大腰筋は腰椎と太ももの骨をつないでいる太い筋肉なので、これが過緊張を起こすと縮んで背骨が下方に引っ張られることになります。すると、腰椎の間が狭くなって圧迫され、そこに脊柱管の狭窄があれば、よけいな圧がかかって痛みやしびれなどの症状が出やすくなるのです。【解説】田宮高彦(鍼灸師・整体師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

田宮高彦(たみや・たかひこ)
1960年、東京生まれ。鍼灸師。整体師。2001年から治療院に勤務し、これまでの治療実績は延べ2万人以上を数える。12年からは、中学校の体操部へのボランティア治療に取り組む。17年、「お尻トントン」を考案。広めるために「自分でひざ痛を治す勉強会」を毎月葛飾区で開催している。

背骨と大腿骨をつなぐ筋肉が緊張している!

皆さんは、「大腰筋」という筋肉の名前を耳にしたことがあるかもしれません。

大腰筋は、腰椎(腰の部分の背骨)の側面から、大腿骨(太ももの骨)に向かって伸びている筋肉です。大腰筋と小腰筋、腸骨筋と合わせて、腸腰筋という筋肉群を形成しています。

そのうちの大腰筋は、主に股関節を屈曲させる動作を行うとき、つまり、ひざを持ち上げる際に働きます。また、股関節を外旋させる動作(ひざを外に向ける動き)をサポートしています。私たちが歩く際に、最も重要な働きをしているのが、大腰筋だといえるでしょう。

このため、加齢や運動不足によって大腰筋が衰えると、足が上がらなくなり、つまずきやすくなります。脊柱管狭窄症の症状を軽減させるために、私が特に重要視しているのが、この大腰筋なのです。

脊柱管狭窄症に悩むかたは、この大腰筋が過緊張を起こし、こわばっています。右側の腰や右足などに痛みやしびれが出ている人の場合、たいてい体が右側に傾いています。

これは、右側の大腰筋が過緊張を起こし、こわばっているからです。大腰筋は、腰椎と太ももの骨をつないでいる太い筋肉なので、これが過緊張を起こすと縮んで、背骨が下方に引っ張られることになります。

すると、腰椎の間(椎間関節)が狭くなって圧迫されます。そこに脊柱管の狭窄があれば、狭窄部位によけいな圧がかかって、痛みやしびれなどの症状が出やすくなるのです。

また、背骨は、通常、S字状のカーブを描いています。しかし、大腰筋が過緊張を起こしていると腰が反って、正しいS字カーブが保てなくなります。

脊柱管狭窄症の症状を軽くするには、この大腰筋の過緊張を解き、筋肉のこわばりをほぐすことが必要です。狭窄部位の圧迫が少なくなり、痛みやしびれの症状も楽になってきます。

また、大腰筋の緊張が緩和されれば、左右の大腰筋のバランスも整い、背骨が安定してまっすぐ立てるようになります。これも、腰痛改善の助けとなるはずです。

あおむけになって足先を正方形に動かす

では、その大腰筋のこわばりをほぐすのに役立つ「大腰筋ほぐし」のやり方を説明しましょう。

画像1: 【脊柱管狭窄症を改善】正しく背筋を伸ばす「大腰筋ほぐし」のやり方

あおむけになって、両足をまっすぐ伸ばします。

画像2: 【脊柱管狭窄症を改善】正しく背筋を伸ばす「大腰筋ほぐし」のやり方

痛みのある側の足を伸ばしたまま、20〜30cmほど持ち上げてください。

画像3: 【脊柱管狭窄症を改善】正しく背筋を伸ばす「大腰筋ほぐし」のやり方

持ち上げた足を、外側へ20~30cm移動させます。

画像4: 【脊柱管狭窄症を改善】正しく背筋を伸ばす「大腰筋ほぐし」のやり方

③の位置から、床には着かないよう足を下ろしましょう。

足を①の位置へ戻します。

つまり、足先で一辺20~30cmの正方形を描くように動かすのです。これを10回行って1セットとします。

足を高く上げ過ぎると、腹筋(腹直筋)が働いてしまい、大腰筋をほぐす効果が薄れてしまうので、注意しましょう。

腰痛のかたは、たいてい起き抜けがいちばんつらいものです。そこで、朝、目が覚めたらベッドの中で、1セット行うことをお勧めします。そのほかにも、できれば1日で6~7セット行うことができれば理想的です。

大腰筋ほぐしをする際、腰を反らしてしまう人がときどきいます。こうすると、腰や背骨の狭窄部分に負担となる恐れがあります。できるだけ、腰を反らさず行うように心がけてください。実際に痛みがある場合でも、無理のない範囲で大腰筋ほぐしを行ってかまいません。

大腰筋ほぐしを行う際に、へその両わき5cmくらいのところに手を添えておくと、大腰筋の動きを感じることができるでしょう。

腰痛全般に有効!首や肩のコリも解消する

子供のころ、姿勢をよくする指導のため、学校の先生に定規を背中に入れられた、という経験をされた方もいるのではないでしょうか。

当時は正しいとされていましたが、これは、姿勢をよくする方法としては誤りです。先ほども触れたように、「ゆるいS字カーブを描いている」のが、正しい背骨の姿です。

背骨を無理にまっすぐにしようとすると、かえって腰が反ってしまい、脊柱管狭窄症を引き起こす遠因ともなってしまいます。

また、最近では、携帯電話やスマートフォンを長時間使っているために、頭が前にせり出して背中も曲がるなど、ひどい姿勢になっているかたがたくさんいます。

しかし、そうした悪い姿勢を直そうとして、無理やり背すじを伸ばそうとすることは、かえって悪影響を及ぼします。

大腰筋ほぐしで、深いところにある筋肉の過緊張をほぐすほうが、本来の正しい姿勢を取り戻すのに役立ちます。

大腰筋ほぐしが効果を発揮するのは、脊柱管狭窄症だけに限りません。姿勢の悪さから生じる腰痛全般に有効なのです。また、首や肩のコリを解消するうえでも役立ちます。

ベッドの上で簡単にできるので、まずは大腰筋ほぐしを試してください。毎日続けるうちに、ご自分の腰の状態がよくなることを実感できます。

画像: この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています。

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