キャノンのラインアップは、執筆時点で全17機種(ミラーレス5機種、一眼レフ12機種。うち1眼レフ1機種は大手量販店で販売終了)。カメラもレンズも初心者からプロ向けまで豊富に揃っているのが特徴だ。しかしステップアップする際には「交換レンズの互換性」に注意が必要。今回は主要5モデルをチェックした。
キヤノンの主要モデルをチェック
主要現行ラインアップ
ボディ
ミラーレス一眼(フルサイズ)/1機種
ミラーレス一眼(APS-C)/4機種
一眼レフ(フルサイズ)/5機種
一眼レフ(APS-C)/7機
レンズ
EFレンズ/63本
EF-Sレンズ/14本
RFレンズ/4本
EF-Mレンズ/8本
カメラもレンズも豊富にそろっている
原稿執筆時点で全17機種ものラインアップを誇るキヤノンは、5機種のミラーレス一眼と12機種の一眼レフを発売中だ(一眼レフの1機種は大手量販店では販売終了)。もともとミラーレス一眼への参入はかなり遅く、フルサイズ機の投入は昨年秋のEOS Rが初となる。そのEOS Rには、新開発のRFマウントを採用。ミラーがないことによるレンズ設計の自由度の高さを利して、高性能化を図っている。
APS-Cサイズには、フィルム時代からのベストセラー一眼の名を冠したEOS Kiss Mなどをラインアップ。こちらは、カメラ初心者から一般アマチュア向けといえる。
一眼レフは、フルサイズには、ハイエンドのEOS-1DX MarkIIをはじめ、プロ〜ハイアマチュアに人気の高いEOS 5Dシリーズ、EOS 6D MarkIIがある。APS-Cサイズには、EOS 7D MarkIIやEOS 80Dといったハイアマチュア向けモデルのほか、軽快でお手ごろ価格のエントリークラスが充実している。
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左上:EOS Kiss X9i、左下:EOS Kiss M、中央:EOS R、右上:EOS Kiss X90、右下:EOS 6D MarkII
フルサイズへのステップアップ時の落とし穴に注意
手持ちの交換レンズの互換性に注意しよう
いずれにしても、機能や性能、画質、操作性を追求するならフルサイズへのステップアップを検討することになるが、ここで話をややこしくするのが交換レンズの互換性だ。
例えば、APS-Cサイズ一眼レフのユーザーの場合、フルサイズ一眼レフに買い替えると、持っているEF-Sレンズは使えなくなる。が、フルサイズミラーレス一眼にならマウントアダプター経由で装着できる(ただし、画面はAPS-Cサイズ相当にトリミングされる)。
一方、APS-Cサイズミラーレス一眼ユーザーの場合、EF-Mレンズはフルサイズ機には対応しないため、持っている機材を全入れ替えすることになる。つまり、他社への転向も検討するべきといえる。
カメラもレンズも豊富にそろっているものの、ステップアップ時に意外な落とし穴があるので要注意だ。
キャノンの主要5モデルの評価は?
ミラーレス一眼(フルサイズ) EOS R
24万8500円(ボディ)
標準対応レンズ/RFレンズ・EFレンズ(※)・EF-Sレンズ(※)※マウントアダプターが必要
有効画素数/3030万画素
最高ISO感度/10万2400
最大連写速度/8.0コマ/秒
ボディサイズ/幅135.8mm、高さ98.3mm、奥行き84.4mm
ボディ重量/660グラム
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評価
キヤノン初のフルサイズミラーレス。ボディ内手ブレ補正がない
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一眼レフ用のEFマウントをさらに発展させたRFマウントを採用。カメラの薄型化によって、より高度な光学設計が可能になり、レンズの高性能化を果たしている。人物に対する顔認識や瞳AFなどが可能なデュアルピクセルCMOS AFのほか、高精細なEVFとバリアングル液晶モニターを備える。好みに合わせて操作系をカスタマイズできるのも強み。
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ボディ内手ブレ補正機構がないので、手ブレ補正を持たないレンズ使用時に不便。AF追従連写が5コマ/秒と遅い。測距点選択用のジョイスティックがない。現時点ではアダプターなしで使える交換レンズが4本のみしかない。
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ミラーレス一眼(APS-C) EOS Kiss M
7万6730円(ボディ)
標準対応レンズ/EF-Mレンズ・EFレンズ(※)・EF-Sレンズ(※)※マウントアダプターが必要
有効画素数/2410万画素
最高ISO感度/5万1200
最大連写速度/7.4コマ/秒
ボディサイズ/幅116.3mm、高さ88.1mm、奥行き58.7mm
ボディ重量/387グラム
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評価
シリーズ最速の7.4コマ/秒連写。交換レンズの少なさがネック
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/278ddc619f5ae3a6612667d3602be2b84d949da1.jpg)
最新エンジンのDIGIC 8を搭載したAPS-Cモデル。測距点のカバーエリアが広がったほか、瞳AFの搭載、手ブレ補正も強化。画像処理の進化で画質も向上している。EOS Kissシリーズ最速の7.4コマ/秒連写で動体撮影にも対応しやすい。初心者にも親しみやすい新メニュー画面を採用したほか、ブルートゥース通信機能でスマホとの連係も強化した。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/66cf8e094759f8dfc2cecba0fe930cdb678a7be1.jpg)
