子供に安心安全なスマホ利用をしつけるのは、一筋縄ではいかないものだ。そこでオススメしたいのが、Googleが提供するペアレンタルコントロールアプリ「Googleファミリーリンク」だ。子供のスマホ(iPhoneやAndroid)に本アプリを導入しておけば、親のスマホから時間制限やアプリの管理を行ったり、位置情報を確認したりもできる。幼い頃から本アプリを活用して「スマホの利用ルール」を徹底させるれば、その後もごく当然のこととして受け入れてくれるようになるはずだ。
子供のスマホの使用制限やアプリの管理など、便利な機能が盛りだくさん!
2019年、文科省が「小学校のスマホ持ち込み原則禁止」の指針を見直す方針を打ち出すなど、良くも悪くも子供のスマホ利用はもはや当たり前という流れに向かいつつある。
確かに、防犯や災害時の連絡などでスマホが役立つことは間違いないが、その一方で、残念ながらネットいじめやゲーム依存などの負の側面もある。
とはいえ、場当たり的な「しつけ」だけでは、子供のスマホ利用をコントロールするのは至難の業といっていい。
自分が子供だった頃を顧みればなんとなく理解できると思うが、ことに「親の目を盗んで」という点では、彼らは天才的な手腕を発揮するものだ。
だからといって、いきなり頭ごなしに叱りつけたり、スマホを取り上げたりすれば、お互いにどうしても感情的になってしまい、かえって逆効果になってしまう。
まずは客観的に一日の使用時間や使っていいアプリを決めるなど、親子どちらも納得できる「スマホの利用ルール」を作って、子供に守らせるようにしたいものだ。
問題は、そのルールをどうやって子供に守らせるかという点だが、これには実にうってつけな方法がある。
それは、Googleが提供する「Googleファミリーリンク」を利用するというものだ。
Googleファミリーリンクはいわゆる「ペアレンタルコントロールアプリ」のひとつで、親のスマホから子供のスマホを簡単に制御することができる。平たくいえば、子供のスマホを遠隔操作できるリモートアプリのようなものと考えればいいだろう。
具体的には、Googleファミリーリンクを使えば、下記の機能を利用することが可能だ。
利用時間の管理
スマホの利用時間の上限を指定できる。また、就寝時間を設定して、その間はスマホを使用不可にすることも可能だ。
利用状況の確認
スマホの利用時間をアプリごとに集計し、子供がどのアプリをよく使っているのかを、ひと目で把握できる。
アプリの管理
子供がアプリをダウンロードしようとした際に保護者に通知を送り、インストールの可否を決められる。年齢にそぐわないアプリを検索できないようにしたり、アプリ内購入を制限したりすることも可能だ。
遠隔ロック
子供のスマホをロックして利用できないようにする。
位置情報の確認
子供のスマホがある場所を地図上でチェックできる
ご覧のとおり、いずれの機能も子供のスマホ利用をしつけるのに極めて役立つものばかりだ。
しかも、親のスマホから、使用時間や利用可能なアプリなどを手間なく制御できるので、いちいち小言めいたことをいわずとも、子供のスマホ利用をスマートに管理できる点も非常に便利だ。
iPhoneでもOK!まずは保護者向けの管理アプリを導入しよう
まず気をつけたいのが、「Googleファミリーリンク」のインストール方法。
通常のアプリとは違って、親と子供のスマホにそれぞれ異なるアプリをインストールする必要があるので注意しよう。
保護者(親)のスマホ | 子供のスマホ | |
必要なアプリ | 保護者向け Google ファミリー リンク | 18 歳未満のお子様向け Google ファミリー リンク |
対応OS | iOS9以降、Android4.4以降 | Android5.1以降 |
概要 | 保護者が子供のスマホをコントロール するために必要な管理アプリ。 |
子供のスマホにインストールする 被コントロールアプリで、 これを導入しないと親のスマホから 子供のスマホを制御することはできない。 |
子供向けの「Googleファミリーリンク」アプリは、Android向けのみの提供となる。従って、事実上、子供のスマホはAndroidスマホを必ず利用する必要がある。
一方、保護者向けのアプリはiOSとAndroidの両対応となっており、iPhoneからでも子供のスマホを制御可能だ。もちろん、親のスマホがAndroidでもなんら問題はない。
アプリのインストールと初期設定は、基本的に「親のスマホ→子供のスマホ」の順序で行う。スムーズに作業できるように、あらかじめ手元に2台を準備しておくといいだろう。
親のスマホに「Googleファミリーリンク」を導入する
まずは下記リンクから保護者向けのアプリをインストールしよう。使用するアプリはiOS、Android向けのどちらでも構わない。
