一台で、圧力調理、炒める、煮込む、蒸すという4種類の調理が行える調理家電「Cook4me(クックフォーミー)」。前菜、メイン、デザートなど60種類のレシピを内蔵し、料理の手順は液晶ディスプレイに表示。豚肉の角煮やビーフシチューといった料理を簡単かつ時短で作ることができ、マニュアル調理にも対応している。クックフォーミーの開発の背景や搭載された機能などについて、担当者に訊いた。
圧力調理、炒め、煮込み、蒸しを一台でこなすフランス生まれのマルチクッカー
<キーパーソンはこの人>
株式会社 グループセブ ジャパン
マーケティング本部 プロダクトマネジャー
井上真世さん
ほったらかしにしておけば料理が完成する
ティファールの「Cook4me」は、圧力調理に加えて、炒める、煮込む、蒸すの調理が行える一台四役の調理家電だ。
メディアでは「自動調理器」と紹介されることもあるが、公式キャッチコピーは「未来型クッキングサポーター」。
60種類のレシピを内蔵しており、料理の材料や手順を液晶ディスプレイに表示。
ナビゲーションに従っていけば、さまざまな料理が出来上がる。
「クックフォーミーの特徴は、ボタン一つで簡単に、そして時短で料理ができることです。男性も女性も慌ただしい毎日を送る現代では、家事の負担をなるべく軽減したい。中でもいちばん大変な料理にかける時間と手間を減らしてくれるのが、クックフォーミーなんです」
こう話すのは、クックフォーミーのプロダクトマネジャーを務める井上真世さん。
ティファールはフランスに本社を置くグループセブのブランドであり、クックフォーミーの開発もフランス。
電気調理機器が普及しているフランスでは、クックフォーミーはすでに年間60万台を出荷するヒット商品になっており、家電量販店の店頭で平積みされて販売されているそうだ。
日本では、2015年にテレビショッピングで先行販売を開始。
販売は計6回実施されたが、最後の回は約30分で完売してしまうほどの人気だったという。
「メインのユーザー層としては、20代〜30代の働く女性を想定していましたが、そのときは主に、もう少し年配の女性が購入してくれました。2016年9月に全国発売されてからは、当初想定していた働く女性はもちろん、一人暮らしの男性もユーザーになってくれています」
クックフォーミーの利点は、ナビゲーションに従うだけの簡単さと圧力調理による時短に加えて、材料を鍋に入れ、ふたを閉めて圧力調理を始めたら”ほったらかし”にできる点にある。
その間に洗濯や買い物など、ほかの家事をしてもいいし、サラダなどの別の料理を作ってもいい。
調理が終わったら適切な温度で保温もしてくれるため、まさにサポーターを一人雇ったような状況になるわけだ。
ディスプレイに表示される材料と手順を追っていくだけで、和洋多彩な料理が短時間で出来上がる
クックフォーミーには、あらかじめ60種類のレシピが内蔵されている。
いずれも最初に何人分の料理かを選ぶと、それに合わせた材料が表示されるので、それを準備して調理スタート。
あとは表示される手順にしたがっていけばOK。圧力調理中は”ほったらかし”にできるのがメリット。
けんちん汁(炒め+圧力調理)
調理時間:5分
ビーフシチュー(炒め+圧力調理+煮込み)
調理時間:23分
鶏肉の蒸し煮エスニック(圧力調理)
調理時間:7分
カレーピラフ(炒め+圧力調理)
調理時間:5分
あじのアクアパッツァ(圧力調理)
調理時間:5分
クレーム・ブリュレ(圧力調理)
調理時間:11分
操作はシンプル、ボタンの数も少ない
本体のボタンが「OK」と「戻る」しかないのも、クックフォーミーの特徴だ。
「操作がシンプルで間違いが少ないことは、クックフォーミーの魅力です。本体の外観も、デザイン重視の側面は多少ありますが、その魅力を損なわないようにデザインされています」
確かに、日本の家電メーカーが同じものを作ったら、ボタンを増やすなどして機能重視の作り方をする可能性が高い。
「未来感」をイメージしたという外観も、日本メーカーにはない味があり、フランス車と日本車の違いのようなものを感じる。
