中判カメラというと、プロの使うカメラのイメージが強く、これまで価格も含め一般の写真愛好家には敷居の高いものであった。昨年、富士フイルムから登場したGFX 50Sは、そのような概念を変え、比較的身近なものとした中判ミラーレスである。第2弾のGFX 50Rは、50Sをさらに小型・軽量化し、リーズナブルなモデルとなっている。その実力をチェックしていこう。
富士フイルム GFX 50R
実売価格例:60万9660円(ボディ)
■驚くほど立体感があり、高精細。階調や色調の豊かさは圧倒的!
写真がうまくなった気がするほどの圧巻の描写!
あくまでも中判カメラとしてだが、コンパクトな作りのモデルである。トップカバーにはファインダーの出っ張りがなく、右手用のグリップも控えめな大きさだ。搭載される機能やボタン・レバー類のレイアウトなども含め、同社のミラーレス一眼、X-E3に雰囲気はよく似ているが、サイズに関しては二まわりほど異なる。
5140万画素、44ミリ×33ミリの撮像センサーが生成する描写は、圧巻だ。解像感や階調再現性はいうに及ばず、立体感のスゴさは中判デジタルならではのもの。写真がうまくなったような勘違いを起こしてしまいそうな写りである。AFの合焦スピードは速く、その精度も極めて高い。中判デジタルとして不足を感じる点はなく、さらに扱いに関しても、小難しいところのないカメラである。
キビキビとした操作感で、35ミリフルサイズ機やAPS-C機から乗り替えても違和感がない。現時点でのGマウントレンズは、主張の強いものばかりだが、発表済みのロードマップを見ると、控えめなパンケーキタイプのGF50mmF3.5 R LM WRの発売が来年早々にも予定されている。それと組み合わせると、よさそうだ。
写真&テキスト/大浦タケシ
筆者紹介:宮崎県都城市生まれ。雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。「マキナ67」のようなレンズ一体型の中判デジタルがあってもおもしろいかも、と思う今日このごろ。