【読者から質問】
乾電池の液漏れは、どうして起こるのでしょうか? また、電池を機器内にセットしているときとしていないときとでは、どう違うのでしょうか?(E・Kさん 山口県 61歳)
編集部:乾電池の液漏れで嫌な経験をした人は、多いんじゃないでしょうか。この質問はフリーライターの福多利夫さんに聞いてみましょう。液漏れの原因は何ですか?
【専門家から回答】
専門家: アルカリ電池にしろ、マンガン電池にしろ、乾電池の中には『電解液』という液体が入っています。これが電池の外側に漏れてしまう現象が『液漏れ』ですね。液漏れする原因には、電池外装に小さい傷がついてしまい、錆や劣化のせいで内部まで貫通するとか、いろいろな原因が考えられるのですが、最も多い原因はガス排出に伴う液漏れです。
編集部:電池がガスを出すんですか?
専門家: 電池の中でガスが発生するんですよ。電池は、外装の缶の中に詰め込まれた物質が化学反応を起こして電気を発生させるのですが、この化学反応の際に、ガスも発生します。
電池の内部は、このガスを吸収する構造になっていますが、大量のガスが発生すると、内部で吸収しきれなくなります。そのとき、電池が破裂するのを防ぐために、ガスを外部に放出する安全弁が設けられていて、そこからガスが放出されるときに、電解液も漏れてしまうんですね。
編集部:なぜ、電池の中で大量のガスが発生してしまうんでしょうか?
専門家: 過負荷や過放電が原因です。機器に電池を逆向きにセットしたり、1本だけ電池の向きを間違えたり、+と-の電極が直接接続される『ショート』が起きたときなどが、過負荷な状態ですね。電池に無理がかかって、内部でガスが大量発生します。これらのシチュエーションは、電池のパッケージに書いてある禁止条項ですよね。電池が高温になって機器を溶かしたり、火事になったりする危険性もあるので、絶対にしないでください。
実は、もう一つの過放電がクセモノです。これは、機器の中に電池を入れっぱなしにしてあって、もうその機器が動かせないほど電池が消耗しているのにもかかわらず、電池を外さないため、機器が電気を取り出そうとし続けることです。これも大量のガスが電池内部にたまって、ガス放出から液漏れに至ります。長年使っていなかった家電の電池が液漏れしているというのは、みなさん経験しているんじゃないでしょうか。
編集部:使わなくても放電するということですか?
専門家: 機器を使用していなくても、電気は消費されているんですよ。例えば、内部の時計回路に電気を供給しているとか、設定のメモリーを維持するためですね。それが年単位で継続されると、ガス放出から液漏れになります。だから、液漏れ被害を回避するには、機器から電池を抜くというのが正解になります。
昔は、未使用の電池でも長期保管すると液漏れするおそれがありましたが、現在では、よほどの粗悪品でない限り、機器に入れていない電池の液漏れはありません。逆に、機器に入れっぱなしにしている場合、アルカリでもマンガンでも、また、ニッケル水素の充電池でも、液漏れの可能性があります。
編集部:液漏れ防止のために、機器から電池を抜くクセをつけましょう!