セキュリティソフトに有料版と無料版に違いは「制約」だ。例えば、使える機能や期間に制限があったり、全機能が使えても広告が表示されたりと何かしらの制約があるものだ。これらの「無料版」の特性を、きちんと知らないまま利用していると、思わぬ落とし穴にはまらないとも限らない。
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セキュリティソフト、有料と無料の違いは?
読者から質問
有料のセキュリティソフトと無料のセキュリティソフトの違いを詳しく知りたいです。(Y・Mさん 福井県 70歳)
専門家の回答
編集部:
これは、ガジェットライターの篠原義夫さんに聞きます。
専門家:
「セキュリティソフト(アプリ)に限った話ではありませんが、通常、有料版はすべての機能を使える完全版となっています。また、WindowsやMac、さらにはAndroidやiOSなど、異なるOSに導入可能なマルチデバイス&マルチプラットフォーム対応という製品がほとんどです。
一方、無料版にはさまざまなタイプがあり、大別すると『機能制限』『期間限定』『広告付き』の3種類があります。
まず、『機能限定』は、基本的な機能しか利用できません。こうした機能限定系の一つとして挙げられるのが、アバストの『アバストアンチウイルス』。ウイルス駆除などの基本機能は利用できますが、偽ショッピングサイトからの保護や迷惑メールのブロックといった機能は、利用できません。
次に『期間限定』は、使用できる期間に限りがあるものの、機能的な縛りはありません。期間はアプリによって異なりますが、多くの場合、30日間程度といったところ。シマンテックでは「ノートンセキュリティ」の期間限定版を配布していますが、やはり使用できる期間は30日間までです。
機能限定と期間限定は、試用が目的の『体験版』と考えたほうがいいでしょう。要するに、『気に入ったら有料版を買ってくださいね』ということであり、本来は常用すべきものではありません。
最後の『広告付き』は、広告の収益によってアプリの無料配布をビジネスモデルとして成立させたものです。アプリの全機能を制限なしに利用できるものの、当然ながら使用中には広告が表示されるため、多少うっとうしく感じる点がネックといえます。
現在、広告モデルを採用したセキュリティアプリの代表例としては、キングソフトの『インターネットセキュリティ2017』が挙げられます。当然、広告付きながら、無料で全機能を使えるほか、更新料も一切なし。もし、広告がどうしても目障りなら、あとから広告なしの有料版に切り替えることも可能です。
このように、無料版には、使える機能や期間に制限があったり、広告が表示されたりなど、何かしらの制約があるものです。また、有料版とは異なり、基本的にはマルチプラットフォーム&マルチデバイスに非対応となっています。
こうした要素をすべて承知したうえで無料版を利用するということであれば、特に問題はありませんが、何も理解しないまま使っていると、思わぬ落とし穴にはまらないとも限りません。特に、セキュリティ関連の知識にいま一つ自信がないという人は、高いセキュリティ性を手間なく確保でき、パソコンやスマホなど、複数の端末でも使える有料版を利用するのが最も無難といえるでしょう。」
編集部:
無料版の特性やセキュリティ関連の知識にあまり自信がない人であれば、有料のセキュリティアプリを利用するのが無難ということですね。了解しました!
イラスト/はやし・ひろ