ニコンの現行ラインアップはミラーレス一眼がフルサイズの2機種、一眼レフはフルサイズ7機種とAPS-Cサイズ機が4機種だ。ニコンではフルサイズを「FXフォーマット」、APS-Cサイズを「DXフォーマット」と呼ぶが、FX系とDX系の一眼レフで交換レンズの互換性があり、ミラーレスでも使えるのが特徴だ。ここでは主要5モデルをチェックしたので、カメラを選ぶ際の参考にしてほしい。
ニコンの主要モデルをチェック!
ニコンのウェブサイト上には、ミラーレス一眼がフルサイズの2機種、一眼レフはフルサイズ7機種(うち2機種は大手量販店では販売終了)とAPS-Cサイズ機が4機種ラインアップされている。ニコンではフルサイズを「FXフォーマット」、APS-Cサイズを「DXフォーマット」と呼び、DX専用の交換レンズは名称に「DX」がつく。
主要現行ラインアップ
ボディ
ミラーレス一眼(フルサイズ)/2機種
一眼レフ(フルサイズ)/7機種
一眼レフ(APS-C)/4機種
レンズ
Zマウントレンズ/3本
Fマウントレンズ/79本
Zマウントは大口径化によって高画質化を図る
ミラーレス一眼のZシリーズは、昨年秋に登場。キヤノン・EOS R同様、大口径マウントを採用しており、カメラ本体の小型軽量化と同時に高画質化を図っている。
FX一眼レフはフラッグシップのD5を筆頭に、プロ〜ハイアマチュア向けという印象だ。一方、DX一眼レフには、D5と同じAFを搭載したハイエンド機のD500をはじめ、中級〜入門者向けモデルがある。
DX系とFX系の一眼レフで交換レンズの互換性がある
ニコンの場合、キヤノンと違ってFXのカメラにDXのレンズを装着できるのは有利な点だ(装着時は画面の中央部が切り出される)。例えば、エントリークラスのDX機のユーザーがFXのカメラを購入したとしても、手持ちのレンズがそのまま利用できるのだ。もちろん、記録画素数が減るなどのマイナス面はあるにせよ、FX用のレンズを買いそろえるまでのつなぎにできる。また、DX機を手放したとしても、DXのレンズ資産が無駄にならないのだからありがたい。
一眼レフからミラーレスへの移行でもレンズが活用できる
一眼レフからミラーレス一眼に移行する場合は、純正のマウントアダプターFTZを介することで、一眼レフ用のFマウントレンズを使用できる。ただし、AF機能が使えるのはAF-SレンズやAF-PレンズなどのAFモーター内蔵のものだけで、Dタイプレンズなどは手動でのピント合わせとなる。
これはキヤノンも同じだが、長い目で見れば、今後はミラーレス一眼への移行は避けられない。思い切って最初からミラーレス一眼を選んでしまうことを考えてもいいと思う。
ニコンの主要5モデルをチェック
ミラーレス一眼(フルサイズ) Z7
43万7400円(ボディ)
標準対応レンズ/Zマウントレンズ・Fマウントレンズ(※)※マウントアダプターが必要
有効画素数/4575万画素
最高ISO感度/10万2400
最大連写速度/9コマ/秒
ボディサイズ/幅134mm、高さ100.5mm、奥行き67.5mm
ボディ重量/675グラム
評価
Zシステムのポテンシャルを堪能できるが、かなりの予算が必要
Zシステムのポテンシャルを最大限に引き出せるローパスフィルターレス4575万画素撮像センサー搭載モデル。最新の画像処理エンジンEXPEED 6を採用。画像処理も一新して従来よりも高画質化を図っている。493点のハイブリッドAFと露出固定ながら9コマ/秒(AFは追従)の高速連写。コンパクトサイズだが握りやすいグリップも見どころだ。
かなり高価。交換レンズが少ないうえに安くないので、かなりの予算を覚悟しなければならない。記録メディアのXQDカードも高価だ。一度に連写できる枚数が少なめ(25コマまで)なので、スポーツ系の撮影にはやや弱い。
ミラーレス一眼(フルサイズ) Z6
27万2700円(ボディ)
標準対応レンズ/Zマウントレンズ・Fマウントレンズ(※)※マウントアダプターが必要
