【益子直美さん】脈がすぐ上がるのは心房細動のサインだった 手術後の再発予防に私が実践する生活術

美容・ヘルスケア

自分の健康には自信というより過信があったので、真剣に病気を疑ったことがありませんでした。手術は無事成功しましたが、それからは自分の体と相談しながら暮らすようになりました。注意しなくてはいけないのが「お酒・睡眠不足・ストレス」の三つです。【体験談】益子直美(タレント・スポーツキャスター)

プロフィール

益子直美(ますこ・なおみ)
タレント・スポーツキャスター。1966年、東京都出身。バレーボール選手として共栄学園高校に入学し、第15回春高バレーでチームを準優勝に導く。高校3年生で全日本代表入りを果たし、世界選手権やワールドカップなどで活躍し女子バレーボール界を席巻。その後、イトーヨーカドー女子バレーボール部で優勝。1992年、現役を引退後はタレント、スポーツキャスターとして活動中。

即手術と宣告され頭が真っ白に!

あとから考えると、いろいろ思い当たる節がありました。

42歳のとき、競技用の自転車に乗り始めたのですが、心拍数がすぐに上がることに気づきました。平坦な道を走っているのに、脈が160くらいになってしまい、坂を上ればあっという間に200超え。ときには、気が遠くなることすらあったほどです。

それに、いくら練習しても速く走れるようにならないので、私は、自分の体力のなさに落ち込んでいました。

不整脈かもしれない、とは感じていたのですが、あまりに頻繁に起こるのが疑問でした。25歳でバレーボールを引退してからずいぶん経つし、もう年だから老化現象でしょうがないのかな、なんて(笑)。

ただ、自分の健康には自信、というより過信があったので、真剣に病気を疑ったことがありませんでした。

そして、2017年の1月。

福岡から東京に戻り、翌日のテレビ出演に備えて渋谷のホテルに入りました。帰路の飛行機から、心拍数が160前後で下がりません。ホテルに入ってからも、息苦しくなって意識が遠のくことがありました。

そこで、東京消防庁の救急相談電話に連絡。救急車を呼ぶよう勧められましたが、番組に穴を開けたくないのでためらってしまったのです。

なんとか楽な姿勢を取りながら朝まで過ごし、番組に出演。仕事を終えてから、病院に駆け込みました。すると、担当の先生から「不整脈は心房細動が原因です。若いのですぐに手術します」と告げられたのです!

心房細動は、心房といわれる心臓の上の部屋が小きざみに震え、十分に機能しなくなる不整脈の一つ。心房内に血栓ができて、それが脳に達すると脳梗塞を引き起こすといいます。

自分が心臓の病気になるなんて信じられませんでしたし、手術といわれたので頭は真っ白。実は、私の父も50代で、脳梗塞と心房細動を患っているので、遺伝なのかもしれません。

担当の先生から勧められたのが、「ホットバルーンカテーテルアブレーション」という手術でした。カテーテルを、太もものつけ根から血管に入れて心臓まで送り込み、不整脈を引き起こす原因となっている部位を焼き切る、という新しい手術法でした。

昔であれば、胸を大きく切り開き、直接心臓の異常な部分を除去する大手術だったとか。それに比べて、新しい手術法は胸を切り開く必要はなく、2時間程度で終了。それで安心して、手術を受ける決心をしました。

大好きな自転車を満喫できるまでに回復

手術はその年の4月でした。無事成功しましたが、麻酔が切れたあと、めちゃくちゃ痛かった(笑)。

それからは、自分の体と相談しながら暮らすようになりました。注意しなくてはいけないのが、「お酒・睡眠不足・ストレス」の三つです。

私はもともと、お酒は好きでしたが、術後5ヵ月間は完全に禁酒。睡眠不足やストレスは、たちまち影響が現れるので、できるだけ規則正しい生活を心がけました。

心房細動は、手術をしても再発する可能性のある病気だとお聞きしました。それだけは絶対に避けたいので、無理をせず自分のペースを守って仕事を続け、少しずつでも回復するよう心がけてきました。

おかげで、今では、運動をすることもできますし、薬もお守りのかわりに持っているくらいで、ふだんは飲まなくても大丈夫です。

大好きな自転車は、電動アシスト機能がついた物を使うようになりました。昔は、そんな自転車なんて邪道だと思っていましたが、無理は禁物ですからね。今では、電動アシスト自転車の走りを楽しめるようになりました。

私は、病気のことは、インターネットのブログで公表してきました。心房細動だけに限らず、心臓に不安を抱えておられるかたがたくさんいらっしゃると思います。ブログを見たかたが温かいコメントをしてくださり、私自身がいつも心を動かされ励まされています。

だからこそ、今回のこの記事を参考にして心房細動の前触れを見極め、未然に防いでいただければこんなにうれしいことはありません。

毎日心拍数を測る習慣をつけること(東京医科歯科大学教授 古川哲史)

心房細動は、心臓の心房で起こる重症の不整脈です。合併症を起こすリスクは、健康な人に比べて脳梗塞で5倍、心不全で3倍、認知症で2倍という恐ろしい病気です。

発症には、遺伝的な要因と生活習慣の二つが関連します。益子さんの場合は、ご家族にも患者さんがおられます。また、激しいスポーツは、かえって心房細動リスクを高くすることから、発症しやすい傾向にあったといえるでしょう。

心房細動の患者数は約100万人ですが、病気に気づいていない「隠れ心房細動」がほぼ同数いると推定されます。高齢になるほど発症しやすいので、毎日心拍数を測る習慣をつけるほか、気になる点があればすぐに専門医の診察を受けましょう。

この記事は『壮快』2019年12月号に掲載されています。

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