写真の仕上がりは、ちょっとしたコツで劇的に変わってきます。シャッターを押すほんの5秒前、たった一手間ですぐにできる撮影のテクニックを紹介します。「ピント」の合わせ方を少し工夫すると、写真に安定感が倍増して力のある写真になります。レンズや絞りを考えて写真をキメてみましょう。
背景をぼかす
撮影の大切な要素の一つがレンズの絞り。絞り値の数字を小さくする(絞りを開く)と、絞りの穴は大きくなり、背景はボケる。反対に絞り値の数字を大きくすると絞りの穴は小さくなり、画面全体にピントの合った写真となる。このピントの合う範囲のことを被写界深度という。背景がうるさく感じたら、絞りを開いてみるといいだろう。
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絞りF16で撮影。被写界深度が深いため、背景がうるさく感じられる。
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使用したレンズの開放値である絞りF2・8で撮影。背景がボケる。
人物のピントは近いほうの瞳に合わせる
人物撮影では、ピントは瞳に合わせるのがセオリー。では、右目と左目、どちらに合わせるか? 答えはカメラに近いほうだ。撮影時は、どちらの瞳がカメラに近いかを判断してシャッターを押そう。なお、カメラが自動的に瞳にピントを合わせる「瞳AF」も、近いほうにピントを合わせるようになっている。
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カメラから遠いほう(右目)にピントを合わせると、単なるピンボケ写真に見えてしまう。
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カメラに近いほう(左目)にピントを合わせている。目力を感じさせる。
全ピンは広角で撮る
風景撮影などで画面全体にピントを合わせたければ、広角レンズを使用しよう。少し絞り込むだけで深い被写界深度が得られ、画面の隅々までピントが合いやすいからだ。さらに画角が広ければ広いほどその傾向は強くなるので、ズームレンズの場合も、できるだけ短い焦点距離で撮影するのが鉄則だ。
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ズームレンズの場合は、できるだけワイド側で撮影すると全体にピントが合いやすい。
奥行きの1/3にピントを合わせる
風景など、ちょっと奥行きのある広い場所を撮影するときに迷いがちなのが、ピントを合わせる位置だ。そのような場合は、カメラ側から見て、画面の奥行きの1/3のところにピントを合わせるのが定石。また、絞りはレンズの焦点距離にもよるが、広角レンズの場合はF8以上に絞り込むと全ピンに近づくので、こちらも合わせ技として知っておこう。
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奥行きの1/3となる画面の真ん中あたりにピントを合わせ、絞りF11で撮影している。
写真・解説/大浦タケシ(フォトグラファー) モデル/いのうえのぞみ