電子ダイヤルが一つしかないので、頻繁に露出補正を行う人には不便。交換レンズが8本しかない。マウントアダプターで一眼レフ用レンズも使えるが、小型軽量さは損なわれてしまう。
一眼レフ(フルサイズ) EOS 6D MarkII
19万1260円(ボディ)
標準対応レンズ/EFレンズ
有効画素数/2620万画素
最高ISO感度/10万2400
最大連写速度/6.5コマ/秒
ボディサイズ/幅144.0mm、高さ110.5mm、奥行き74.8mm
ボディ重量/765グラム
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/279bbd388a8913e36c4acdd56524a8c783dbcc58_xlarge.jpg)
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評価
携帯性がよく、女性にもおすすめしやすいフルサイズ一眼レフ
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/6d2253ac4f119c76f86c444f9a3f9218d9ac4702.jpg)
フルサイズ一眼レフとしては軽量で携帯性がよく、女性にもすすめやすい。背面のサブ電子ダイヤルとマルチコントローラーで露出調整や測距点選択が快適。上面に多くのボタンがあって、素早く操作できるのも強み。縦位置撮影にも対応できるバリアングル液晶モニターも魅力だ。
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ファインダー視野率が100%ではないので、厳密なフレーミングが要求される撮影には不向き。また、測距点のカバーエリアが狭いため、三脚撮影時の自由度がもう一つ。シャッター最高速が1/4000秒までなのもマイナスポイント。交換レンズにお金がかかるのにも注意が必要。
一眼レフ(APS-C) EOS Kiss X9i
8万9380円(ボディ)
標準対応レンズ/EFレンズ・EF-Sレンズ
有効画素数/2420万画素
最高ISO感度/5万1200
最大連写速度/4.5コマ/秒
ボディサイズ/幅131.0mm、高さ99.9mm、奥行き76.2mm
ボディ重量/532グラム
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/8bee3278e789647b9d8cdff4a139f148ba8cd1a3_xlarge.jpg)
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評価
ワイドエリアの45点AFを搭載するKissシリーズトップモデル
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/c185444e1bfaecf655f3b738b8d2c9bb59f3d302.jpg)
一眼レフのEOS Kissシリーズのトップモデルで、ワイドエリアの45点測距AFを搭載。動きの読めない被写体にも対応できる。新ユーザーインターフェースの採用で、初心者にも操作がわかりやすい。縦位置でも自由なアングルで撮れるバリアングル液晶モニターを装備。スマホとの常時接続にも対応するブルートゥース通信機能もある。
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光学ファインダーの像が小さくて、ピントの合否が見えづらい。任意の測距点を選択する操作がややめんどう。電子ダイヤルが一つしかないので、露出調整はやりづらい。動画がフルHDまでしかない。
一眼レフ(APS-C) EOS Kiss X90
4万6440円(ボディ)
標準対応レンズ/EFレンズ・EF-Sレンズ
有効画素数/2410万画素
最高ISO感度/1万2800
最大連写速度/3.0コマ/秒
ボディサイズ/幅129.0mm、高さ101.3mm、奥行き77.6mm
ボディ重量/475グラム
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/ce9b59e2ac2b7ce2ef0093775d20437dd23ff454_xlarge.jpg)
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評価
身近な価格ながら高画質。多彩な撮影モードも上位モデルと同等
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/b66c094f1407b55d7b7fd450844875cb506fbcee.jpg)
身近な実売価格のローエンドモデルながら、Kiss X9iなどの上位モデルとほぼ同等の2410万画素センサーを搭載し、大判プリントにも対応可能な高画質が得られる。多彩な撮影モードも上位モデルと同じで、さまざまなジャンルの撮影に対応できる。基本的な操作系も上位と同じなので、ステップアップしても早く慣れることができるだろう。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2019/04/01/e4fe6816ab1d44eed33cd610f3384ce960ef3ee5.jpg)
AFの測距点が9点しかなく、連写も3コマ/秒と遅いため、スポーツ系の撮影には不向き。ファインダー像が小さい。画像処理エンジンが古く、省略されている機能もある。センサーに付着したゴミを落とす自動クリーニング機能がない。
※価格は記事作成時のものです。
解説/北村智史(カメラライター)