今、デジタル一眼カメラの中で人気なのが「ミラーレス」である。一眼レフよりもコンパクトで、デザイン性にも優れたモデルが少なくない。レンズ固定のコンパクト機やスマホからミラーレス一眼にステップアップする人も増えているようだ。
だが実際の性能は使ってみないとわからない。そこで、画質や使い勝手を1台ずつチェックしていこう。今回は、オリンパスの人気モデル、OM-D E-M10 MARK IIIである。
●評価項目
(1)フルオート画質
フルオートモードで遠景の解像感やオートホワイトバランス、露出レベル、発色などについてチェックした。
(2)操作のわかりやすさ
全体的な使い勝手のよしあしや持ちやすさ、初心者向けの撮影補助機能、特徴的な部分についてチェックした。
(3)持ち歩きやすさ
カメラ本体だけでなく、キットレンズを装着しての大きさや重さ、手に持ったときの重量感などをチェックした。
(4)スマホとの連係
Wi-Fiなどを利用して簡単にスマホと接続できるかどうか、スマホアプリの機能などについてチェックした。
(5)自撮りのしやすさ
モニターを前側に向けた状態で自分撮りを行う際の機能、撮りやすさ、構えやすさなどをチェックした。自撮りに非対応のモデルは評価をしていない。
(6)コストパフォーマンス
機能や性能に対する価格の妥当性、買い得感をチェックした。ほかの機種とも比較しながら判定している。
エントリークラスながら装備や使い勝手はワンランク上。スポーツ系の撮影は苦手
オリンパス
OM-D E-M10 MARK III
実売価格例:7万3990円(ボディ)
一眼レフスタイルのOM-Dシリーズのエントリーモデル。お家芸ともいえる強力なボディ内手ブレ補正、タッチ&チルト液晶モニターなどを備えるほか、簡単な手順でスマホなどと連係できるWi-Fi機能、二つの電子ダイヤルによる快適操作も見どころだ。
クラシックカメラのような、ちょっといかめしくも思えるデザインだが、手に取るとコンパクトサイズで、思いのほかかわいらしく感じられるのが、このE-M10 MarkIIIというカメラだ。クラスとしてはエントリーに位置づけられるが、中身は初心者から上級者まで対応できるハイレベルなもの。装備や使い勝手の面では、ワンランク上のモデルと考えてもらうといいだろう。
注目してほしいのは、EVFを内蔵していること。一眼レフの光学ファインダーと同じく、のぞいて構えるためのものだ。
スマホやコンパクトカメラから移行してきた人にはなじみがないだろうが、初心者にこそ使ってもらいたい。なぜなら、外の明るさに左右されないので画面が見やすいし、周りの状況が目に入らなくなるぶん、撮影に集中できるからだ。そのうえ、カメラを顔で支えられるので、ブレを抑えやすいというメリットもある。慣れさえすれば、撮影の快適度はモニターよりもずっと上といえるだろう。
もう一つ、前後に二つの電子ダイヤルを備えていることも挙げておきたい。見た目は小難しそうになるものの、露出補正(画面の明るさの微調整)がやりやすいので、写真の仕上がりにこだわりたい人には使いやすい。上面左手側のショートカットボタンを押すと、そのときに選択している撮影モードに応じた各種設定を、素早く呼び出して切り替えることができる。これも、わかりやすい。
液晶モニターは、タッチ操作も可能なチルト式。ただし、手前側には向けられないので自分撮りには非対応となる。ここはちょっと物足りない点だ。
一方、スマホとの接続は割と簡単で、初回は液晶モニターに表示されるQRコードをアプリで読み取って、指示どおりにやればいい。スマホ側からのリモートライブビュー撮影や、画像の転送なども簡単な手順で行える。
AFは、121点測距のコントラスト検出。サクサクと合ってくれるし、精度もいいが、動くものにはあまり強くない。スポーツ系の撮影は苦手と考えておいたほうがいいだろう。
薄暗い場所でも安心の手ブレ補正
こんな人におすすめ!
簡単、気軽に撮れるフルオートも欲しいし、こだわって撮りたいときの操作性のよさも欲しいという、家族のわがままに一台でこたえられるのが強み。上級者のサブ機としても好適だ。
主要スペック
撮像センサー/4/3 LiveMOS 有効画素数/1605万 最高感度/ISO2万5600 電池寿命(CIPA)/330枚 最大連写速度/8.6コマ/秒 サイズ/幅121.5mm×高さ83.6mm×奥行き49.5mm 重量/410g
解説/北村智史(カメラライター)
※価格は記事制作時のものです。
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