【ゴースト血管とは】毛細血管減少の改善・再生に役立つ食事と運動はコレ!

美容・ヘルスケア

2010年以降、加齢疾患のほとんどに毛細血管の血流不足がかかわることがわかってきました。私は血流が途絶えて消えた毛細血管を「ゴースト血管」と名づけ、注意を喚起してきました。毛細血管ケアのポイントは細胞内の「Tie2」という物質の活性化と、血流アップです。【解説】高倉伸幸(大阪大学微生物病研究所情報伝達分野教授)

解説者のプロフィール

高倉伸幸(たかくら・のぶゆき)

大阪大学微生物病研究所情報伝達分野教授。三重大学医学部卒業。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。2000年、熊本大学発生医学研究センター助教授。01年、金沢大学がん研究所教授に着任。06年、現職と金沢大学がん研究所客員教授を兼任。14年、日本血管生物医学会理事長。日本の血管研究をリードし続けている。
▼大阪大学微生物病研究所(情報伝達分野・高倉研)
▼研究論文と専門分野(科学研究費助成事業データベース)

ゴースト血管とは

ゴースト血管が起こると細胞の老化が進む

血管の病気というと、動脈や静脈など、太い血管の病気を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、こうした大きな血管が詰まる前に、流れが途絶えている血管があります。

それは、毛細血管です。

私たちの体の中には、毛細血管のネットワークが張り巡らされています。その長さをすべて合わせると、およそ10万km(地球2周半分)。血管の99%は、毛細血管なのです。

体のあらゆる臓器や細胞は、この毛細血管から栄養と酸素を受け取り、老廃物を渡して、機能を全うしています。

しかし、毛細血管は、加齢とともに減少します。20代と比べると、60代では30%、70代では40%も減ってしまうのです。

毛細血管が減ると、血液が隅々まで行き渡らなくなるため、細胞の老化が進みます。

細胞の老化は、以前はシミやシワ、たるみなど、肌に関する老化が注目されていました。ところが、2010年以降、加齢疾患のほとんどに、毛細血管の血流不足がかかわることがわかってきました。

高血圧、肝機能障害、喘息などの肺疾患、アトピー性皮膚炎、腎障害、網膜症など、関連症状は多岐にわたります。最近では、骨粗鬆症や認知症にまで毛細血管の減少が関係しているとわかり、そのメカニズムも解明されているのです。

私は、血流が途絶えて消えた毛細血管を、人がいなくなった街を「ゴーストタウン」と呼ぶことになぞらえ、「ゴースト血管」と名づけ、注意を喚起してきました。

【血管の老化チェック表 】

▢ 血縁者に心筋梗塞、脳卒中、狭心症を患った人がいる
▢ 血糖値が高い
▢ 血圧が高い
▢ コレステロール値が高い
▢ 昔よりも太った
▢ 睡眠時間が短い
▢ 頭痛や肩こり、腰痛を慢性的に患っている
▢ 肌がよく乾燥する
▢ シミやシワが増えた
▢ 髪にハリやツヤがない
▢ 手足の指先が冷える
▢ 傷の治りが遅い
▢ 足がよくむくむ
▢ 運動をほとんどしない
▢ 早歩きや階段を上る際に動悸や息切れがする
▢ 肉や揚げ物をよく食べる
▢ インスタント食品や菓子類をよく食べる
▢ お酒をよく飲む
▢ タバコを吸っている
▢ イライラすることが多い

当てはまる項目が多いほど、血管の老化が進んでいる可能性が高い

なぜゴースト血管が起こるのか

ゴースト血管の認知はだいぶ広まりましたが、なぜ血管が消えてしまうのかは、まだあまり知られていません。それについて、簡単に説明しましょう。

毛細血管は、内皮細胞と、それを補強する壁細胞で構成されています。

壁細胞からは、アンジオポエチン-1という物質が分泌されています。これが、内皮細胞にあるTie2(タイツー)という物質を活性化させると、内皮細胞どうしはぴったりと密着。そして、最終的に、内皮細胞と壁細胞も接着し、血液がスムーズに流れていきます。

