今回は梅干しと甘酒を合わせた万能調味料「梅こうじ」の作り方とレシピを紹介します。梅干しは代謝を促し、食欲増進や疲労回復に。甘酒は高い栄養価で夏バテを予防、さらに便秘を解消したり、美肌づくりにも役立ちます。さわやかな酸味と甘じょっぱさがどんな食材にも合う、梅こうじを料理にデザートにぜひご活用ください。【料理】井澤由美子(料理家・国際中医薬膳師・国際中医師)
解説者のプロフィール
井澤由美子(いざわ・ゆみこ)
料理家。国際中医薬膳師。国際中医師。調理師。NHKカルチャー薬膳講師。NHK『きょうの料理』『あさイチ』『趣味どきっ!』などのテレビ番組ほか、企業、CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、書籍、発酵レストランなどのプロデュースを手がける。旬の食材の効能と素材の味を生かした料理が人気。著書多数。
万能調味料「梅こうじ」の使い方
日本の夏に欠かせない伝統食といえば、梅干しです。酸味が代謝を促し、食欲増進や疲労回復に役立ちます。一方で、米こうじから作る甘酒は、高い栄養価で夏バテを予防。腸内環境を整えて便秘を解消し、美肌や育毛にも効果があると人気です。
今回は、そんな梅干しと甘酒を合わせた万能調味料を紹介します。さわやかな酸味と甘じょっぱさがどんな料理にもマッチして、元気を運んでくれます。料理にデザートに、ぜひご活用ください。
定番は、つけだれ・かけだれ・和え衣・ドレッシングなど。肉や魚の漬け床にすれば、酵素でたんぱく質が分解され、ふっくらやわらかく仕上がります。初夏のデザートにアレンジするもよし。さわやかな酸味と甘じょっぱさが、どんな食材にも合う万能調味料です。
ステップは2つ!「梅こうじ」の作り方
ステップⒶ 甘酒を作る
【材料】(出来上がり目安量=500ml)
・米こうじ…200g(乾燥でも生でも同量)
・約60度のお湯…400ml
【作り方】
❶炊飯器に、ほぐした米こうじとお湯を入れ、さっと混ぜる。
❷炊飯器のふたを開けたまま、ふきんをかけ、保温モードにし、そのまま約6時間保つ。
❸ほんのりと黄色みを帯び、甘みが出ていたら出来上がり。
※手順(2)の途中で1~2度かき混ぜるとよい。その際に温度を確認し、下がっていたら炊飯器のふたを閉め、温度が上がっていたら一時的にふきんを外すなどして、60度前後を保つようにする。
ステップⒷ梅こうじを作る
◎エネルギー:406kcal 塩分:13.8g(全量)
【材料】(出来上がり目安量=350ml)
・梅干しの梅肉(種を取り除いた状態)…200g
・ハチミツ…大さじ2~3
・甘酒(Ⓐで作った物。市販品でも可)…150~200ml(好みで調整)
※市販品の甘酒を使う場合は、酒かすではなく、米こうじから作られた物を選ぶ。
❶梅肉を、まな板にのせて、包丁でたたく。
❷(1)とハチミツを小鍋に入れて弱火にかけ、粘りが出るまで練り上げる。
❸冷ました(2)に、Ⓐの甘酒を加えて混ぜ合わせる。味を見ながら甘酒の量を調整する。
※好みでミキサーにかけるか、すり鉢で米粒をすってなめらかにすると、より味がまとまる。
※冷蔵で保存。2週間ほどで使い切る。冷凍なら3ヵ月ほど日もちする。自然解凍して使う。
梅こうじ冷ややっこ
梅とワサビの風味が淡白な豆腐を引き立てる
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ2
・絹ごし豆腐…1/2丁(150g)
・練りワサビ…少々
・ミツバ(あれば)…適宜
【作り方】
❶豆腐を半分に切り、器に盛る。
❷梅こうじをかけ、練りワサビを添える。
青野菜の梅こうじ和え
どんな青物も合うぬた和え風の一皿
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ2
・アスパラガス…3本
・万能ネギ…6本
・しょうゆ…小さじ1/2
【作り方】
❶アスパラガスは根もとから5cm部分の皮をむく。熱湯でさっとゆでて冷水に取り、水気をふき、斜め薄切りにする。
❷(1)の湯で、ネギもさっとゆでて、水気をしぼり、5cm長さに切る。
❸(1)と(2)にしょうゆを回しかけ、ギュッとしぼってから梅こうじで和え、器に盛る。
チキンの梅こうじソテー
パリッと焼いた皮目に甘じょっぱいソースが美味
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ2
・鶏もも肉…1枚(300g)
・塩…小さじ1
・ミョウガ…3個
・ニンニク…1片(つぶす)
・オリーブオイル…大さじ1
【作り方】
❶ポリ袋に鶏肉と塩を入れ、全体になじませ、10分ほどおく。ミョウガは縦半分に切る。
❷フライパンにニンニクとオリーブオイルを入れて弱火にかけ、香りが立ったら、鶏肉を皮目から入れる。7分ほどかけてじっくりと焼き、皮がこんがり焼けたら裏返す。
❸(2)にミョウガを加え、3分ほど焼く。鶏肉に火が通ったら、ミョウガとともに取り出し、火を止める。
❹フライパンの油を少し残してさっとふき、梅こうじを加えてよく混ぜ、梅こうじソースを作る。
❺鶏肉を食べやすい大きさに切って、ミョウガとともに器に盛り、梅こうじソースをかける。
鮭とキャベツの梅こうじ蒸し
梅の旨みがじんわりと染み込む
