熱中症対策用飲み物に新提案「ポカリスエット アイススラリー」とは?コンビニで買えるの?

美容・ヘルスケア

大塚製薬は1992年から、自治体と連係しての啓発活動や、同社社員が全国で啓発セミナーを実施するなど、熱中症に関する取り組みを精力的に続けている。そんな同社がポカリスエットブランドから“深部体温”に着目した新製品「ポカリスエット アイススラリー」を発売した。

話題の商品徹底解剖!大塚製薬「ポカリスエット アイススラリー」のキーパーソンに訊け!

1980年に発売された大塚製薬の「ポカリスエット」は、水分補給の定番となっているロングセラー商品だ。これまで25年以上にわたって熱中症対策に取り組んできたが、2018年7月には、新たに「ポカリスエット アイススラリー」も仲間入り。ブランドの歴史、商品開発の裏側にあった思想、新商品の特徴などを担当者に訊いた。

●キーパーソンはこの人!

大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業部
製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー
浅見慎一さん

点滴液を一般向けにアレンジしたのが起源

ポカリスエットといえば、時代に合わせてさまざまなタレントや楽曲を起用し、印象的な広告宣伝を展開してきたことで有名。現在は、女優の吉田羊と鈴木梨央が仲のいい母娘役を演じている。

今年も暑い季節が始まる。猛暑でなくとも、熱中症への対策は万全にしたいところ。適度な塩分や糖分を含んだ水分をこまめに補給することが肝要だ。

水分補給の定番といえば、1980年に発売された大塚製薬の「ポカリスエット」。ポカリスエットブランドのマーケティングを担当する浅見慎一さんは話す。

「ご存じかもしれませんが、ポカリスエットは、発汗などにより失われた水分やイオン(電解質)をスムーズに補給するための健康飲料です。スポーツはもちろん、仕事中や入浴・就寝の前後など、さまざまなシーンで体の渇きを潤すことができます」

現在のポカリスエットのラインアップ。各種サイズのほか、粉末タイプやゼリータイプなども展開する。

ポカリスエット誕生のきっかけは、1970年代に同社の研究員が出張先のメキシコで下痢に襲われ、脱水症状に陥ったこと。

現地医師から水分補給のために炭酸飲料を渡され、「もう少し飲みやすく、水分と栄養を一緒に補給できる飲み物は作れないだろうか」と考えた。また、手術を終えた医師がリンゲル液(点滴液)を飲んで栄養補給するのを見かけたことも、開発のヒントになったのだという。

「大塚製薬は点滴液も製造しています。プロスペックの点滴液を一般向けにアレンジするにはどうすればいいのか、という発想で開発が進められました」

1980年当時の250グラム缶。飲料のパッケージとして寒色系のデザインを採用した商品は、ほぼなかった。以降、基本的なデザインは、40年近くたった現在も踏襲されている。

味の改良を何度も繰り返し、なんとか完成にこぎ着けたポカリスエット。しかし発売当初は、普通の水との機能面の違いがなかなか理解されず、さらに味も受け入れてもらえない。販売でも苦戦を強いられたが、試飲などの地道なマーケティング活動を続けたこともあり、大ヒットへとつながった。

現在では、日本のみならず、世界20ヵ国・地域以上で販売されるロングセラー商品となっている。今回の取材で知ったことだが、インドネシアでは、イスラム教徒の断食(ラマダーン)後にポカリスエットを飲むのが一般的になっているのだという。

ポカリスエットはあらゆるシーンで体の渇きを潤すことができます。

通常の氷に比べて体内の冷却効果が高い

ポカリスエットをヒットさせた大塚製薬は、1992年から熱中症に関する取り組みを精力的に続けている。その内容は、自治体と連係して啓発活動を行ったり、同社社員が全国を飛び回って啓発セミナーを実施したりなど、多岐にわたる。

「率直にいってしまうと、この取り組みはすぐに売り上げにつながるものではありません。ただ、我々は熱中症を本気でなくしたいと思っているので、今後も続けていきたいと考えています」

そんな同社が2018年7月、ポカリスエットブランドから新製品を発売した。熱中症への対策として、体の中心部の温度である“深部体温”に着目し、体を芯から冷やすことを目的にした「ポカリスエット アイススラリー」だ。

