本機のいちばんの注目ポイントは、像面位相差AFが搭載されたこと。さらに、大がらだがホールドしやすく、操作性も高い。実写画質は十分にシャープで高感度もいい。ライブビュー時のAFが速くて快適だ。また、防塵・防滴仕様のマグネシウム合金ボディで握りやすいグリップを装備している。
今回のテストアイテムはこちらニコン D780
実売価格例:27万5000円(ボディ)
●プロフィール
D750の後継となるミドルクラスのフルサイズ一眼レフ。有効2450万画素の裏面照射型CMOS(シーモス)センサーとEXPEED(エクスピード)6を搭載。同社の一眼レフでは初となる像面位相差AFを備え、ライブビューなどが快適になった。
SPEC
●有効画素数/約2450万●撮像素子/フルサイズCMOS(35.9mm×23.9mm)●レンズマウント/ニコンFマウント●記録媒体/SDXC/SDHC/SD●液晶モニター/3.2型(タッチパネル式、約236万ドット)●連続撮影速度/約7コマ/秒●Wi-Fi/IEEE802.11b/g/n/a/ac●電源/専用リチウムイオンバッテリー●サイズ/幅143.5mm×高さ115.5mm×奥行き76mm●重量/840g
ファインダー撮影時は51点測距と少ない
本機のいちばんの注目ポイントは、像面位相差AFが搭載されたことだ。直接的なライバルとなるキヤノンは、早くからデュアルピクセルCMOS AFを採用して、一眼レフでも快速AFを可能にしていたが、ニコンはスピード面で劣るコントラストAFのみで、ライブビューや動画撮影時のストレスが大きかった。ようやくミラーレス一眼のZ6と同等の273点測距ハイブリッドAFを搭載。人物の目にピントを合わせられる瞳AFも装備された。
使ってみた印象としては、ライブビュー時はZ6とほぼ同じ。スピードは十分に速いし、測距点の位置に縛られない顔認識や瞳AFのおかげで快適に使えるようになったのはうれしい点だ。ただし、ファインダー撮影時は画面中央部に寄り集まった51点測距AFとなるので、その辺は残念に思えるところ。ライブビューや動画を多用する人にはいいが、ファインダー撮影が中心の人には大きなメリットにはならないともいえる。
■液晶はタッチパネル式の3.2型
内蔵フラッシュを省略。デザインはすっきり
画質面では、撮像センサーが裏面照射型に変更されたのが見どころで、最高感度は常用ISO5万1200、拡張ISO20万4800に向上。実写ではISO3200が常用可能で、あまり大きくプリントしないならISO6400でも許容できそうだ。
ボディ外装には、上面と背面カバーにマグネシウム合金が採用されており、防塵・防滴性も装備。内蔵フラッシュが省略され、ファインダー部がすっきりしたデザインに変更されている。フルサイズの一眼レフだけに大がらで重さもある(見た目の割には軽く感じる)が、ニコンらしく深さのあるグリップは握りやすく、ボタンやダイヤル類もゆったり配置されているぶん、快適に操作できて好印象だ。
■きっちりとした解像度が得られる
おすすめ度…A
273点ハイブリットAFにより、ライブビューや動画撮影が快適になった
ココが〇
大がらだがホールドしやすく、操作性も高い。実写画質は十分にシャープで、高感度もいい。ライブビュー時のAFが速くて、快適になった。
ココが×
気軽に持ち歩くには大きすぎるし、重すぎ。ファインダー撮影時の測距エリアが狭い。ミラーレス一眼に慣れるとシャッター音が大きいと感じる。
※文中の「オススメ度」は、「A+」から「C-」までの9段階評価になっています。
※価格は記事作成時のものです。
解説/北村智史(カメラライター)