数あるAndroid(アンドロイド)向けブラウザーのなかでも、ダントツのシェアを誇るのが、いわずと知れたGoogle(グーグル)の「Chorme」だ。タブ切り替えを始め、ブックマークやパスワードの自動同期を備えるなど、機能面は文句なしだが、長く使っていると動作が重くなったり、不安定になったりすることもある。今回は、そんな「Chromeトラブル」に効果のあるテクニックを紹介しよう。
アプリの動作は「メモリー」の空き容量に依存する
パソコンの世界ではごく当たり前のことだが、スマホの動作も、「メモリー」の搭載量に大きく依存する。
最近は、4Gバイト超えの大容量メモリーを備えたハイエンド機も増えてきているが、一方で、スペックを抑えることで低価格を実現した「格安スマホ」もシェアを伸ばしている。
こうした格安スマホは、当然、メモリー搭載量も低く抑えられているため、さほど多くのアプリを起動していなくても、メモリー不足で動作に支障をきたす場合がある。
一方、大容量メモリーを備えた高性能モデルなら盤石かというと、決してそういうわけでもない。
というのも、Android OSは、メモリーの搭載量が多ければ、より多くのアプリがシステムに常駐するようになるなど、そのぶん消費も増える傾向があり、蓋を開けてみれば、実はメモリーの空き容量に余裕があまりなかった、という場合がある。
もちろん、それでも格安スマホよりは動作は断然快適だが、高性能モデルならメモリー不足が起きることはない、と過信しないほうがいいだろう。
しかも、ただでさえChromeはメモリーの消費量が大きいことで有名なアプリでもある。
したがって、Chromeの動作が不安定になったときは、空きメモリーがひっ迫しているという可能性を第一に疑うべきだろう。
(1)使い終わったアプリはタスクを終了させる
まずは定番中の定番だが、十分な効果が期待できるのが「アプリのタスク終了」。
使い終わったアプリを終了させれば、メモリーの空き容量をそのぶん増やすことができる。
Androidアプリのなかには、アプリを自動終了させるタスク管理ツールもあるが、端末によって相性があったり、設定が難しかったりと、ビギナー向けとは決していい難い。
したがって、初心者の場合は、余計なリスクを回避するためにも、Android標準の「タスク切り替え」機能を使って、アプリを終了させたほうが無難だ。
アプリを終了させるには、まず「タスク」ボタンをタップして「タスク切り換え」画面を表示。
次に、サムネイル右上の「✕」をタップするか、サムネイルを左右どちらかにスワイプすれば、アプリが終了する。
なお、端末によっては、タスク切換え画面上に全アプリを一括終了できるボタンなどが用意されている場合もある。まとめてアプリを閉じたい場合は、それを利用しても構わない。
(2)不要なアプリはアンインストール
タスク切り替え画面からアプリを終了させることで、一時的に空きメモリーを増やすことは可能だが、アプリによってはバックグランドで常駐してしまって、完全にタスクを終了できないものもある。
こうした「常駐アプリ」を強制的に終了させる方法もあるが、ビギナーの場合は、むやみに行うのはやめたほうがいい。
というのも、万が一、OSの基本動作に必要なアプリまで終了させてしまうと、かえって動作が不安定になったり、アプリのデータが消えてしまったりなど、予期せぬ不具合が起きる可能性もあるからだ。
こうしたリスクを回避して、安全にバックグランド動作を停止させるには、不要なアプリをアンインストールするのがベストだ。
不要なアプリを削除してなんの意味があるのか、と思うかも知れないが、実はまったく使っていないアプリでもバックグランドで動作していることは思いのほか多く、知らず知らずのうちに無駄なメモリーを消費している場合があるからだ。
こうした不要なアプリのバックグランド動作は、大元のアプリさえアンインストールしてしまえば、きれいさっぱり消すことができる。
アプリのアンインストールは、「設定」のアプリ関連の項目から行える。まったく使っていないアプリがある場合は、思い切ってアンインストールしてしまおう。
しかも、アプリの削除でストレージの空き容量が増えれば、システム動作もより安定化するので一石二鳥だ。
(3)使っていないタブを閉じる
Chromeでは、便利なこともあって、ついタブをたくさん開いてしまいがちだが、実はタブ表示はメモリーの消費量がかなり多い。そのまま放置しているとメモリー不足の大きな原因になるので、使い終わったタブはなるべく閉じたほうがいい。
Chromeのタブを閉じるには、まず画面右上にあるタブアイコンをタップ。
