【脱臭もできる】衣類スチーマーの効果と使い方のポイント

知識

アイロンが売れないそうです。学生時代はともかく、就職するとまず指摘されるのが、服装。今は、クールビズ他、ドレスコードが緩くなりましたが、やはりヨレヨレのシャツではサマになりません。

アイロンよりも衣類スチーマー

ドイツのベルリンで行われる家電ショー「IFA」には、これでもかというほど、アイロンが展示されています。ここらへんは、昔からある「洋服の国」という気がします。
そして、このスチームアイロン、ほとんどのモノが、水タンクが別に付いています。
多い場合は、3リットルくらい水が入ります。
要するに、長時間アイロンで仕事をすることが前提になっているのですね。

日本の家庭では、あまり見なくなったアイロン掛けですが、欧州では、下着、シーツにまでアイロン掛けする人たちですから、1回60分の重労働です。

欧米の文化を取り込んだつもりの日本ですが、かなり変わって来ています。
狂気じみた夏の暑さは、信じられないほどひどく、アイロンなどかける気になりません。
いたるところで服装コードが緩くなり、マスコミ関係者はアロハシャツで一夏頑張る人もいるそうです。

当然、アイロンは売れません。
代わりに売れているのが、衣類スチーマーです。今年は、アイロンと肩を並べそうだそうで、超急成長市場です。

衣類スチーマーとは何か?

衣類スチーマーとは、「高温のスチームを衣類に噴射し、シワやニオイを取り除く衣類ケア家電」と言うのが、まぁ基本説明になります。
しかし、機能構造を確認すると、ぶっちゃけ、洋服を吊した状態で使う「スチームアイロン」という説明の方が分かりやすいと思います。

衣類のシワは、衣類が乾くときに変な形で固定化したためにできます。
これを元に戻すのが、スチームと熱です。
水分が少なくなり固定化した繊維を、スチームで解きほぐすのです。

アイロンには、スチームアイロンとドライアイロンがあります。
熱&プレスでも、ほぐす働きをしますが、今は基本的にスチームを使います。そちらのほうが圧倒的に効率がいいのです。

アイロンは、これにプレスを加えることにより、完全にシワを伸ばします。
衣類スチーマーは、スチームアイロンから、プレスを除いたモノ。そう考えてもらってもいいです。

衣類スチーマーの特徴

衣類スチーマーの最大の特徴は「簡便」なことです。
なんせ、「ハンガーに吊るしたまま」でケアできます。これが非常に便利なのです。

通常、衣類ケアは、「洗濯」「乾燥」「アイロンがけ」「保管」です。
家で洗濯できるものは、これでもOKです。
しかし、スーツ、ジャケットは、洗濯の代わりにクリーニング。
これらは衣類として高いのですが、クリーニング代も高い。このため、何日間か、連続で着たり、複数用意して交互に着たりします。
しかし、この間、いろいろなことがあります。よくあるのは、ニオイの強いモノを食べるときです。ポピュラーなのは、「焼肉臭」でしょう。その昔は「タバコ臭」でしたが、今は少なくなりました。

ここでよく使われたのは、ファブリーズでしたが、今は、スチーマーが登場します。
スチーマーの特徴は、「シワ取り」に加え、「臭い取り」に「除菌」です(これは、アイロンの特徴でもあります)。

ジャケットをハンガーに吊るし、スチーマーを電源を入れます。
温まり、数十秒後、スチームが出るようになると、衣類にスチームをかけます。
この間、全部で3分。

夏は少しホカホカしますが、実に爽快、新品のウェアに袖を通した感じで、気持ちがイイです。
シワも臭いもない。
衣類スチーマーをかけてよかった。そういう気持ちが走る瞬間です。

パナソニック
スチームアイロン
NI-FS540-DA
▼スチームボタンを押している間、最長約4分間水がなくなるまでスチームが出続けます。▼スチームが広がりやすいようにスチーム穴を配置しました。▼電源を入れて約24秒後、通電ランプが点滅から点灯に変わったら使用できます。(Amazon)

なぜニオイを取ることができるか

スチーマーでシワを伸ばす効果は理解できると思いますが、では、どうしてニオイを取ることができるのでしょうか。
それは、ニオイ物質が揮発性だからです。
常温で気化した状態にならないとニオイませんからね。それに、どっさり付いていません。ほんのちょっとです。
スチームの高温で一気に気化させ、蒸気で服から追い出すのです。

同じことを皆さんご存知だと思います。
湯気がもくもくと立ち込めたお風呂場に、ニオイのついた服を干して置くと、臭わなくなるという現象です。
お風呂は、せいぜい40度なので、時間がかかりますが、スチーマーは瞬時です。

また、部屋干しで、くさいニオイの元になっているニオイ菌(モラクセラ菌)は、60度で殺すことができます。
ドラム式洗濯機の「お湯洗い」60度で、ニオイがしないと記載されているのは、これが理由です。スチームは、90度以上ですから、除菌時間も短く済みます。
各メーカー共に、カタログ、ホームページで、その実験と、実験結果を公表しています。

使い方のポイント

使い方のポイントは2つ。
元がアイロンですから、近接で使います。
触れるか、触れないかでも構いません。離して精々数cmです。
理由は簡単で、離すと温度が急速に下がるからです。ただし、これは一般的な話で、より詳しくは後述します。
次は、ゆっくりです。3cm 以下/秒です。だいたい、ジャケットを上から下まで、約30秒と考えれば、大きくブレません。

次に注意すべきは、シワを伸ばしたい部分の下部を引っ張ることです。
ここら辺はアイロンと同じです。しかし、この時、手は熱防御することをお勧めします。鍋づかみでもイイので、手を熱から守りましょう。

最後のポイントは、必ず「洗濯マーク」を見てから使うことです。
洗濯マークには、どの位の温度でアイロンをかければ良いのかが、表示されています。
アイロンのアイコンの中に、「黒ポチ」の数で示されます。
ポチ3つで「高」、2つで「中」、1つで「弱」。それ以外に、アイロンに×印がしてあるものがあります。これは「アイロン不可」の意味です。

まず、アイロン「高」ですが、麻、綿、混紡、レーヨン(短繊維)、それに毛です。
アイロンの場合、かけ面:約200度でプレスします。
これですから、スチームは温度をできる限り下げない近接使用です。ただし、毛はプレスすると風合いがダメになりますので、アイロンでもスチームのみです。

アイロン「中」は、かけ面:約160度で、毛、絹、アセテート、ポリエステル、ナイロン、レーヨン(長繊維)、キュプラ、ビニロンが対象。
もし、温度切替がないモデルの場合は、送り速度を速くします。10cm/秒。ジャケットを10秒で、上下させる感じです。

最後は、アイロン「低」。かけ面:約120℃。アクリル、アクリル系、ビニリデン、ポロプロピレン、ポロウレタンなどです。これはスチームを使うことができません。

これからもスチーマーは、タテ型アイロンと同じだと言えます。
早く、使い勝手の良い衣類スチーマーですが、最低限の知識は必要です。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。

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多賀一晃(生活家電.com主宰)

企画とユーザーを繋ぐ商品企画コンサルティング「ポップアップ・プランニング・オフィス」代表。米・食味鑑定士の資格を所有。大手メーカーでオーディオ・ビデオ関連の開発に携わる。趣味は東京散歩とラーメンの食べ歩き。

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