車の安全装備、「サポカー」は、自動ブレーキ搭載車のことを指し、「サポカーS」は、自動ブレーキに加えてペダルの踏み間違い時の加速抑制装置を搭載したクルマを指す。ここでは国産自動車メーカー8社の注目の安全装備と、それらを搭載した最新車種について解説していこう。

メーカー各社の最新安全装備にはどんなものがある?

最近は、新車を買うと、乗用車であれば、そのほとんどに衝突被害軽減ブレーキ(以下、自動ブレーキ)を含む先進安全支援機能が搭載されるようになっている。

特に、自動ブレーキについては、日欧40ヵ国で2020年に搭載が義務化されており、日本ではその搭載率がおよそ9割となっている。

とはいえ、安全のための装備には実にさまざまな種類があり、メーカーや車種によって、機能やレベル、名称なども多岐にわたる。

そのため、一般ユーザーが一目でわかるような工夫が求められてきた。それにこたえたのが、2017年に登場した「サポカー(セーフティ・サポートカー)」と「サポカー(同)S」という呼び名だ。

先進安全技術の最新情報がわかる
「サポカー/サポカーSのWEBサイト」
https://www.safety-support-car.go.jp/technology/

画像: 経済産業省によるサポカー/サポカーSに関する情報サイト。自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの仕組みが動画でわかりやすく解説されている。

経済産業省によるサポカー/サポカーSに関する情報サイト。自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの仕組みが動画でわかりやすく解説されている。

これは、経済産業省と国土交通省が交通事故対策の一環として、先進安全支援機能搭載車をわかりやすく表現したもの。

「サポカー」は、自動ブレーキ搭載車のことを指し、一方の「サポカーS」は、自動ブレーキに加えてペダルの踏み間違い時の加速抑制装置を搭載したクルマを指す。当然、踏み間違い事故が多い高齢者におすすめできるクルマは、サポカーSのほうだ

このサポカーSは、さらに細分化されている。最もシンプルなのが、自動ブレーキが時速30キロ以下で作動する「ベーシック」。それよりも高い速度で自動ブレーキが作動するのが「ベーシック+」。

さらに、車両に加えて歩行者も検知して自動ブレーキが作動し、車線逸脱警報や先進ライトを備えたものが「ワイド」だ。つまり、最も装備が進んでいるのは、サポカーSワイドという区分になる。

《サポカー/サポカーSに採用されている先進安全技術は大きくこの四つ》

被害軽減(自動)ブレーキ(対車両・対歩行者)
レーダーやカメラで前方の車両や歩行者を検知し、衝突のおそれがある場合に運転者に警報を鳴らす。さらに衝突の危険性が高い場合は、自動ブレーキを作動する。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
停止時や低速走行時、レーダーやカメラ、ソナーが壁や車両を検知している状態でアクセルを踏み込んだ場合、エンジン出力を抑えることなどによって急加速を防止。

車線逸脱警報
車載カメラによって道路上の車線を検知し、クルマが車線からはみ出しそうになった場合や、はみ出した場合にドライバーに警報を鳴らす。

先進ライト
対向車を検知して、ハイビームとロービームを自動的に切り替えたり、部分的に減光したりする。ハンドルの操作に応じて、照射範囲を自動的に制御する機能もある。

インターネットで「〇〇(メーカー名) サポカー」と検索すれば、各社のサポカーページが見つかる。そこで、どの車種がどのサポカー区分なのかがわかるので、確認していただきたい。

下項では、国産自動車メーカー8社の注目の安全装備と、それらを搭載した最新車種について解説していこう。

【トヨタ】アルファードがJNCAPで総合1位となるなど、高い安全性を誇る

トヨタの注目安全装備
単眼カメラ+ミリ波レーダーが基本。一部ではAHBなどの先進装備も搭載

プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]、自転車[昼]対応)
インテリジェントクリアランスソナー
レーントレーシングアシスト(LTA)
レーダークルーズコントロール(全車速対応/ACC)
オートマチックハイビーム(AHB)

トヨタは、アクアなど下位グレード車では単眼カメラとレーザーレーダーを組み合わせる一方で、プリウスなどの上位グレード車では、単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせが標準となる。