なお、以下の解説ではiOS向けアプリを利用しているが、基本的な手順はAndroidもほぼ変わらないので参考にしてほしい。
まずアプリを起動したら画面を読み進めていき、最後に「使ってみる」をタップする。
保護者として利用するGoogleアカウントを指定する。
子供用のAndroidスマホを手元に用意したら「次へ」をタップ。
利用するアカウントが間違いないか再度確認したうえで、「管理者になる」をタップする。
通知の許可を尋ねられたら「許可」をタップする。
子供用のGoogleアカウントがあるかどうか尋ねられたら、「いいえ」をタップして、子供のGoogleアカウントを新規作成しよう。もちろん、すでにアカウントがあるなら、そちらを登録することも可能だ。
「次へ」をタップして説明を読み進める。
子供の氏名を入力する。記入が終わったら「次へ」をタップ。
子供の生年月日・性別を入力して、「次へ」をタップする。
子供のGoogleアカウントで使用するユーザー名を指定して、「次へ」をタップ。
子供のGoogleアカウントで使用するパスワードを決める。入力が終わったら「次へ」をタップ。
保護者であるかどうかを確認するため、この先の手順ではクレジットカード情報が必要となる。説明を確認したら「次へ」をタップ。
規約とプライバシーポリシーが表示される。問題ない場合は、ふたつの同意項目をチェックしたうえで、画面右下の「同意する」をタップ。
クレジットカード情報の登録をもって、子供のGoogleアカウントの作成に同意したことになる。問題ない場合は、クレジットカード情報を入力して「同意する」をタップしよう。
なお、クレジットカードの有効性を確認するため、一時的に課金承認が行われるが、ほとんどの場合、48時間以内に取り消しになるので心配をする必要はない。
子供のGoogleアカウントが作成される。これで親のスマホで行う作業はひとまず終了だ。
子供のAndroidスマホに「Googleファミリーリンク」をインストールする
親のスマホに「Googleファミリーリンク」を導入して、子供のGoogleアカウントの作成が終わったら、今度は子供のスマホ側で設定を行う。基本的には、Androidスマホに作成したGoogleアカウントを登録し、その後、ファミリーリンクアプリをインストールしていくことになる。
ただし、ファミリーリンクを利用する場合、子供のスマホに登録できるGoogleアカウントはひとつのみで、複数は登録できないという制限がある。もし子供のスマホに、すでに登録済みのアカウントがある場合は、あらかじめ削除しておこう。
子供のスマホに「Googleファミリーリンク」を導入する
まず子供のスマホを親のスマホの隣に並べて配置。さらに、親のスマホの「ファミリーリンク」アプリを「子供のGoogleアカウントでログイン」を促す画面まで読み進める。
次に、Andoridスマホに子供のGoogleアカウントを登録しよう。まず端末設定から「Googleアカウント」関連の項目を開いて、「アカウント追加」をタップ。
アカウント一覧から「Google」をタップ。
子供のGoogleアカウントを入力して「次へ」をタップ。
パスワードを入力して「次へ」をタップ。
子供に代わってスマホの設定を行う保護者のアカウントを選択する。
保護者のGoogleアカウントのパスワードを入力して「次へ」をタップ。
プライバシーポリシーと利用規約が表示されるので、問題なければ「同意する」をタップ。
アプリストアやブラウザー、検索に関するフィルター設定など、子供のスマホで適用される制限の内容が表示される。
カスタマイズも可能だが、基本的に初期設定で成人向けの内容などは除外されるようになっているので、特に問題なければそのままでも構わないだろう。
内容を確認したら「次へ」をタップ。
子供のスマホにファミリーリンクアプリをインストールする旨が表示されるので、「次へ」をタップ。
インストールの承認画面が表示されたら「インストール」をタップ。
インストール完了後、スマートフォンの名前を設定するように求められたら、子供用とひと目でわかる名称を付けるといいだろう。名前の設定が終わったら「次へ」をタップ。
プリインストールアプリの確認画面が表示される。子供向けではないと思うものについては、アプリのスイッチをオフにすることで削除することも可能だ。
アプリの取捨選択が完了したら「次へ」をタップ。
ファミリーリンクアプリの有効化に関する説明が表示される。内容を確認して「次へ」をタップ。
「この端末管理アプリを有効にする」をタップ。
バックアップの有効化や位置情報の取得など、Googleサービス利用に関する設定が表示される。内容を確認し、必要なら設定を適宜変更したうえで「同意する」をタップ。
親と子供のスマホの設定が無事完了すると、画面に「端末に接続しました」と表示される。「次へ」をタップして先に進もう。