ところが、加齢や紫外線、過剰に増えた活性酸素などによって壁細胞が傷つき、アンジオポエチン-1の分泌が減少すると、Tie2を活性化できなくなります。

すると、壁細胞がはがれやすくなり、毛細血管が血管の形状を保てなくなり、内皮細胞との間にすきまができます。そこから血液が漏れ出して、血流が途絶えてしまうのです。

特殊な測定機器で高齢者の指先の毛細血管を見ると、毛細血管が途中で消えていたり、団子状に固まったりしているのがよく見られます。

これは、毛細血管の構造がくずれ、血液が漏れているために起こります。

血流が悪い人の毛細血管は、血液が漏れて細部に運ばれない。
健康な人の毛細血管は、酸素や栄養が細部に運ばれる。

このように、毛細血管のゴースト化が進むと、必要な栄養素が各所の細胞に届かなくなります。さらに、老廃物や不要な水分を吸収するリンパ管の働きも落ちて、周囲が水浸しになってしまうのです。

ゴースト血管を改善するポイント

ポイントは「Tie2」の活性化と血流アップ

そこで重要なのが、毛細血管のケアです。

太い血管は、75%詰まらないと症状が出てきません。しかし、75%詰まって心筋梗塞や脳梗塞を起こしたら、命にかかわります。

その前から、毛細血管をケアして末端の血流をよくしておけば、生活習慣によって起こる、あらゆる病気を未然に防げます。

ポイントは、Tie2の活性化と、血流アップです。

Tie2は、先ほど触れたように、最終的に、内皮細胞と壁細胞の接着に寄与します。それによって血管を修復し、しっかりとした毛細血管に再生することができるのです。

また、血流がよくなると、途絶えていた血管がよみがえり、縮こまっていた血管はまっすぐ伸びるなど、血管のネットワークが再構築されます。

ゴースト血管を再生する食べ物はシナモン・ヒハツ・ルイボスティー

血管が修復して手の末梢神経障害が改善

私たちはこれまで、Tie2を活性化する食材を探してきました。その結果、天然由来の物質にTie2活性成分があるとわかりました。

代表的な物は、シナモンヒハツルイボスティーです。

シナモンは、別名ニッキともいい、漢方では桂皮という名称で、漢方薬の材料に使われています。

実際に、一般のかたを対象とした臨床試験では、毎日シナモンパウダーをとって運動もしてもらったところ、1週間で血管の状態が、有意に改善しました。シナモンがTie2を活性化させ、血管が修復されたというわけです。

ヒハツは、沖縄でよく使われているコショウの一種で、ロングペッパーという名称でも知られています。現在では全国で流通しており、ヒハツ茶も出ています。

私の両親は、ヒハツエキスを含む健康食品をとるようになって、父は下まぶたのプクッとしたたるみが取れ、母は手の末梢神経障害が改善しました。これも、血管が修復されて、血流がよくなったからでしょう。

ルイボスティーは、手軽に飲めるお茶として、スーパーなどで簡単に入手できます。

内皮細胞と壁細胞は、一度結合したらしばらく維持できますが、生活習慣の悪化によって、またはがれていきます。ですから、気づいたときに、これらの食材をとるように意識するとよいでしょう。

シナモンパウダーやヒハツは、週2回、1回1g以下の摂取で十分です。ルイボスティーも、週に数杯飲めば上出来でしょう。

同時に、運動をして血流をよくすると、縮んでいた血管がぐんぐん伸びて、ネットワークがつながっていきます。運動については次項で述べますが、こうした食材や手軽な運動で、高齢者でも自分で毛細血管ケアができ、老化や病気も防げるのです。

毛細血管の再生には血流アップが必要

毛細血管が伸びると血液が漏れにくくなる!