最大の違いは、先行車に追従して走行できるアダプティブ・クルーズ・コントロール(AAC)を前者には搭載していないこと。

さらに自動ブレーキでも、前者は検知できる距離が短く、対応可能な速度域も低くなり、夜間での検知能力にも差がある。踏み間違い防止では、ボディ周囲のソナーによって障害物を検知して出力を抑制し、ブレーキも作動する。

JNCAPの2018年度の予防安全性能アセスメントで、トヨタの上位グレード車向け安全運転支援機能を装備したアルファードが、すべての項目で満点を獲得したのも話題だ。総合1位となって安全性能の高さを証明した。

前照灯がハイビームのまま、先行車や対向車を眩惑させないAHBの搭載も見逃せない。

画像: アルファードはトヨタ車で最高レベルの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を搭載。JNCAPで総合1位を獲得(兄弟車のヴェルファイアを含む)。

アルファードはトヨタ車で最高レベルの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を搭載。JNCAPで総合1位を獲得(兄弟車のヴェルファイアを含む)。

【ホンダ】単眼カメラ+ミリ波レーダーのセンシングを軽自動車でも行う

ホンダの注目安全装備
ホンダセンシングをほぼ全車種に搭載。グレードごとに安全性に差をつけない

誤発進抑制機能(前方/後方)
渋滞追従機能付ACC
歩行者事故低減ステアリング
車線維持支援システム(LKAS)

ホンダが採用する衝突軽減ブレーキ(CMBS)は、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせたタイプで、昼間なら横切る自転車にも反応して制御できる。

踏み間違い時の誤発進抑制装置は、前方と後方に対応しているが、前方はレーダーによるセンシングで、後方は超音波センサーを使用。いずれもガラスを含む障害物があるときにのみ作動するものだ。

歩行者事故低減ステアリングは車線逸脱時の制御に歩行者検知を加えたもので、ホンダのオリジナル。時速10~40キロ走行時、車線を外れて歩行者と接触しそうになると、警告と同時にステアリングへ介入して回避を支援する。

車線維持支援システム(LKAS)は、車線内を走行するようステアリング操作にシステムが介入する。

これらを軽自動車(一部を除く)にまで採用しているのはホンダだけ。特に最新のN-WGNは電子式パーキングブレーキを採用するなど、その内容は上級車と遜色がない。

画像: 安全運転支援機能を「ホンダセンシング」とネーミング。高度な制御を行う単眼カメラ+ミリ波レーダーをN-WGNなどの軽自動車にまで搭載している。

安全運転支援機能を「ホンダセンシング」とネーミング。高度な制御を行う単眼カメラ+ミリ波レーダーをN-WGNなどの軽自動車にまで搭載している。

【日産】単眼カメラによる制御が基本だが、一定条件下での手放し運転も実現

日産の注目安全装備
シンプルかつ高度な「インテリジェント・モビリティ」を幅広い車種で採用

インテリジェント エマージェンシーブレーキ
踏み間違い衝突防止アシスト
プロパイロット(全車速追従クルーズコントロール)
インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)+LDW(車線逸脱警報)
アダプティブLEDヘッドライトシステム

「インテリジェント・モビリティ」は、日産の先進安全支援機能の総称。フロントウインドー上部に備えられた単眼カメラで前方をとらえ制御を加える。

この中には全車速追従クルーズコントロールや走行時の緊急ブレーキ、踏み間違い時のエンジン出力抑制など一とおりの運転支援が含まれる。

緊急ブレーキは車両や歩行者を検知し、衝突の危険性が高まると警告により回避操作を促す。ドライバーが対応できなければ緊急ブレーキを作動させて衝突を回避、または衝突被害を軽減する。

車線逸脱防止支援システムでは、リアのブレーキを短時間制御して車体を車線内へ戻す。単眼カメラを基本としながらも高度な先進安全支援を可能にしている。

一方、新型スカイラインでは、3眼カメラ+ミリ波レーダーに加え、多彩なセンサーと3D高精度マップを組み合わせることで、一定条件下での手放し運転も実現する「プロパイロット2.0」を採用している。

