東京をはじめとする地域で緊急事態宣言が出され、外出自粛の期間は長引く一方。そんな時、手軽に外出・旅行気分に浸れるのが「映画鑑賞」です。この記事では、数ある映画の中でも、旅行気分や非日常感を味わえる、映像や音楽の美しい作品をセレクトしてご紹介。
長引く外出自粛…コロナ巣ごもり中は映画で旅に出よう
4月に入り、うららかな春の日差しを感じるたびに、思わず外に遊びに行きたい気持ちに駆られそうになりませんか?
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、東京をはじめとする一部の都道府県では緊急事態宣言が出され、他の地域も日に日に感染者数が増加し、外出自粛の期間は長くなる一方。みなさんはどんなふうにおうち時間を過ごしているでしょうか。
外出自粛中でも、手軽に外出・旅行気分に浸れるのが「映画鑑賞」です。今回は、数ある映画の中でも、旅行気分や非日常感を味わえる、映像や音楽の美しい作品を選んでみました。この記事で紹介するのは、ニューヨーク、パリ、ロサンゼルス、北イタリアが舞台の作品たち。どれもネット上でダウンロードして鑑賞することができ、一部の作品をのぞいて、ほぼ全ての作品は定額制サブスクリプションでも鑑賞できるので、外に出かけることなく自宅で手軽に楽しめます。視聴可能なサブスクリプションサービスも一緒にご紹介していきます。
ニューヨークが舞台の映画
キャロル
映画「キャロル」は2015年に公開され、1950年代のニューヨークを舞台に、2人の女性の恋愛模様を描いた作品です。日本ではあまり有名ではありませんが、アメリカをはじめとして、日本の一部のファンの間でカルト的人気を誇る作品です。2020年4月13日現在、NetflixとAmazonプライムでも視聴可能です。
人気の理由は、なんといっても美しい映像と、繊細なストーリー。50年代のニューヨークを再現する街並みやインテリア、ファッションと、それを魅力的に演出する斬新なカメラワークで、観ているだけでレトロなニューヨークの街並みにタイムスリップしたような気分になれます。そして何より、主演女優のケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの美しさは筆舌に尽くし難いものがあります。
物語は、エレガントで美しい人妻キャロルと、夢を追いかけることを躊躇っている内気な少女テレーズが出会うところから始まります。キャロルの夫は、妻にただ飾りでいることを求め、彼女はその不幸な結婚生活に終止符をうちたいと願っています。そして、何よりかけがえのない4歳の娘の親権を得るために、真実の自分を隠して生きることを余儀なくされていました。一方のテレーズも、自分が何を本当に求めているのか、真実の自分に向き合えないでいました。そんなふたりが引力に導かれるように愛しあいます。50年代初頭の原作でありながら、この映画は「あなたは正直に生きているの?」と現代の観客に語りかけます。
この作品の描く、切ない人間模様に心揺さぶられるストーリーと、2人の女性をとりまく美しい映像は、忘れがたい映画体験を与えてくれること請け合いです。
パリが舞台の映画
アメリ
映画「アメリ」は2001年に公開されたフランス映画。フランスで国民的大ヒットを記録したこの作品は、日本でもご存知の方は多いはず。パリ・モンマルトルを舞台に、愛らしくもちょっと不思議な世界観のストーリーが繰り広げられます。2020年4月13日現在、Netflix、Amazonプライムで視聴可能です。
「アメリ」の魅力は、パリに生きる様々な人々の等身大の暮らしやファッションを垣間見ることができるところ。アメリの服装のコーディネートが、数着の服を着まわして構成されているのを観察したり(ここで私は「フランス人は本当に10着しか服を持ってないのね」と毎回感心しています 笑)、カフェの同僚たちや、画家のおじいさんなど、ユニークな隣人たちの暮らしぶりから、リアルなパリ暮らしの様子を楽しむことができます。
この物語の主人公アメリは、神経質な母親と冷淡な医者の父親の間に生まれた女の子。ひょんなことから父親に心臓病だと勘違いされてしまったアメリは、学校にも行かず友人のいない孤独な幼少期を過ごします。人付き合いが苦手で、空想癖のある女の子へと成長したアメリは、家を出てモンマルトルのカフェ・デ・ドゥ・ムーランでウェイトレスとして働き、同僚に囲まれて普通の日々を送っていましたが、ある日アパートのバスルームで誰かの子ども時代の宝物が詰まった箱を見つけます。それをどうにか持ち主に返したアメリは、誰かを幸せにする喜びを知り、周りにいる人に幸せになるいたずらを仕掛けていくようになります。
