今、デジタル一眼カメラの中で人気なのが「ミラーレス」である。一眼レフよりもコンパクトで、デザイン性にも優れたモデルが少なくない。レンズ固定のコンパクト機やスマホからミラーレス一眼にステップアップする人も増えているようだ。
だが実際の性能は使ってみないとわからない。そこで、画質や使い勝手を1台ずつチェックしていこう。今回は、キヤノンの定番モデル、Kissシリーズから登場したKiss Mだ。
●評価項目
(1)フルオート画質
フルオートモードで遠景の解像感やオートホワイトバランス、露出レベル、発色などについてチェックした。
(2)操作のわかりやすさ
全体的な使い勝手のよしあしや持ちやすさ、初心者向けの撮影補助機能、特徴的な部分についてチェックした。
(3)持ち歩きやすさ
カメラ本体だけでなく、キットレンズを装着しての大きさや重さ、手に持ったときの重量感などをチェックした。
(4)スマホとの連係
Wi-Fiなどを利用して簡単にスマホと接続できるかどうか、スマホアプリの機能などについてチェックした。
(5)自撮りのしやすさ
モニターを前側に向けた状態で自分撮りを行う際の機能、撮りやすさ、構えやすさなどをチェックした。自撮りに非対応のモデルは評価をしていない。
(6)コストパフォーマンス
機能や性能に対する価格の妥当性、買い得感をチェックした。ほかの機種とも比較しながら判定している。
Kissシリーズで最もAFや連写性能が高く、価格は手ごろ。まったくの初心者にも好適
キヤノン
EOS Kiss M
実売価格例:6万7370円(ボディ)
フィルム時代から絶大な人気を誇る「Kiss」の名を冠した初のミラーレスカメラ。新エンジンのパワーを生かした快速AFや、高感度性能を持つ。シリーズ最速のAF追従連写やタッチ&バリアングル液晶モニター、瞳AFやブルートゥースといった充実装備も見どころだ。
2016年11月発売のEOS M5をベースに、ベストセラー一眼レフのEOS Kissシリーズの機能と特徴を盛り込んだモデルである。有効2410万画素のCMOS撮像センサーと、最新の映像エンジンDIGIC8を搭載する。この二つが、EOS Kiss Mをとても魅力的なカメラにしてくれているキーデバイスだ。
通常、像面位相差検出を行う画素は撮影には使えないので、そのぶん、画質には悪い影響を与えてしまう。だが、キヤノン独自のデュアルピクセルCMOSセンサーは、全画素が撮影にも位相差検出にも利用可能。画質劣化をまったく気にする必要がないのが強みだ。
EOS Kiss Mではさらに、測距点の画面に対するカバーエリアを従来の左右80%×上下80%から、左右88%×上下100%に拡大。測距点の数も143点に増強された。
そして、新エンジンのハイパワーのおかげで、AF性能の向上やISO感度の設定範囲の拡大、手ブレ補正機構の効果の向上なども果たしている。電子ダイヤルが一つしかないなど、操作性の部分ではEOS M5に譲るものの、撮影能力の高さは上回る。
暗い室内でもノイズの少ない描写力
液晶モニターはタッチパネルを内蔵したバリアングル式。自分撮りに対応する機能への自動切り替えはサポートしていないのは残念だが、顔認識に加えて瞳AFも搭載。画面に触れた位置にピントを合わせるタッチフォーカスなども備えているので、実際はそれほど不便は感じなかった。
スマホとの接続は、初回はちょっと手間がかかるが、アプリのガイド機能がしっかりしているので、慣れない人でも安心できると思う。アプリからは、リモートライブビューやブルートゥースを使ったシンプルなリモコン機能も利用できる。もちろん、電源オフの状態でも、接続したスマホの操作だけで画像の閲覧や転送などが行える。
フルオートモードで、画面右下のアイコンに触れるとクリエイティブアシストモードに移行。背景をぼかしたり、明るさや色の鮮やかさを変えたりなどが可能で、簡単かつ手軽に、イメージどおりの写真に仕上げることができる。
こんな人におすすめ!
新エンジンの搭載でAF、連写、高感度がよくなっている。キヤノンの一眼レフのユーザーがサブカメラにするのにもいいし、まったくの初心者にもおすすめしやすい。
主要スペック
撮像センサーAPS-C 最高感度ISO5万1200 電池寿命(CIPA)235枚 有効画素数2410万 最大連写速度7.4コマ/秒 サイズ/幅116.3mm×高さ88.1mm×奥行き58.7mm 重量/387g(ブラック)
解説/北村智史(カメラライター)
※価格は記事制作時のものです。
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