パソコンを出先で使う際に、スマホのテザリング機能を使っている人は多いはず。しかし、特に思い当たるフシもないのに、大量のデータを消費していたという経験をしたことはないだろうか? その理由とは、実はパソコンの「バックグラウンド通信」が原因の場合が多い。というのも、Windowsでは「Windows Update」や「OneDrive」を始め、ユーザーの知らないところでバックグラウンド通信をしていることが多々あるからだ。そこで今回は、テザリングの通信量を簡単に節約できるPCテクニックを紹介するので、ぜひとも参考にしてほしい。
テザリング中の予期せぬ大量データ消費の原因とは?
出先でパソコンを使いたくなって、スマホのテザリングにつないでみただけなのに、あとで通信量を確認してみたらギガ単位のデータを消費していた──。当人からしたら、まるで狐につままれたような出来事かもしれないが、実はこの手の話は非常によく聞くPCトラブルではある。
まず知っておいてほしいのが、Windows10は絶えずバックグラウンドで様々なプログラムを走らせており、そうしたなかには当然、データ通信に関わる処理も多数あるということだ。
例えば、皆さんもよくご存知の「Windows Update」もそうした自動処理のひとつ。
ユーザーが操作しなくても、ネットからセキュリティプログラムを自動ダウンロードし、パソコンを最新のセキュリティ状態に保ってくれる、という非常に便利な機能だ。
しかし反面、テザリング中など、通信量を極力控えたいシーンでもお構いなしにダウンロードを実行してしまうという問題がある。
しかも、10には「Windows Update」以外にも、ストアアプリのアップデートや「OneDrive」のファイル同期など、バックグラウンドで自動的に通信が行われる場面が多数ある。
つまり、ネットを軽く閲覧しているつもりでも、運が悪いと予期せぬバックグラウンド通信によって大量のデータを消費してしまう可能性もあるのだ。
バックグラウンド通信が大量のデータを消費する、といわれても、なかなか実感が湧かないかもしれないが、そんなときはWindows10の「設定」→「ネットワークとインターネット」→「データ通信量」を見てみるといい。
ここでは、これまで使用したデータ通信の内訳を確認できる。
例えば、筆者の環境では「システム」関連の処理が大量のデータを消費していることがわかる。
無論、ユーザーによって違いはあるだろうが、おそらく多くの場合、筆者と同様、システムが上位を陣取っているはずだ。
「Edge」や「Chrome」など、利用頻度の高いブラウザーならともかく、一見、データ消費とは無関係そうな「システム」が何故、と思うかもしれないが、これはシステムの処理には「Windows Update」などのバックグラウンド通信が含まれているためだ。
OSの根幹をなす基本動作ゆえ、致し方ない面もあるが、とはいえ、テザリング中に大量のデータをやり取りされたとしたら、正直なところ、たまったものではないだろう。
近頃は、動画配信などをスマホでストレスなく利用するため、大容量データプランに加入しているユーザーも多いと思うが、さすがにテザリングをちょっと使っただけでギガ単位の通信量を消費してしまったら、内心穏やかではないはずだ。
テザリング接続のデータ量を節約する必須設定はこれ!
スマホのテザリングにパソコンをつなぐと、予期せぬデータ消費が起こりうる──。
こんなふうに聞くと、テザリング利用をためらってしまうかもしれないが、実はWindows10には通信量を節約してくれる、非常に便利な機能が備わっている。
本機能を利用すれば、デザリング接続中にWindows Updateの更新プログラムの一部のほか、「OneDrive」のファイル同期なども自動停止させることが可能だ。
すべてのバックグランド通信が制限されるわけではないが、それでも何もしないよりはテザリング中の通信量を大幅に制限できるはずだ。
テザリングを「従量課金接続」に設定する
まず、パソコンからスマホのテザリングに接続。次に、Windows10の「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」を開く。
テザリング接続中のWi-Fiネットワークをクリック。
「従量課金接続として設定する」をオンにする。
これで、スマホのテザリングに接続中は、バックグラウンド通信が一部制限され、データ量を節約してくれるようになる。
なお、10では、スマホのテザリング接続は、既定で「従量課金接続」が設定されるようになっているが、念のため、事前に確認しておいたほうが無難だ。
「データ通信量の上限」を設定しておけば鉄板!
スマホのテザリングを「従量課金接続」に設定すれば、通信量はある程度節約できるが、それでも心配というなら「データ通信量の上限」を設定しておくといい。
「データ通信量の上限」を有効にすると、通信量が上限に達した時点で通知してくれるので、意図せぬデータの使い過ぎを防止できる。
ただし、注意したいのは「データ通信量の上限」は、あくまで通知だけで、テザリングを切断するなど、インターネット接続を停止する機能はない、という点だ。
通知後もテザリングはつながったままなので、うっかり見逃すとデータを使い過ぎてしまう可能性もある。
とはいえ、テザリングのデータ量を一定限度まで抑えたい場合など、通信量の目安としては非常に役立つことには変わりない。
特に、スマホで上限5Gバイト程度の低容量データプランを契約していて、テザリングで使用する通信量は極力抑えたい、と思っている人に極めて参考になるはずだ。
「データ通信量の上限」を設定する
まずスマホのテザリングにパソコンを接続。
次に、Windows10の「設定」→「ネットワークとインターネット」→「データ使用状況」を開く。
「概要」のスポット名が、スマホで設定したテザリング名(SSID)になっているかを確認。
問題なければ「上限を設定」をクリックする。
ウィンドウが開いたら、データ通信量の上限を設定する。
基本的には「データ通信量の上限」の項目には、上限として適用したい通信量を入力し、「単位」は「MB(メガバイト)」か「GB(ギガバイト)」のどちらかを選択する。
「制限方法」は3種類から指定可能で、月単位で制限したい場合は「毎月」、設定後1回だけなら「1回限り」、一時的に上限を無効化したい場合は「無制限」を選ぶといいだろう
また、「制限方法」を「毎月」にした場合は「毎月のリセット日」も設定する必要がある。基本的には、スマホの締め日に合わせて入力すればいいだろう。
設定がすべて終わったら、ウィンドウ左下の「保存」をクリックしよう。
設定完了後は、「データ使用状況」に消費データ量のグラフが追加されるほか、通信量が上限に達すると通知も表示されるようになる。
当然、通知が表示されたら、データの使い過ぎを防ぐため、なるべく早めにテザリング接続を切断したほうがいいだろう。
まとめ
便利なスマホのテザリング接続をパソコンから安心して使うためには、データ通信量を抑える節約テクニックが欠かせない。
Windows10の「従量課金接続」と「データ通信量の上限」を組み合わせて活用すれば、意図せぬデータ浪費を未然に防げるはずだ。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。