[ポカリスエット アイススラリー]

常温保存が可能な液体で、必要なときに凍らせて現場に持ち込めます。

そもそも「アイススラリー」とは、細かい氷の粒子が液体に分散したシャーベット状の氷飲料のことだ。通常の氷と比べて、体内の冷却効果が高いといわれている。実際、国立スポーツ科学センターも、摂取することで体を内部から冷やす効果を期待できるとして、アイススラリーを暑熱対策として推奨している。

ただ、アイススラリーには弱点がある。それは、製造するのに特殊な装置や技術が必要で、長期間の保存が困難だということだ。そのため、スポーツの現場で摂取しようとすると、装置購入のコストがかかるうえ、当日の専用人員も確保しなければいけない。プロスポーツチームであればそれも可能かもしれないが、学生の部活動などではハードルが高い。

通常の氷は結晶が大きく硬いのに対し、アイススラリーは結晶が小さく、流動性があるため、体内に浸透しやすく、通常の氷に比べ冷却効果が高い。フローズンドリンクやスムージーのように、氷を細かく砕くことによって流動性を持たせたものとは異なる。

「ポカリスエット アイススラリーは、常温保存が可能な液体を冷凍庫で凍らせることでスラリー状にする、独自開発の技術を採用しています。必要なときに凍らせ、現場にそのまま持ち込んで摂取できるのが特徴です」

スポーツの現場では、衛生面にも気を配る必要がある。「ポカリスエット アイススラリー」はパウチタイプのため、容器の準備や洗浄などの手間がないのもメリットだ。

また、溶けたポカリスエット アイススラリーを再冷凍すると、もう一度スラリー状になる点も利便性が高い。通常、溶けたアイスクリームは再冷凍しても元に戻らないため、これも同社の独自技術。賞味期限は9ヵ月で、常温での保存が可能だ。

常温保存が可能(賞味期限9ヵ月)な液体を「凍らせてスラリー状にする」独自技術によって実現したのがポカリスエット アイススラリー。家庭用冷蔵庫の冷凍室(マイナス18℃)で約4時間で冷凍できる。

手でもんで、柔らかくしてから飲む

今回筆者は、炎天下を歩いて帰宅したタイミングで、ポカリスエット アイススラリーを試飲してみた。

まず、凍らせておいた商品を手でもんで柔らかくしてから飲むのだが、これだけでもほてった体が冷やされるようで心地いい。そして、飲んでみると、細かなシャリ感の中に、おなじみのポカリスエットの味がする。内容量は100グラムなので、一気に飲んでも苦しくならない量だ。

冷却効果は、深部体温を測ることができないので正確にはわからないが、体感的にそれまで感じていた暑さが和らいだのは確かだ。水分と電解質が補給できるのは、ポカリスエットと同様。汗をかいたあとだけでなく、運動などの前に飲むのもよさそうだ。

近年のポカリスエットのコマーシャルで話題なのが、中高生がキレキレのダンスを披露するシリーズ。2019年の新作では、前代未聞の「3人同時ワンカット撮影」という驚きの映像が見られる。

現在、ポカリスエット アイススラリーは同社オンラインショップのみで、夏季限定の販売となっている。当面の間は消防士や建設作業員、警察官など、厳しい暑熱環境下で活動する人に向けた製品という位置づけだ。

発売直後には、西日本豪雨被害に遭った広島で、救助隊員に約8600個を無償配布する社会貢献活動も行っている。

ただ、一般の人が外出先で、暑さによる体調の異変を感じた際に摂取するケースを考えると、コンビニやスーパーでも販売してほしいところだ。このあたりは、商品の認知度が高まって、販路拡大が実現することを期待したい。

「ポカリスエット アイススラリーは、熱中症対策に“飲める氷”という新たな選択肢を提供する商品です。大塚製薬としては、熱中症ゼロを実現するべく、ポカリスエットブランドを通じた貢献を今後も続けていきたいと考えています」

Memo
ポカリスエットはスポーツ飲料に分類されることが一般的だが、その開発思想は、他社の同ジャンル商品と明確に異なる。医薬品も手がけるメーカーならではの“マジメな”商品だといえる。

◆インタビュー、執筆/加藤肇(フリーライター)

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