観光地の珍しい特急列車など、動いている被写体を迫力あるイメージで写すには、露出を暗めにしたほうがいい。また、路面電車なら歩道橋の上から撮影したり、飛行機であれば動きを予測しながら、チャンス到来に合わせて高速連写で追従したい。連続カットの中から機体と背景のバランスが取れたカットを選択するのもプロ技の一つだ。
解説者
キメ技 乗り物編(1)動く被写体は露出を切り詰めて迫力を増す
条件にもよるが、動いている被写体を迫力あるイメージで写すには、露出を暗めにしたほうが、いい結果が得られやすい。明るいと写真に緊張感がなくなり、画面の締まりが薄れてしまいがちだ。
現場では、何度かシャッターを切ってみて画像の濃度を確認しつつ、露出を切り詰めていくといい。ハイライトが浮かび上がってくるような画像の濃度に設定するのがベストだ。
同様のことはスポーツの撮影でも当てはまり、特に、屋外の競技では、1/3段か2/3段ほど露出をアンダーにすると、迫力が増すことが多い。〈大浦〉
マイナス2段の設定で新幹線の迫力が増した
暗めの写真のほうが迫力が出やすい
キメ技 乗り物編(2)電車は高い位置からねらうと周辺の要素を整理しやすい
走行する電車の撮影では、カメラやレンズの選択以上に”どの位置から撮影するか”が重要になる。それによって、目当ての電車や周囲の見え方が大きく変わってくるからだ。特に、街中を走る電車だと、手前や背後に障害物が入ることが多く、主役が目立たない雑然とした写真になる可能性が高い。
そんな街中での電車撮影では、ビルの高層階や屋上、鉄橋や歩道橋など、高い位置からの撮影が適している。そうすれば、手前にある障害物が避けられるようになり、目障りな背景も画面の外(上方)に追いやれるだろう。〈吉森〉
歩道橋の上から路面電車を撮影
電車以外の要素の配置がポイント!
キメ技 乗り物編(3)高低差がある線路の風景を生かして電車を撮ろう
地形の高低差を利用することで、奥行き感のある作画効果を出すこともできる。目の前に続く真っすぐな坂。
そんな所を通る線路に電車がやってくれば、平らな路面を走る電車にはない、走行の軌跡を感じさせる写真を撮ることができるだろう。
ただし、こういった場所の撮影では、かなりの望遠(超望遠)レンズを使わないと”坂の臨場感”は伝えにくい。
その場所の状況によっても変わるだろうが、最低でも300ミリは欲しい。できれば、500~600ミリくらいの超望遠で撮影したいところだ。〈吉森〉
超望遠レンズで坂の奥行き感を出す
キメ技 乗り物編(4)「ツイッター」などの口コミ情報を活用しよう
鉄道や航空機などは、通常のスケジュールのほかにイレギュラーな運行を行うことがある。そのような貴重な機会に都合よく出会えればいいが、普通は、そううまくはいかない。
そんなときに頼りになるのは「ツイッター」や「インスタグラム」などのSNS情報だ。
例えば、JR東海のドクターイエローの運行日は、公式には秘密となっているが、「ツイッター」でキーワード検索すれば、いつ走るか程度であれば知ることができる。
珍しい航空機の飛来などの情報も同様だ。こうした情報は積極的に活用したい。 〈大浦〉
モノレールの廃止情報を現場でキャッチ
珍しい被写体に出会えるかも!
キメ技 乗り物編(5)飛行機の離着陸は背景とのバランスがポイント
空港での飛行機撮影のシャッターチャンスは、何といっても“離着陸の瞬間”だ。地上で待機する飛行機にはない動感が得られ、シャッターのタイミングしだいで飛行機の見え方も変わってくる。
また、飛行機そのものの見え方だけでなく、背景との組み合わせも重要になる。背景全部が地上だと飛翔する感じが乏しいが、全部が空なのも少々カタログ的だ。
飛行機の動きを予測しながら、チャンス到来に合わせて高速連写で追従したい。
そして、連続カットの中から、飛行機と背景のバランスが取れたカットを選択しよう。〈吉森〉
背景の工場群で緊張感を演出
背景が空だけになるのは味気ないぞ!
キメ技 乗り物編(6)飛行機のメタリックな質感を切り取ろう
飛んでいる飛行機だけでなく、地上で待機している飛行機にも目を向けてみたい。展望デッキから近くの飛行機をねらうなら、離着陸時のような超望遠レンズでなくても十分撮れるだろう(とはいえ、200ミリや300ミリ相当の望遠くらいは欲しいが)。
その際、単に飛行機を大きく写すだけでなく、機体の色や光に注目しながら撮影すると、個性的で印象的な写真になる。そんな視点で臨むなら、曇天や雨天は避けて晴天時にトライしたい。さらに、光と影に変化が出やすい朝夕の時間なら、よりベターだ。〈吉森〉
機体の色や光に注目しながら切り取ろう
晴天の日に朝方や夕方にトライしよう!