腹圧性尿失禁に対して私が指導しているトレーニングとは、一言でいえば「とにかくしゃがめ!」ということです。しゃがみにくい人は、いすの背もたれやテーブルの端につかまって行っても結構です。簡単なこのトレーニングを2週間行えば、改善の兆候が現れます。【解説】山田典子(スパイラルセラピー芦屋主宰・整体師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

山田典子(やまだ・のりこ)

東京都生まれ。スパイラルセラピー芦屋主宰。整体師。小学5年生のときに指圧を知って以来、約50年にわたり人体の研究をする。自分自身が50代で腹圧性尿失禁の兆候に悩まされるが、しゃがむことをはじめとしたトレーニングで2週間で治す。以後、尿もれ解消法を伝えることをライフワークにしている。著書『しゃがむだけ!尿もれ解消法』(さくら舎)が好評発売中

足の角度や位置を考える必要なし!

整体師という職業は、お客さまから体のお悩みについてご相談を受け、その悩みを解消すべく施術を行います。その中で、2年前から新たな取り組みとして始めたのが「尿もれトレーニング」です。

ここでいう尿もれとは、飛んだり、跳ねたり、くしゃみをしたりなど、おなかの筋肉に力がかかることで「あ、出ちゃった!」となる「腹圧性尿失禁」です。加齢や出産により、尿道の開閉をコントロールする骨盤底筋群が衰えて起こりやすくなるといわれています。

尿失禁にはいくつかのタイプがありますが、女性の尿失禁ではこのタイプが最も多く、また、尿もれトレーニングで改善しやすいのも、この腹圧性尿失禁です。

この腹圧性尿失禁に対して私が指導しているトレーニングとは、一言でいえば「とにかくしゃがめ!」ということです。

お尻がかかとにつくまで一気にしゃがんで、ひと呼吸おいて立ち上がる。これを、1日を通して10回するだけです。

スクワットのように、ひざの位置や曲げる角度などを気にしなくて構いません。しゃがみにくい人は、いすの背もたれやテーブルの端につかまって行っても結構です。ずるいくらい簡単なこのトレーニングを2週間行えば、改善の兆候が現れます。

しゃがむだけトレーニングのやり方

画像1: しゃがむだけトレーニングのやり方

足を肩幅に開き、腕を真っすぐ突き出して立つ。
背すじをまっすぐに伸ばしたまま、一気にしゃがみ込む。
一呼吸おいて立ち上がる。
*しゃがむ→立つを10回くり返す。小分けにしてもいい。
*うまくしゃがめない人は、一度に1回など少ない回数から始め、徐々に回数を増やしていく。

画像2: しゃがむだけトレーニングのやり方

ふらつきがある人は、いすの背もたれや机、壁に手をついて行う。

・・・うまくしゃがめない人は・・・

しゃがむとお尻をついてしまう、バランスが取りにくいという人は、足首が硬くなっている可能性大です。しゃがむトレーニングの前後に足首を回しましょう。

画像3: しゃがむだけトレーニングのやり方

いすや床に座り、右手と左足で握手をする。

画像4: しゃがむだけトレーニングのやり方

足首を中心にして、足先をゆっくり大きく10回回す。
反対方向にも10回回す。
反対側の足も同様に行う。
*①~④を1セットとして、1日2セット行う。

62歳の今も尿もれ知らず

実は、私も50代後半に尿もれが始まりました。パソコン作業で長時間座っていて、立ち上がった瞬間に「あっ!」と、もれてしまったのです。

確かに、パソコンを打ちながら「あとちょっと」と尿意を我慢していましたが、それにしても出てしまうなんて……。かなりショックでした。

この体験を機に、考案したのが、ただしゃがむだけの尿もれトレーニングでした。トレーニングのおかげで、尿もれはしっかり解消し、62歳の現在も尿もれはありません。

しゃがむことがなぜ尿もれの改善になるのか、それは最初に述べた、尿道の開閉をコントロールする骨盤底筋を鍛えることにつながるからです。

画像: 骨盤底筋の場所

骨盤底筋の場所

「鍛える」ではなく、「鍛えることにつながる」なのは、しゃがむことで骨盤底筋がダイレクトに鍛えられるわけではなく、太ももの筋肉など、骨盤底筋の周囲にある筋肉がまず鍛えられ、その結果として、骨盤底筋も鍛えられていくからです。

体にはたくさんの筋肉があり、体を動かすたびにいろいろな筋肉が連動して動きます。この筋肉の連係プレーで、しゃがむという簡単な動作が骨盤底筋の強化につながるのです。

尿もれに骨盤底筋トレーニングが効果的ということは、よく知られた話です。

しかし、そもそも、骨盤底筋をうまく使えないから尿もれが起こっているのです。その使えていない筋肉を「意識してください」とか「動かして」と言われても、簡単にはできないでしょう。

だったら、分かりやすくて簡単に動かせる筋肉から鍛えていきましょうというのが、しゃがむトレーニングの原点です。

尿もれパッドは対処であり対策ではない

実際に1日10回しゃがんだだけで尿もれを解消した例をご紹介しましょう。

突然の尿意にあわててトイレに行っても間に合わない。そんなことが頻繁に起きていた50代の女性は、しゃがむトレーニングを毎日10回実行したところ、2週間ほどで、トイレに間に合わないことが減ってきました。

その後、もう大丈夫とトレーニングをやめたら、またトイレに間に合わないことが頻発。トレーニングを再開したところ、尿もれが確実になくなったそうです。「人前で気にしたり、恥ずかしい思いをしたりすることがなくなりました」と喜んでいらっしゃいました。

私は、施術の際に尿もれの話が出た方には、必ずこのしゃがむトレーニングを勧めます。実行された方は皆さん「尿もれがなくなりました」とうれしそうに話されます。

私がこのトレーニングを特にお勧めしたいのが、現在「尿もれパッド」を使用している方たちです。

驚いたことに、「尿もれパッドをしているから大丈夫です」という方が一定数います。ですが、尿もれパッドは「対処」であり、「解決策」ではありません。放っておけば確実に尿もれは悪化していきます。

筋肉は使わなければ衰えていきます。和式トイレや畳の生活から遠のいた現在、私たちは日に何度しゃがむことがあるでしょうか。加えて、加齢に伴う筋肉の衰えもあります。尿もれとしゃがむことが少ない生活に相関関係があるのは明らかです。

尿もれに悩む皆さん、ぜひ、しゃがむトレーニングを実行してみてください。その簡単さと効果に驚かれることでしょう。

画像: この記事は『安心』2019年12月号に掲載されています。

この記事は『安心』2019年12月号に掲載されています。

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