一眼レフのEOSと共通の操作性を実現した35ミリ版フルサイズミラーレス一眼。注目は、新開発のRFマウントだ。標準ズームのRF24~105ミリは素晴らしくシャープで、一眼レフ用の同じスペックのレンズよりも広角端の周辺部の画質がワンランクアップしている。AFは十分に快適なスピードで、動く被写体に対するピントの追従性も良好だ。
新マウントの採用でレンズの画質が向上
キヤノン EOS R
〇 ここが強味 新マウントの採用で画質の向上が期待できる。AFは快適で精度もいい。グリップは握りやすく、操作性も良好。バリアングル液晶で縦位置のロー/ハイアングルも快適だ。
✖ ここが弱み AF追従での連写スピードが遅い。ジョイスティックがないので測距点の選択操作がやりづらく感じる。ボディ内手ブレ補正がなく、使用するレンズによってはブレが気になる。
いちばんの注目は、新開発のRFマウントだ。EOS Mシリーズよりも口径を大きくしてレンズ設計の自由度や強度、剛性を確保している。EOS Mシリーズとの互換性がないのは残念だが、長い目で見ての判断なのだろうと思う。
本機の心臓部は有効3030万画素のデュアルピクセルCMOS撮像センサー。最新の映像エンジンDIGIC8を組み合わせることで、測距点のカバーエリアの拡大や高感度化、高画質化を図っている。
使用した機材は、まだ最終品ではなかったが、機能、性能ともに問題はなかった。標準ズームのRF24~105ミリは素晴らしくシャープで、一眼レフ用の同じスペックのレンズよりも広角端の周辺部の画質がワンランクアップしている。高感度もISO3200までは常用が可能なレベルで、夜のスナップなどならISO6400やISO1万2800でも実用に耐えられる。
AFは十分に快適なスピードで、動く被写体に対するピントの追従性も良好だ。ただし、連写スピードは5コマ/秒(ピント固定なら8コマ/秒)と低いので、スポーツ系の撮影では物足りなく感じるだろう。
ボディはマグネシウム合金製で、グリップは手が大きめの筆者が握っても小指が余らない。内蔵のEVFはとても明るく高精細で、ピントを判定しやすかった。新設のマルチファンクションバーなどの使いこなしには慣れが必要そうだが、全体的には扱いやすいカメラという印象だ。
解説/北村智史(カメラライター)