画像: 3眼カメラや多彩なセンサーを組み合わせる先進安全支援機能を搭載し、国産初の一定条件下での手放し運転を実現したスカイライン。

3眼カメラや多彩なセンサーを組み合わせる先進安全支援機能を搭載し、国産初の一定条件下での手放し運転を実現したスカイライン。

【マツダ】全グレードに先進安全技術を標準装備し、すべてがサポカーSワイド

マツダの注目安全装備
ペダル配置にまでこだわる徹底した安全思想を全ラインアップに拡大

アドバンストSCBS(夜間歩行者検知対応)
レーンキープ・アシスト・システム(LAS)
レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC/全車速追従機能付)
AT誤発進抑制制御(前進/後進)
アダプティブLEDヘッドライトシステム

マツダは、OEMを除くすべての車種に先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を搭載。

これは、日常で起こりうる事故の未然防止と被害軽減を目的とした「アドバンストSCBS」や、ペダル踏み間違いによる事故を低減する「AT誤発進抑制制御」、車線変更時に斜め後方に存在する車両を知らせる「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」などが対象となる。

特にマツダは、踏み間違いを未然に防ぐよう、ペダル配置の最適化に早い段階から取り組んでおり、その効果は着実に上がってきているという。

前方のセンシングはカメラとミリ波レーダーによるもので、これ以外にも周囲に超音波センサーやカメラを備えて対応している。

また、マツダが積極的に採用を進めているのが「アダプティブLEDヘッドライト(ALH)」で、ハイビームによる夜間の視界を確保しながら、先行車や対向車のみを遮光して眩惑を防止することができる。

画像: マツダ3は、全グレードが先進安全技術を標準装備し、サポカーSワイドに該当。少ない視線移動で走行情報を視認できるヘッドアップディスプレイも用意。

マツダ3は、全グレードが先進安全技術を標準装備し、サポカーSワイドに該当。少ない視線移動で走行情報を視認できるヘッドアップディスプレイも用意。

【スバル】国産車随一とも評価される自然な制御を実現したアイサイトが有名

スバルの注目安全装備
ステレオカメラによる制御でミリ波レーダーに匹敵する能力を発揮

全車速追従クルーズコントロール
ステアリング制御(白線認識/先行車認識)
歩行者保護エアバッグ
ドライバーモニタリングシステム
アダプティブドライビングビーム

「ぶつからないクルマ」とのCMで先進安全機能への関心を高めたのがスバルのアイサイトだ。少し大きめのステレオカメラをセンサーとしているが、その能力はミリ波レーダー搭載車と比較しても遜色ないと評価されるほど。

スバルは、JNCAPでも総じて高得点を獲得しており、アイサイトの能力の高さを裏づけている。アイサイトの搭載は2008年からで、現在はバージョン3となり、制御時の自然なアルゴリズムは国産車随一とも評価されるほどだ。

万が一のペダルの踏み間違いに対しては、障害物をカメラで、後方は超音波ソナーを検知して対応。まずはエンジンの出力を抑制して警告を発し、回避操作がない場合はシステムが自動的にブレーキをかける。

見逃せないのが、国産車で唯一の安全装備として搭載した「歩行者保護エアバッグ」だ。インプレッサやフォレスターなど新プラットフォーム(SGP)を採用した車種で標準装備となっている。

画像: 最新プラットフォーム「SGP」で最先端の安全運転支援機能を搭載するフォレスター。運転者の居眠りを警告するドライバーモニタリング機能も装備。

最新プラットフォーム「SGP」で最先端の安全運転支援機能を搭載するフォレスター。運転者の居眠りを警告するドライバーモニタリング機能も装備。

【三菱】三菱のオリジナルと、日産の技術を活用するタイプの2種類がある

三菱の注目安全装備
単眼カメラで軽自動車随一の高度な制御を実現するekワゴンが注目

全車速追従クルーズコントロール
車線維持支援機能(LKA)
衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM/歩行者対応)
踏み間違い衝突防止アシスト(ブレーキ制御付)
オートマチックハイビーム

三菱オリジナルの先進安全支援機能は、単眼カメラとミリ波レーダーによって制御される。

アダプティブオートクルーズ(ACC)を全車速追従とし、衝突被害軽減ブレーキ(FCM)を歩行者対応としている。斜め後方・隣レーン後方からの接近車両を検知して存在を知らせるLCAも装備した。