タブの切り替え画面が表示されたら、タブのサムネイル右上にある「✕」をタップするか、サムネイルを左右どちらかにスワイプ。これでタブが閉じる。
すべてのタブを一括終了させたい場合は、タブ切り替え画面右上の「オプション」メニューから「すべてのタブを閉じる」をタップすればOKだ。
「クローム初期化」の前に試したい、簡単で効果的な対策
空きメモリーを増やしても、Chromeの動作が改善しない場合は、Chrome自体になんらかの問題がある可能性が高い。
こうした不具合を解消するには、「Chromeの初期化」が最も効果が期待できるが、これはあくまで最終手段だ。
その前に試すべき、お手軽な対策がいくつかあるので、そちらを紹介していこう。
(4)サイトのデータを個別に消去する
Chromeには、これまでアクセスしたサイトのデータを始め、キャッシュされた画像やファイルなどが保存されているが、これらがブラウザーの動作に悪影響を及ぼすことがある。
こうしたサイトのデータは、ブラウジングの読み込み速度を上げたり、サイトのログイン状態を保持したりなど、基本的にはブラウザーをより利用しやすくするためのものだが、削除してしまっても特に問題はない。
むしろ、削除しないままだと肥大化していく一方で、本体のストレージを圧迫させる可能性もあるので、定期的に削除したほうがいい、といえるくらいだ。
ただし、「特定のサイトのみ」データを残しておきたい場合など、一括で削除したくない場合もあるだろう。
そんなときは、Chromeの設定にある「サイトの設定」を使えば、個別にサイトのデータを削除可能だ。
まずChromeの「設定」→「サイトの設定」→「ストレージ」を開く。
リストからデータを削除したいサイトを選んでタップ。
「消去してリセット」をタップ。これでサイトのデータが消去される。
(5)閲覧履歴データの削除
サイトのデータを個別に削除しても、Chromeの動作が一向に改善しないなら、思い切って全サイトのデータを消去してしまうのも手だ。
先ほども説明したように、基本的にサイトのデータを削除してもさほど困ることはない。
例えば、「ブックマーク」や「保存した画像」が消えることはないし、閲覧履歴もクラウド上に残ったままだ。
Chromeの「設定」→「プライバシー」→「閲覧履歴データを消去する」を開く。
「基本」タブを開いて、「Cookie、メディアライセンス、サイトデータ」「キャッシュされた画像とファイル」の二つをチェック。
「閲覧履歴」をクラウドに残しておきたい場合は、必ずチェックを外しておくこと。
サイトのデータを削除する期間を選択。
指定できる期間は、「1時間以内」「過去24時間」「過去7日間」「過去4週間」「全期間」の5種類だ。
Chromeの動作に不具合が生じたタイミングに応じて、期間を指定するといいだろう。
期間を指定したら、画面右下の「データ消去」をタップ。これでサイトのデータが削除される。
(6)Chromeを完全初期化する
どうしてもChromeの動作が改善しないなら、最後の手段となるが、Chromeのデータを丸ごと削除してみよう。
Chromeのデータを全削除すると、サイトのデータやキャッシュが全消去されるほか、Googleアカウントのログイン状態も解除される。
ただし、ブックマークや閲覧履歴はクラウド上に保存されているので、同じアカウントでChromeにログインすれば、元の状態に復元可能だ。
ただし、これまで「Chromeの同期機能」を「オン」にしていなかった場合は、データを復元することはできない。
Chromeを初期化する前に、同期をオンにしてクラウド上に前もってデータを必ずバックアップしていこう。
Androidの「設定」からアプリ関連の項目を選択し、アプリの一覧から「Chrome」をタップ。
次に、Chromeのアプリ情報画面にある「ストレージ」をタップする。
「ストレージを管理」をタップ。
「すべてのデータを消去」をタップすると、全データが削除される。
これでChromeは初期状態に戻るが、これまでと同じGoogleアカウントでログインすれば、ブックマークと閲覧履歴については自動同期により復元することが可能だ。
まとめ
スマホにとって、ブラウザーはなくてはならない存在のため、動作に不具合が生じると使い勝手が著しく落ちてしまう。
Chromeが不安定になったり、動作が遅くなったりした場合は、今回レクチャーした方法で改善するかどうか試してみよう。
残念ながら、改善がまったく見られない場合は、端末のスペックが根本的に不足している可能性もありうる。そんなときは、思い切って最新モデルへ買い換えるのも手だ。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