UR」の同等品となっているようだ。
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また、激安店などで扱われる安価な製品には、やや質の劣るテープ材を使ったものもあり、録音の品質に問題の出るものもあるという。
そして、ハイポジションやメタルといったテープは、現在はまったく生産されていない。これは記録のための磁性体が今では高価となり、再生産することが不可能なためだ。
ネットオークションなどの中古市場を探してみると、ハイポジションやメタルテープも販売されているが、これらは当時生産されていたデッドストック品(売れ残りなどの長期保管品)。
パッケージ未開封のものもあるが、かなり貴重な代物となっており、価格も高騰している。
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こうした状況の中、家電蒐集家の松崎順一氏が代表を務めるデザインアンダーグラウンドでは、東京電化株式会社のカセットテープを自社ブランドで販売。
さらに、中古テープのリビルド(再生)品の販売もスタートしている。
リビルド品とは、中古のテープをきちんと消磁し、ハーフもクリーニングしたうえで、オリジナルのカードを付けて新しいケースにパッケージしたもの。
中身は当時のままなので、一品ずつ価格は違うが、テープそのものもビンテージとして味わおうという提案だ。
リビルドカセットは、ビームスジャパン(新宿)やHMV(新宿、渋谷、吉祥寺)で扱っている。
自宅に残っているカセットテープも貴重なメディアだ
これに関連していえば、昔使っていたカセットテープがまだ家にある人は、それ自体が貴重なメディアであることを再認識すべきだ。
新品時と同等というわけではないが、数回程度の録音では大きく劣化はしないので、記録された音源はデジタル化などをしてアーカイブしておき、テープは再利用してもいい。
また、カセットテープは保管も重要だ。
テープは磁気と湿気に弱いので、磁石などをそばに置かないことや、低温で湿気のない場所に管理することで品質の劣化を抑えられる。
カセットテープを楽しむなら、これらのことも考えながら、大切に愛用していきたい。
解説/鳥居一豊(AVライター)