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ2(下味用。かける分は適宜)
・甘塩鮭…2切れ
・キャベツ…200g
・キヌサヤ…10本
・塩…小さじ1/2
・オリーブオイル…大さじ1
・水…50ml
【作り方】
❶キャベツはざく切りにし、キヌサヤはすじを取り、7分ほど水にさらして、ざるに上げる。
❷鮭は食べやすくそぎ切りにして、梅こうじを全体になじませ、10分ほどおく。
❸フライパンに(1)を入れ、その上に(2)を並べ、塩とオリーブオイルを振る。水を加え、強めの中火で蒸し焼きにする。
❹鮭に火が通ったら器に盛る。食べる際に、好みで梅こうじをかける。
ハンバーグの梅こうじソース
こっくりしたソースがあっさりした鶏肉にマッチ
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ1(下味用。かける分は適宜)
・鶏ひき肉…200g
・塩…小さじ1
・コショウ…少々
・パン粉…30g
・卵…1個
・ゴマ油…小さじ1(練り込み用)と小さじ2(加熱用)
・ニンジン…1/3本
・パセリ…適宜
【作り方】
❶ボウルに梅こうじと鶏ひき肉、塩、コショウを入れてよく混ぜ、パン粉と卵、ゴマ油小さじ1を加えてさらに混ぜ、小判型に成形する。
❷ニンジンは5mm幅に切る。
❸フライパンにゴマ油小さじ2を熱し、(1)と(2)を入れ、両面を色よく焼きつける。
❹ハンバーグの高さ半分まで水を加え、ふたをする。7~10分ほど蒸し焼きにし、煮汁がなくなりかけたらパセリを加えて再度ふたをし、2分ほどで火を止めて、器に盛る。食べる際に、好みの量の梅こうじをかける。
エビフライの梅こうじタルタル
ゆで卵なしでこのおいしさ!酸味で揚げ物もさっぱり
【材料】(2人分)
・エビ(ブラックタイガー)…6尾
・梅こうじ、塩…各少々
・小麦粉、パン粉、揚げ油…各適量
●豆腐タルタル
・梅こうじ…大さじ2
・木綿豆腐…1/3丁(100g)
・マヨネーズ…小さじ2
●衣(合わせておく)
・溶き卵…1個分
・小麦粉…大さじ1
・ 水…小さじ2
【作り方】
❶豆腐を厚手のキッチンペーパーで包み、600Wの電子レンジで4分加熱し、水切りをする。ボウルに入れて、手でほぐし、梅こうじとマヨネーズを加えてフォークで混ぜる。
❷エビは腹側に数ヵ所切れ目を入れ、塩を軽く振り、梅こうじを薄くなじませる。
❸(1)に小麦粉をまぶし、衣をくぐらせ、パン粉をしっかりと押しつける。
❹175〜180度の油で(3)をキツネ色にカラリと揚げ、好みでレモンをしぼり豆腐タルタルにつけていただく。
梅こうじとイカ納豆のパスタ
納豆と相性バッチリ♪シソがさわやかに香る
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ2
・イカ(刺し身・細切り)…150g
・ひきわり納豆…2パック
・スパゲティー(乾)…160g
・ゴマ油…小さじ1
・シソ…6枚
【作り方】
❶スパゲティーは袋の表示どおりにゆでる。
❷シソは10分ほど水にさらし、水気を切って重ね、丸めた端から細切りにする。
❸梅こうじとイカ、納豆、添付のたれと辛子、ゴマ油、(1)のゆで汁大さじ2を、ボウルに入れて混ぜる。
❹(3)のボウルに(1)を入れて和え、器に盛り、シソを散らす。
サクラエビの梅こうじ混ぜご飯
絶妙なコンビネーション!ピンク色が愛らしい
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ3(混ぜ込み用。足す分は適宜)
・ご飯…茶碗3杯分(450g程度)
・すし酢、柴漬け(いずれも市販。合わせておく)…各大さじ2
・サクラエビ(乾)…10g
・ゴマ油、すりゴマ(白)…各小さじ2
【作り方】
❶フライパンにゴマ油を温め、サクラエビを入れ、香りが立つまで炒める。
❷ご飯に梅こうじと、すし酢と合わせた柴漬けを入れ、均一に混ぜたら、(1)をさっくりと混ぜる。
❸器に盛り、すりゴマを振る。食べる際に、好みで梅こうじを足す。
梅こうじあんみつ
煮切りみりんを使ったシロップがヘルシー♪
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ4(寒天用)と大さじ1(シロップ用)
・棒寒天…1本(約8g。粉寒天なら4g)
・水…600ml(好みで調整)
・きび砂糖(上白糖でも可)、ゆでアズキ(市販)…各大さじ2
・みりん…80ml
【作り方】
❶寒天は袋の表示を参考に、水ときび砂糖を加えて煮溶かす。60度くらいまで冷めたら、梅こうじ大さじ4を加えてよく混ぜ、型に流し入れて冷ます。
❷小鍋にみりんを入れて沸騰させ、1分煮立たせてアルコールを飛ばす。冷めたら、梅こうじ大さじ1を加えて混ぜる。
❸1.5cm角に切った(1)を器に盛り、ゆでアズキを添え、(2)のシロップをかける。
フローズン梅こうじヨーグルト
混ぜて凍らせるだけ!すっきりした甘さ
【材料】(2人分)
・梅こうじ…大さじ3
・プレーンヨーグルト…200g
・きび砂糖(上白糖でも可)…大さじ2
【作り方】
◎材料をすべて混ぜ、製氷皿に入れる。好みで梅こうじを少量(分量外)トッピングし、竹串で散らしてから凍らせる。
◎スタイリング/宮沢ゆか 栄養計算/金子奈穂美(管理栄養士)