IH炊飯器のシェアNo.1の象印が打ち出した、新型フラッグシップモデル。炊飯の原点である「かまど炊き」を再検証し、炎が激しく揺らぎながら、釜を部分的に加熱していることに着目。新しい加熱構造を開発し、さらなるおいしさを追求した。
象印
NW-KA10
実売価格例:10万7570円
三つのIHヒーターを独立制御して加熱する
「象印百年目の最高傑作」「社運をかけた商品」など、鳴り物入りで登場した「炎舞炊き」。高評価を得ていた前モデルの南部鉄器・極め羽釜路線を打ち切っての新展開だが、従来機を上回るおいしさを誇るという。
それを実現したのが、新発想の加熱方式だ。従来は、底面に一つしか搭載していなかったIHヒーターを、本品では3ヵ所に増設。それぞれのヒーターをローテーションで発熱させることで、炎のゆらぎのようなランダム加熱を再現した。これにより、釜内に温度差が生じて激しい対流が起こり、高温の熱を一粒一粒にしっかり伝えることが可能になった。
また、炊飯時の熱量も格段にアップし、従来の4倍以上という大火力を実現。米のアルファ化を促進することで、より甘みのあるご飯が炊けるという。
■新開発の「豪炎かまど釜」
実際に食べてみると、味のインパクトに驚かされた。口に含んで2回、3回と噛むごとに、甘みがドバーッと広がるのだ。自宅の炊飯器(他社製。3年前に約8万円で購入)との差があまりにもありすぎて、「同じお米を炊いてるのに……?」とショックを受けたほど。もともとの味がいいので、出来立てのおこげにしょうゆをかけて食べたら、その辺のおせんべいよりもおいしかったし、「もちもち」モードで炊いたご飯で作ったおにぎりはお餅みたいだったしと、いろいろと味わえた。
内釜が軽くなり洗いやすくなった
従来の南部鉄器の場合は、内釜の重さがネックとなっていたが、本品では、それが解消されているのも好印象だ。従来機では約2.2キロあった内釜が、本品では約1.2キロになったことで、持ち運びやすく、洗いやすくなった。毎日使うものなので、この改善はかなり大きい。なお、奥行きがたっぷり必要だったボディサイズもコンパクト化されており、設置しやすくなっている。
さまざまな面でグレードアップを見せつつ、実売価格は高いながらも、10万円ちょっと、と抑えめ。このあたりに、象印の本気がうかがえる。この秋、大注目の製品となりそうだ。
■甘くてみずみずしい香りが広がる
〇
誰にでもはっきりわかるほど、味わいにあふれたご飯が炊ける。炊き分けの調整機能も豊富で、自分好みの食感が見つけやすい。
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浅い作りの南部鉄器に比べ、釜の中心部のご飯がつぶれぎみの印象。従来機種で便利だった、ふたの自動開閉機能を継承してほしかった。
SPEC●炊飯容量/5.5合炊き●方式/圧力IH式●1回当たりの炊飯時消費電力量/154Wh●1時間当たりの保温時消費電力量/16.2Wh●サイズ/幅275mm×高さ235mm×奥行き345mm●重量/8.5kg
解説/諏訪圭伊子 (フリーライター)
※価格は記事制作時のものです。