一方で、炊飯器を一回り大きくしたくらいの本体サイズは、日本の住宅事情にマッチしないのではないかという懸念もある。
この点は発売前に検討もされたそうだが、結局はフランスと同じサイズのままで発売された。
それには、このサイズである必然性があったという。
「クックフォーミーの内蔵レシピには、圧力調理のメリットを生かす煮込み料理が多く含まれています。容量6リットルという大きな鍋であれば、作り置きが可能になります。また、鍋に深さがあることで、材料を炒める際の油跳ねも気になりません」
実際にクックフォーミーを使ってみて、筆者もこの点は納得できた。
実際のところ、カレーやシチューなどを1回で食べきる量で作るという家庭は、それほど多くないと思われる。
内蔵レシピでは6人分まで選択できるのだが、作り置きができれば、家事の負担軽減にもつながる。
また、キッチンが狭くて置き場がなくても、油跳ねの心配がないため、ダイニングテーブルで調理することも可能だ。
さらに、鍋のサイズは大きいものの、軽量で持ちやすく、洗いやすい点も特徴になっている。
マニュアルでさまざまな料理に挑戦できる
内蔵レシピには、豚肉の角煮やビーフシチューなどの定番料理から、ミルクチョコプリンやフルーツコンポートといったデザートまで、さまざまな料理が採用されている。
「レシピの選定は、日本の開発チームで行いました。日本で発売する商品ですので、フランス版のレシピを翻訳するだけというわけにはいきません。料理のプロにも相談しながら、フランスらしさを残しつつ、多くの人になじみのある日本食を取り入れています」
とはいえ、60種類では限りがあるのも事実だ。
そのため、マニュアル操作で調理するためのレシピも、ティファールのウエブサイトで公開されている。
「マニュアルレシピは、季節の食材やイベントに合わせた料理を中心に追加していますが、今後もどんどん増やしていきたいです。クックフォーミーは、マニュアル調理で使い方の広がりが生まれる商品で、ユーザーが自由にレシピを考案することもできます。実際、フランスでは、『フェイスブック』上に約9万人のメンバーを抱えるコミュニティがあり、オリジナルレシピのシェアの場になっています」
実際にマニュアルで使ってみると、確かに楽しい。
炊飯器調理にハマっている人などは、そのままクックフォーミーに移行する確率が高いと思われる。
日本でもすでに公式のコミュニティサイトが開設されているが、今後、ユーザー数の増加に伴って活性化していきそうだ。
「クックフォーミーを使いこなせば、さまざまな調理が可能になります。もちろん、簡単さや時短がいちばんの魅力なのですが、マニュアルでいろいろな料理に挑戦することも楽しんでもらいたいですね」
皮はカリッと香ばしく、中はジューシーなローストチキンがあっという間に完成。深鍋による強力な炒め機能が、料理の幅を広げてくれる
クックフォーミーで実際に調理してみて、特に便利に感じたのが、フライパンとしての機能。
マニュアル調理で「焼き色付け」を選ぶと、160℃の強火で材料を炒めることができる。
骨付きのローストチキンやローストビーフなども、別にフライパンなどを用意することなく、すべてが一台で完結。
また、鍋に深さがあるので、キッチンテーブルなどで調理しても油跳ねなどを気にしなくて済むのも便利。
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Memo 圧力調理というと、料理に慣れた人がするイメージだが、クックフォーミーなら初心者でも失敗の可能性が減りそう。本格的に料理を始めてみたい人の入門機としても活躍しそうだ。
SPECIFICATION
●容量/6ℓ●ボウル厚さ/1.8mm●内鍋のコーティング/セラミックコーティング●ディスプレイ/フルカラー液晶●定格消費電力/1200W●最大圧力/70kPa●サイズ/幅380mm×高さ325mm奥行き350mm×●重量/6.5kg●電源コードの長さ/1.5m●付属品/鍋、中かご、中かご台、軽量カップ
インタビュー、執筆/加藤 肇(フリーライター)
※表示の価格は記事制作時のものです。