歯や歯茎に痛みがあれば治療は必要。治療までの間の我慢できない痛みの応急処置として落合歯科医院院長の落合義徳先生がおすすめしているのが「手足の鎮痛ツボをもむ」ことなのです。手・足のツボをもむことで痛みがスーッと和らいで楽になることが多いということ。ここでは、自分でできる歯痛の対処法「鎮痛ツボの押し方」を紹介しましょう。
解説者のプロフィール
落合義徳(おちあい・よしのり)
落合歯科医院院長。神奈川県厚木市にて「落合歯科医院」を開業。歯を窓口にからだの健康全体を考える姿勢に人気が集まり、治療のかたわら講演など各方面で活躍中
歯が痛くて眠れないときの応急処置はある?
歯が痛くて眠れない、ズキズキ痛い、染みて食事がとれない、歯茎が腫れている、歯の症状は辛いものです。痛むのが、夜中や仕事中だったりですぐに治療ができなかったり、歯科に連絡したのに「では、早くて明日の予約で…」などと言われ、市販の痛み止め薬を飲むか、ただ痛みに耐えて治療までの時間をやり過ごしている、という方も多いでしょう。
歯・歯茎が痛むときに自分でできる応急処置はないのでしょうか?落合歯科医院院長の落合義徳先生に教えてもらいました。
歯痛の原因は?虫歯以外でも起こる?
歯痛は歯の痛みと歯茎の痛みに分けられる
歯痛は、歯そのものの痛みと、歯茎の痛みに分けられます。
歯の痛みは、主に虫歯や知覚過敏によるものです。知覚過敏は、歯の根もとの象牙質が露出することで、歯が染みて痛みを起こすものです。虫歯が進行して、歯の内部にある神経(歯髄)まで炎症を起こす歯髄炎になると、激しい痛みが発生します。(落合先生)
歯茎の痛みはストレスや疲れとも深い関係がある
一方、歯茎の痛みは、疲れているときや、体調の悪いときに出やすく、ストレスとも深い関係があります。疲れから循環障害や感染が起こると、歯茎が炎症を起こして痛むのです。(落合先生)
治療までの間の応急処置は「鎮痛ツボ」がおすすめ
歯や歯茎に痛みがあれば、治療は必要ですが、それまでの間の我慢できない痛みの応急処置として落合先生がおすすめしているのが「手足の鎮痛ツボをもむ」ことなのです。手足にある歯痛に効くツボをもむと、我慢できないような痛みでも、スーッと和らいで楽になることが多いということ。下記で鎮痛ツボの押し方を紹介しましょう。(※いずれも、痛い側の手や足をもんでください。)
歯・歯茎の痛みに効果的な歯の鎮痛ツボの場所・もみ方
●手の鎮痛ツボ(商陽)
<効果>下の歯、歯茎の痛み、上の前歯6本
手の指の商陽というツボが歯の鎮痛ツボです。商陽は、人差し指の爪のつけ根の、親指側にあります。特に、下の歯と歯茎の痛みに効くといわれていますが、私が患者さんに試したところ、上の前歯6本にも効果があることがわかりました。(落合先生)
<商陽のもみ方>
歯や歯茎に痛みがある人は、血液がドロドロになっていることが多く、それが指先にたまりやすくなります。商陽を刺激すると、そのドロドロの血液を散らすことができ、痛みが楽になります。
●足の鎮痛ツボ(内庭)
<効果>上の歯と歯茎の痛み
足にある歯の鎮痛ツボは内庭です。内庭は、足の甲側の第2指と第3指の分かれめにあります。上の歯と歯茎の痛みによく効くのが特長です。
<内庭のもみ方>
<効果アップのポイント>
(2)で親指の爪の角で刺激すること。内庭のツボをピンポイントで刺激でき、より効果が上がる。
●歯茎の痛みにはプラスαでアキレス腱部分をもむといい
これらの手足の鎮痛ツボに加え、アキレス腱部分をもむと、足の血行がよくなり、循環障害から起こる歯茎の痛みが軽くなります。
<アキレス腱のもみ方>
アキレス腱を手指でつまむように持ち、アキレス腱の下からふくらはぎの少し下まで優しくもみほぐします。
痛みが軽くなっても必ず歯科の受診を
即効的に痛みが消えることもありますが、すべての人に同じように効くとは限りません。それに、ツボもみで虫歯や歯髄炎が治るわけではありません。歯痛があったら、必ず歯科医に診てもらってください。また、皮膚粘膜の弱い人は、ツボもみをやりすぎないように注意しましょう。(落合先生)
まとめ
歯や歯茎の痛みは、ひどくなると頭痛や首コリまで引き起こすことも。我慢できない痛みから、仕事や家事、勉強に手がつかなくなることもあるでしょう。治療までの間は一刻も早く痛みを軽くしたいもの。そのようなときの対処法として「歯の痛みに効く鎮痛ツボ」を試してみてはいかがでしょうか。