「設定完了」と表示されれば、子供のスマホの設定も終了だ。「完了」をタップして画面を閉じよう。
子供のスマホに「利用時間の制限」や「アプリの管理」を設定してみよう
親と子供、それぞれのスマホに「ファミリーリンク」アプリを導入したあとは、準備はすべて完了だ。これで親のスマホから子供のスマホをコントロールできるようになる。
前述したようにファミリーリンクで使用できる制限や機能はいくつかあるが、特に利用頻度が高いのはやはり「利用時間の管理」と「アプリの管理」のふたつだろう
とりあえず、このふたつの使い方さえ覚えておけば、子供がスマホを使い過ぎたり、不適切なアプリをインストールするのを事前に防ぐことができる。
具体的な使用方法は下記のとおりだが、特に難しいことはないので誰でもすぐに使いこなせるはずだろう。
「利用時間の管理」を設定する
親のスマホから「ファミリーリンク」アプリのメイン画面を表示。次にサイドメニューから、子供のスマホの名前をタップして選択する。
子供のスマホの管理画面が表示される。画面を下方向にスクロールし、「利用時間」項目にある「設定」をタップする。
利用時間の設定では、「1日の利用時間の上限」と「おやすみ時間」(スマホを使用できない時間帯)のふたつを制御できる。
まず「1日の利用時間の上限」と「おやすみ時間」のタブをそれぞれ開いて、「未設定」のスイッチをオンにしよう。これで「1日の利用時間の上限」と「おやすみ時間」が有効になる。
続いて、「1日の利用時間の上限」の詳細な設定を行う。
上限時間の設定は、曜日ごとに15分単位で指定可能。曜日の時間部分をタップすると「+」「-」が表示されるので、こちらを使って時間を調節できる。
時間の設定が完了したら「∧」をタップし、チェックを入れれば時間制限が有効になる。
なお、チェックを外すと「制限なし」になり、その曜日は子供が無制限でスマホを利用できるようになる。
一方、「おやすみ時間」の設定も基本的には「1日の利用時間の上限」とほぼ同様だ。
まず、各曜日の時間帯部分をタップ。これで制限の「開始時刻」と「解除時刻」が表示されるので、それぞれの時刻をタップして時間を設定していけばいい。
時刻の設定が完了したら「∧」をタップし、チェックを入れればおやすみ時間が有効になる。
なお、チェックを外すと「お休み時間の設定なし」になり、その曜日は時刻を問わずスマホをいつでも利用できるようになる。
「1日の利用時間の上限」と「おやすみ時間」の設定が完了したら、忘れずに画面右上の「保存」をタップしよう。これで設定した内容が子供のスマホに反映される。
「アプリの管理」を設定する
まず親のスマホから「ファミリーリンク」アプリのメイン画面を開いて、「設定を管理」をタップする。
アプリの管理は、おもに「Google Playでの使用制限」で設定可能だ。タップして開こう。
ここでは、Google Playのコンテンツを入手する際の制限を設定できる。
子供がコンテンツをダウンロードしたり、購入したりする際の承認基準については、初期設定で「すべてのコンテンツ」が対象となっている。つまり、子供がアプリをダウンロードしたり、購入したりしようとすると、事前に親のスマホに通知が届き、承認が必要になるということだ。
これで、子供には利用させたくないアプリの入手や、勝手な課金はあらかた防ぐことができるので、特段、設定を変更する必要もないだろう。
「承認不要」に変更することも可能だが、その際はブラウザーでGoogle Playのアカウントページにアクセスする必要がある。
一方、「コンテンツの制限」では、子供がGoogle Playで検索できるアプリを指定できる。
初期設定では「12歳以上」から利用できるコンテンツのみ、子供が検索できるように設定されているが、他にも「3歳」「7歳」「16歳」「18歳」を選択することも可能。倫理基準的には「3歳以上」が最も厳しく、「18歳以上」が最も寛容となる。
「すべて許可」を選ぶことも可能だが、子供が不適切なコンテンツを入手する可能性が高くなるので、特段の事情がない限りは設定しないほうが無難だ。
まとめ
あまり知られていないかもしれないが、Googleアカウントを利用できるのは、原則13歳以上からとなっている。
そうしたルールを知らずに、大人用のアカウントを使わせている場合も多いと思うが、そうした行為は子供の健全なスマホ利用に悪影響を与えかねない。
しかし、「ファミリーリンク」アプリを活用すれば、13歳未満の子供にも自分専用のGogoleアカウントを問題なく作成してあげられるうえ、子供が安全安心にスマホを利用できるように保護者がコントロールすることもできる。
子供のスマホ利用をしっかり見守りたい親にとっては、これ以上ないほどうってつけのアプリだといえるだろう。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。