有効画素数/2450万画素
最高ISO感度/20万4800
最大連写速度/12コマ/秒
ボディサイズ/幅134mm、高さ100.5mm、奥行き67.5mm
ボディ重量/675グラム
評価
Z7に比べて画素数を下げ、高感度を実現。実売価格もより身近に
Z7と同じ防塵・防滴のマグネシウム合金ボディに5段分の効果を持つ手ブレ補正機構を内蔵。2450万画素撮像センサーとEXPEED 6の組み合わせで、常用ISO5万1200、最高ISO20万4800相当の高感度を実現している。Z7よりも画像のファイルサイズが小さいので画像処理や保管が楽。また、Z7より16万円ほど安い実売価格も魅力的だ。
Z7に比べて測距点数が少ないため(273点測距)、繊細な測距点選択ができない。Z7同様、交換レンズがまだまだ少ないし、記録メディアのXQDカードが安くないのも泣きどころだ。
一眼レフ(フルサイズ)D750
17万6660円(ボディ)
標準対応レンズ/Fマウントレンズ
有効画素数/2432万画素
最高ISO感度/5万1200
最大連写速度/6.5コマ/秒
ボディサイズ/幅140.5mm、高さ113mm、奥行き78mm
ボディ重量/840グラム
評価
フルサイズの入門者に好適な軽量モノコックボディのミドル機
防塵・防滴仕様のモノコック構造を採用して、薄型化と軽量化を図った軽快ボディのFX一眼レフ。画質と画像のハンドリングのバランスがいい2432万画素、ロー/ハイアングル撮影に対応できるチルト式モニターを装備。SDカードのデュアルスロットにより、万が一のカードのトラブルも防ぎやすい。フルサイズ入門者に好適なお手ごろ価格。
AFの測距点が画面中央部にしかないので、構図によってはAF撮影ができない。画像処理エンジンのバージョンが古め。モニターがタッチ操作に対応していない。動画機能はフルHD止まり。
一眼レフ(APS-C) D7500
13万6620円(ボディ)
標準対応レンズ/Fマウントレンズ
有効画素数/2088万画素
最高ISO感度/164万
最大連写速度/8コマ/秒
ボディサイズ/幅135.5mm、高さ104mm、奥行き72.5mm
ボディ重量/720グラム
評価
ワイドエリアの51点測距でスポーツ系の撮影が快適なAPS-C機
上位のD500と同じローパスフィルターレス撮像センサーを搭載。キレのいい写りが楽しめる。ワイドエリアの51点測距AFで8コマ/秒連写が可能。前作のD7200よりも連写可能枚数が増えて、スポーツ系の撮影がより快適になった。チルト式モニターにタッチパネルを内蔵。ライブビューや4K動画撮影時にタッチAFなどが可能になった。
ライブビュー時のAFが遅い。D7200に比べると、プラスティック外装になって質感がやや落ちた。カードスロットが一つだけ。縦位置グリップが用意されないなどスペックダウンしている。
一眼レフ(APS-C) D3500
5万8570円(ボディ)
標準対応レンズ/Fマウントレンズ
有効画素数/2416万画素
最高ISO感度/2万5600
最大連写速度/5コマ/秒
ボディサイズ/幅124mm、高さ97mm、奥行き69.5mm
ボディ重量/415グラム
評価
ダブルズームキットでも10万円を切るお手ごろな入門一眼レフ
外装パーツがカメラの骨格を兼ねるモノコック構造を採用して、薄型化と軽量化を図ったエントリーモデル。一眼レフとしては小型軽量で、ダブルズームキットでも10万円を切るお手ごろ価格が魅力。入門者に親しみやすいガイドモードを備えるほか、背面のボタン類が右手側に移動して、構えたままの操作がしやすくなった。
AFの測距点が11点しかない。ファインダー像が小さくてピントの確認が難しい。液晶モニターが固定式で、ライブビューや動画撮影時にやや不便。センサークリーニング機能がないのもマイナスポイント。
※価格は記事作成時のものです。
解説/北村智史(カメラライター)