ただ、誤発進抑制機能は、前進/後進ともに対応するが、ブレーキは作動させない。車線逸脱に対しても警報のみとなる。

一方、最新軽自動車、ekワゴンは、オプションでの装備とはなるが、日産の技術を活用した単眼カメラによる「MI-PILOT」「s-Assist」を採用。

全車速追従型ACCに加え、誤発進抑制機能では最終的にブレーキも作動させ、車線逸脱では警報+ステアリング制御によって車線内へ戻すサポートも行う。

LCAは搭載していないが、夜間でのハイ/ロービーム自動切り替えは、単純切り替えにはなるものの、全車で対応している。

画像: 日産との協業による三菱の最新軽自動車、ekワゴン。先進安全支援は単眼カメラながら高度な制御を実現。軽初の電動パーキングブレーキも採用した。

日産との協業による三菱の最新軽自動車、ekワゴン。先進安全支援は単眼カメラながら高度な制御を実現。軽初の電動パーキングブレーキも採用した。

【スズキ】3タイプのセンサーを車種ごとに最適化。全方位モニターも採用

スズキの注目安全装備
ヘッドアップディスプレイや標識認識機能も一部車種で搭載

衝突被害軽減ブレーキ(歩行者対応)
アダプティブ・クルーズコントロール
車線逸脱警報機能
誤発進抑制機能(前/後方対応)
ハイビームアシスト

デュアル(ステレオ)カメラのみ、単眼カメラ+ミリ波レーダー、単眼カメラ+赤外線レーザーの3タイプのセンサーを車種ごとに用意。

基本的な制御は、ミリ波レーダー搭載車のみにアダプティブ・クルーズコントロール(ACC/時速約40キロ以上で作動)を搭載すること以外、ほぼ同一だ。

衝突被害軽減ブレーキは、前方の車両や歩行者を検知して、衝突のおそれがあると警告を発し、さらに衝突の危険性があると自動でブレーキを作動。

踏み間違い時はエンジン出力を抑えて前/後方で誤発進を抑制するが、ブレーキ制御は行わない。車線逸脱についても警報だけの対応となる。

ヘッドライトのハイ/ローも、単純切り替えだが対応している。一部車種では、駐車に便利な全方位モニターにいち早く対応したほか、走行情報を少ない視線移動で得られるヘッドアップディスプレイを軽自動車で初めて搭載。スペーシアでは標識認識機能までサポートしている。

画像: スペーシアは、少ない視線移動で走行情報が得られるヘッドアップディスプレイを軽自動車で唯一搭載。全方位モニターと組み合わせて安心走行に貢献。

スペーシアは、少ない視線移動で走行情報が得られるヘッドアップディスプレイを軽自動車で唯一搭載。全方位モニターと組み合わせて安心走行に貢献。

【ダイハツ】新プラットフォームの採用で先進安全装備も新世代へバトンタッチ

ダイハツの注目安全装備
「スマートアシストⅢ」をベースに先進安全機能をさらに強化

衝突回避支援ブレーキ機能(車両/歩行者対応)
全車速追従機能付ACC(停車中の保持なし)
誤発進抑制機能(前後方対応/ブレーキ制御あり)
レーンキープコントロール(LKC)
アダプティブ・ドライビングビーム(ADB)

ダイハツは、新型タントでプラットフォームを一新。それに伴って、先進安全支援機能のグレードアップを図っている。

センシングは、従来の「スマートアシストⅢ」で採用していた小型ステレオカメラを使用するものの、踏み間違いなどに対応する誤発進抑制機能では、エンジン出力抑制にとどまらずブレーキ制御も行い、さらにハイビームのままでも先行車や対向車を眩惑させないアダプティブ・ドライビングビームも軽自動車で初めて用意した。

また、オプションの「スマートアシストプラス」を追加すれば、全車速追従クルーズコントロー
ル(停車中の保持なし)や、ステアリング制御までもサポートするレーンキープコントロール(LKC)など、数々の先進機能を装備できる。

また、カメラを通して全周囲を確認できるパノラマモニターをオプションで用意。軽自動車初の駐車支援システム「スマートパノラマ・パーキングアシスト」も追加できる。

画像: 新世代プラットフォームの採用に伴い、電子制御も一新したタント。一クラス上の先進安全支援機能を搭載して、安心・安全性能は飛躍的に高まった。

新世代プラットフォームの採用に伴い、電子制御も一新したタント。一クラス上の先進安全支援機能を搭載して、安心・安全性能は飛躍的に高まった。

解説/会田肇 (自動車評論家)

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