単体のBDレコーダーやDVDレコーダーを用意しなくとも、テレビにUSBハードディスクをつないで手軽に録画できるようになってから、ずいぶん長い時間が経っている。しかし、そのUSBハードディスクで録画した番組は、それを他のテレビにつなぎ直しても、再生することはできないといわれている。しかし、手持ちの古いテレビで録り貯めた番組は、本当に移動不可能なのだろうか。
“見たら消す”が前提だった「テレビの外付けハードディスク」
全番組録画など、高性能で多機能な製品も多い単体のBDレコーダー。
しかし、そこまでの機能は不要で、録って見たら消せば十分と考え、テレビの録画機能だけで済ませている人もいるだろう。
現在のテレビは、USBハードディスクを繋いで録画できる製品がほとんど。最新の機能というほどではなく、10年ほど前からUSBハードディスク録画対応製品は各社に存在していたので、ごく当たり前の機能に感じているかもしれない。
テレビを買い替えると、以前の外付けHDDは使えない
テレビのリモコン一つで操作でき、手軽でとても便利。
ただし、少し古めのテレビだと、普段は気にならないものの、不便な制限事項もある。
それは、USBハードディスクやテレビが壊れてしまうと、録画番組を移動させる方法が基本的に用意されていないことだ。
たとえば、テレビ側が壊れてメーカー修理になると、修理の内容によっては同じハードディスクをつなぎ直しても再生不可能となり、回避する方法がない。また、テレビを買い替えてUSBハードディスクをつなぎ直しても、やはり新しいテレビでは再生できないのだ。
最近のテレビは「SeeQVault」対応だから大丈夫
ただし、最近のテレビやUSBハードディスクは、対応製品であれば、他の機器につなぎ直しても録画番組を再生できる「SeeQVault(シーキューボルト)」という技術に対応したものが多い。
でも古いテレビは、当然「SeeQVault」非対応なので、「SeeQVault」対応USBハードディスクを繋いでも、録画番組を移すことはできない。
外付けHDDからのダビングが可能 アイ・オー・データの「RECBOX」
古めのテレビで録画した番組を、他の部屋のテレビや新しいテレビでも再生できる機器も、少ないが存在する。
その一つが、アイ・オー・データ機器のハードディスク「RECBOX(レックボックス)」シリーズだ。
RECBOXは、ネットワーク(LAN)につながる、NASと呼ばれるタイプのハードディスクだ。
テレビにUSBで直接つなぐのではなく、テレビとRECBOXをルーターにつないで使う。
RECBOXには、さまざまな機器から録画番組をダビングできる。
テレビにつないである、USBハードディスクからのダビングも可能だ。
そして、ダビングしてRECBOXに保存されている番組は、元のテレビだけに限らず、ネットワークに繋がっている2台め、3台め以降のテレビでも再生できる。
つまり、RECBOXに録画番組をダビングさえしておけば、新しいテレビに買い替えても大丈夫だ。
I-O DATAネットワークHDD 2TB RECBOX
テレビが変わってもそのまま使える
【特徴】
さまざまな機器の録画番組をネットワーク経由でダビングや再生できるハードディスク(NAS)。テレビの買い替えや修理で再生不能となるような古めの製品でも、RECBOXを使うことで他のテレビから再生可能に。HLV-S2は内蔵ハードディスク容量が2TBだが、容量3TBモデルや4TBモデルも用意されている。
RECBOX
HVL-S2
テレビの外付けHDDから「BD化」ができる!
RECBOXは、テレビ(につないだUSBハードディスク)→RECBOXのダビング以外にも、BDレコーダー→RECBOXや、RECBOX→BDレコーダーというパターンのダビングもできる。
また、BDレコーダーは本体内の番組をBDに書き出す機能があるので、手間はかかるが、テレビにつないだUSBハードディスクで録画した番組を、BD化することもできる。
注意点としては、RECBOXは、全メーカー・全種のテレビやレコーダーに対応しているわけではないということ。対応機器は、公式情報として公表されているので、いま使っている機器が対応しているか、確認してから導入しよう。
なお、最新のテレビであれば「SeeQVault」に対応しているので、必ずしもRECBOXは必要ではない。「SeeQVault」については、また改めて紹介しよう。
まとめ
「SeeQVault」非対応の古いテレビで、USBハードディスクに録画した番組を、他のテレビでも再生したいときは、RECBOXを使えば可能となる。
ダビングした番組は、対応製品ならBDレコーダーでBD化することもできるが、製品によって対応状況や機能に違いがあるので、慎重に確認したい。
◆大坪知樹
オーディオやPCといった記事を多く手がけてきたが、ガジェットはもちろん白物家電、クルマ・バイク、模型や玩具、時計に服・靴など基本的にモノが好きな物欲系フリーランスライター。