Q
SDカードとmicroSDカードの価格は、同じスペックならmicroSDのほうが安いことが多いようですが、なぜですか? 普通は小型のもののほうが高くなると思われるのですが……。(大分県 K・Kさん 56歳)
A
この質問は、記録メディアに詳しいテクニカルライターの市川政樹さんに聞いてみましょう。
市川
まず、大前提として、総販売量に圧倒的な差があります。microSDはスマホや携帯電話に欠かせない部品なので、大量に売れます。一方、SDは、デジタル一眼カメラやビデオカメラ、音楽プレーヤーやゲーム機などに一定の需要はあるものの、これらの機能がスマホや携帯電話に包括されるに連れて、以前ほど大量には売れなくなりました。つまり、「大量に売れるものは安い、少量しか売れないものは高い」という市場原理が働き、スマホの普及率が50%を超えた6〜7年くらい前から、microSDのほうが安価に販売される状況が顕著化してきました。
ご質問にあるとおり、小型化するのは大変な技術革新ですから、microSDが誕生した当初は、確かに高価でした。そのころは対応製品が少なく、少量しか売れなかったという事情もあったと思われます。しかし現在、設備投資にかかった費用はすでに回収を終え、販売数も逆転しているので、安い価格設定が可能になっているのではないでしょうか。
と、こうした前提を踏まえて、改めて市場を見渡すと、同じ容量のmicroSDなのに、ブランドによってけっこう価格差があり、SDより安いとはいえないことも多々見受けられます。これは、どうしたことでしょう?
──確かに、同じ容量なのに、全然価格が違うものが並べて売られていることがありますね。
市川
例えば、SDのトップブランドである東芝やサンディスクは、同スペックのSDとmicroSDをほぼ同じ価格で販売しています。そもそもこの2社のmicroSDは、ドコモ、au、ソフトバンクがスマホや携帯電話に採用し、信頼性の高さには定評があります。したがって、安さを特徴にするのではなく、必要に応じてSD/microSDを自由に選べるように、ほぼ同価格にする戦略を採っているようです。
半導体メモリーでいうと、サムスンやレキサーも主要メーカーとして見逃せません。SD/microSD製品の知名度はそれほど高くありませんが、東芝やサンディスクの国内正規品(メーカー保証が付く)はそれなりに高価なため、こちらの2社では、その並行輸入品(メーカー保証が付かず、そのぶん安い)とほぼ同じ価格帯で、国内正規品として販売しています。安価なのにメーカー保証が付き、品質もいいと評判で、近年、シェアを上げつつあります。
SDに参入するメーカーは少なく、安価なSD製品も少ないため、Amazonや楽天市場などのネット通販では、SDよりmicroSDのほうに安い製品が多く、それが目立っているということなのかもしれません。
実態としては、どちらにも安い製品と高い製品があり、容量や転送速度といったスペックに差があります。購入の際は、スペックのほか、メーカー保証の内容などもしっかりチェックすることが大切です。
──整理すると、たくさん売れているmicroSDのほうが安く、ネット通販でも目立っているということですね。了解しました!