観ているだけでパリに旅行したような気持ちになれる映画です。愛らしいストーリーにも、心がほっこりするはず。「名前だけ知ってる!」という方も、この機会にぜひ観てみてくださいね。
ロサンゼルスが舞台の映画
LA LA LAND
映画「ラ・ラ・ランド」は2016年にアメリカで公開されたミュージカル映画。キャッチーな音楽と切ないストーリーで、日本でも一大ムーヴメントを巻き起こした映画なので、ご存知の方もたくさんいらっしゃると思います。2020年4月13日現在、Netflix、Amazonプライムで視聴可能です。
映画のタイトルになっている「ラ・ラ・ランド」は、「ロサンゼルス」という意味と「現実から遊離した精神状態」を意味します。確かに、作中ではロサンゼルスの街並みや、華やかなパーティーのシーンなど、非日常感を味わえるシーンが満載です。しかし、華やかな世界で夢を追う2人には常に厳しい現実が付き纏います。その絶妙な夢と現実のコントラストが描かれていることによって、誰しもが共感できる切ないストーリーになっています。また、この映画の見どころは、なんと言っても要所要所に差し込まれた音楽やダンス。特に有名なのは、物語の冒頭部分の大渋滞のシーンにおけるミュージカル・シークエンスでしょう。歌の冒頭から終わりまで、一度も途切れない縦横無尽のカメラワークは必見です。
主人公は、女優の卵のミアと、ジャズピアニストのセバスチャン。2人は何度かの偶然の出会いを経てお互いの夢を語り合う仲となり、やがて恋に落ちます。なかなかデビューのチャンスに恵まれないミア、そしてジャズピアニストとして「自分の店を持つ」ことを諦めきれないセブ、2人がどんな結末を迎えるのかは、観てのお楽しみ。個人的には、ミアがルームメイトとパーティーに向かう際に歌う「Someone in the crowd」のシーンが大好き。観ているだけでウキウキと楽しい気分になります。
あなたも素敵な音楽と歌に誘われて、ロサンゼルスへ非日常感あふれる旅に出てみては?
北イタリアが舞台の映画
君の名前で僕を呼んで
映画「君の名前で僕を呼んで」は2017に公開された、イタリア・フランス・ブラジル・アメリカの4カ国合作の青春映画。夏の北イタリアを舞台に、17歳の多感な少年と、24歳の大学生の6週間の恋模様が描かれています。
作中ではひたすら主人公のエリオの内面の葛藤が描かれ、静かにストーリーが進行していくので、穏やかな気持ちで映画を観たい時におすすめ。映像の所々にちりばめられた北イタリアの街並みや、アプリコットの実る主人公一家の別荘の庭の美しさには思わずうっとりしてしまいます。劇伴も、USインディフォーク界の重鎮スフィアン・スティーヴンスが書き下ろしたテーマ曲『Mystery of love』をはじめ、坂本龍一、作品の時代を映した80sヒットソング、ラヴェルやバッハ等クラシック・ナンバーまで幅広いジャンルの曲がセレクトされており、サウンドトラックだけでも聴く価値ありです。私もテレワーク中に何度も聴いています。笑
主人公のエリオは、アメリカの名門大学で教鞭をとるギリシャ・ローマ考古学の教授と、何ヶ国語も流暢に話す母親の一人息子。アカデミックな環境に育ったエリオは、他の同年代の子供に比べて、文学や古典に親しみ、翻訳や、音楽の編曲を趣味にするなど、成熟した知性豊かな子供に成長していました。彼の父親は、毎年博士課程の学生を1人、アシスタントとして別荘に招待するのが恒例で、今年やってきたのは課程論文を執筆中のオリヴァーでした。エリオは、自信と知性に満ちたオリヴァーを、はじめは嫌厭するものの、徐々に彼に対し抑えることのできない感情に駆られていき、たった6週間の、情感と情熱溢れる恋がはじまります。
誰しもが経験する痛々しくも美しい初恋を、穏やかに、優しいまなざしで切り取った作品です。物語のクライマックスでは、そんな思春期の初恋を経験した人なら皆、胸を打たれるはず。
まとめ
いかがでしたでしょうか?外出できない日が続いてストレスが溜まっている時は、素敵な映像や音楽に癒される映画を観て、気分転換をしてみてくださいね。気に入った映画があったら、サウンドトラックを聴きながら家事やテレワークをするのもおすすめですよ。