前項では、毛細血管内の細胞から分泌されるTie2(タイツー)という物質の活性化が、血管修復のカギを握るというお話をしました。

食事によるTie2の活性化は大切ですが、血流を促すことも、毛細血管の再生のために欠かせません

毛細血管を構成している内皮細胞は、常に血流にさらされています。内皮細胞は、血液の流れを認識すると、細胞どうしがしっかり結合するという性質があります。

すると、縮んで丸まった毛細血管の細胞がきれいに整列するようになり、先へとまっすぐに伸びていきます。

特に高齢者の場合は、毛細血管が縮んで、団子状に固まりがちです。しかし、これが伸びるだけでも血管から血液が漏れにくくなり、栄養と酸素を運ぶネットワークが広がります。

その血管の伸びを促すのが、Tie2を活性化させる食材をとること、そして、血流をアップさせることなのです。

血流が悪い人の毛細血管は、団子状に固まり、血流が見えない。
健康な人の毛細血管は、血管がまっすぐに伸び、血流が見える。
〈写真協力:あっと株式会社/血管美人〉

血流を促す運動は「その場足踏み」がおすすめ

ふくらはぎは毛細血管が密集している

血流を促すには、マッサージやウォーキング、入浴など、さまざまな方法があります。特に私がお勧めしている運動が、ふくらはぎを鍛える「その場足踏み」です(やり方は下記参照)。

ふくらはぎは、毛細血管が密集している部位です。その量は、ほかの部位の比ではありません。

ふくらはぎの筋肉は、「第二の心臓」と呼ばれています。筋肉が収縮し、弛緩すると、そのポンプ運動で毛細血管の血液が流れていきます。

下肢の末梢循環がよくなって上半身に流れていけば、全身の血流もよくなるのです。

しかし、ふくらはぎの筋肉は、加齢とともに衰えていきます。それに伴い、ふくらはぎの血流が滞ると、不要な二酸化炭素がたまるなどして、血流が悪化します。

すると、毛細血管を構成する内皮細胞と壁細胞の接着が緩くなり、必要以上に血液が漏れやすくなります。高齢者の足がむくみやすいのは、そのためです。

全身の毛細血管が再生する!「その場足踏み」のやり方

背すじを伸ばして足を肩幅に広げて立ったら、太ももが床に水平になる程度まで片足を上げ、両足を交互に上げ下げする。腕は大きく振らなくてもよい。30回を1セットとして、1日2~3セットを目安に行う。
※足腰が弱い人は、転ばないように壁や机などに手をついて行うこと。

運動を毎日続けることで効果が得られる

寝ながら足の甲を伸ばすだけでも効果あり

私が勧めている「その場足踏み」は、高齢者でもできる簡単な運動です。ふくらはぎから血液を送るポンプ機能が高まり、上半身に血流が促されます。

足踏みのコツは、下肢に刺激を与えるため、足をなるべく高く上げることです。最初は無理して高く上げなくてもいいので、少しずつ高く上げていきましょう。

ひざが悪く、立つこともできない人は、寝ながら足の甲を伸ばしたり立てたりするだけでも効果があります。

《壁や机などに手をついても立てない場合》
寝ながら足の甲を前や上に伸ばすだけでも効果あり。寝たきりの人には、ご家族が足首を動かしてあげればよい。

また、立った状態でかかとを上げ下げする運動も、ふくらはぎを鍛えるのに効果的です。電車に乗ったときは、つり革につかまって、つま先立ちをしてもいいでしょう。

足腰が元気な人は、時間を見つけて、とにかく歩きましょう。歩くときも、ひざをなるべく高く上げると効果がアップします。

こうした運動は、毎日続けることで効果が得られます。血流が悪化すると、すぐに血管はたるんでしまうため、毎日、毛細血管の血流を維持することが大事です。そうすれば、内皮細胞が血流を感知して、血管を伸ばすように誘導してくれます。

ちなみに、寝たきりの状態の人や活動量の低い人は、薬が効きにくい傾向にあります。血流が低下して毛細血管から血液が漏れ、薬の成分が必要とするところまで届かないためです。

しかし、ふくらはぎを動かして血流がよくなれば、薬の成分が隅々の細胞に届くので、薬が効きやすくなります。

その場足踏みは、1セット1分でできます。Tie2活性食をとりながら、ふくらはぎを鍛える運動も、ぜひ続けてください。

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